【医師監修】生え際の後退や薄毛に育毛剤は効果ある?育毛剤の選び方&使い方

基本知識

生え際の後退・薄毛・抜け毛対策として、まずは育毛剤を使用されることをおすすめします。前髪の生え際に産毛が生えていれば、男性も女性も育毛剤で改善でき、副作用の心配も無いので安心です。この記事では、生え際におすすめ育毛剤の選び方や使い方をご紹介します。

この記事の監修者

西田恭之

恵比寿美容クリニック院長

東海大学医学部医学科卒業。都内市中病院で初期研修後、消化器内科診療に従事。その後は人間ドックでの診療を続けながら恵比寿美容クリニックにて勤務し、現在は院長として診療に従事

生え際の後退(薄毛)に育毛剤の効果はあるの?

結論:前髪の生え際に産毛が生えているのであれば、育毛剤の効果があります。 

育毛剤使用することで産毛を太く健康に育ててボリュームアップを叶え、さらに抜け毛を予防して頭皮環境を改善するため、健康な髪を育てやすい環境へと整えてくれます。ただし、生え際の頭皮が見えている部分(M字やU字部分)に関しては、育毛剤の効果は得られないため、発毛剤を使用しましょう。

育毛剤の効果について、詳しくは「【医師監修】育毛剤は効果がないのか?あるのか?効果的な使い方・成分・期間」をご覧ください。

育毛剤と発毛剤の違いを知っておこう

育毛剤と発毛剤を混同される方が多いのですが、両者の効果には違いがあります。

※病気の治療とは…AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)

育毛剤
「生えている髪を健康に育てる(育毛)効果」

発毛剤
「壮年性脱毛症(AGAやFAGA)によって髪が生えなくなった部分に髪を生やす(発毛)効果」

発毛剤には厚生労働省が発毛効果を認めた、医薬品ミノキシジル(男性5%、女性1%)が配合されています。このミノキシジルは壮年性脱毛症、つまりAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)の影響で生えなくなった髪を生やす効果があります。

生え際の後退や薄毛、まずは育毛剤の使用を

前髪の生え際が後退したり薄毛になったりした場合、男性も女性も、まずは育毛剤の使用をおすすめします。

「AGAやFAGAが原因の生え際の後退や薄毛なら発毛剤じゃないの?」という声も聞こえてきそうですが、育毛剤にもAGAFAGAに効果がある成分が配合されているので安心してください。

たしかにミノキシジルが配合された発毛剤は、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」でも推奨度が高いです。ただ、発毛効果が認められているミノキシジルを使い続けることで、頭皮がその効果に慣れてしまって発毛効果が薄れてしまうと、もう他の選択肢は残されていません。さらに発毛剤は高額な上に副作用の心配もあり、なおかつ医薬品に分類されるため薬剤師が常駐している薬局ではないと購入できません。

「最近生え際の薄毛が気になり始めた」

「生え際に産毛は生えている」

という方は、まずは育毛剤を使用されることをおすすめします。

生え際が後退したり薄毛になったりする原因

男性の前髪の生え際がM字やU時に後退したり薄毛になったりする原因は、AGA(男性型脱毛症)という複数の遺伝的要因などが絡んだ疾患が原因です。

日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」によると、AGAは20代以降の日本人男性の3人に1人が発症し、AGAが進行すると前頭部や頭頂部(もしくは両方)の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には髪が生えなくなるとされています。

AGAが発症するメカニズムは、毛根にある毛乳頭細胞や毛母細胞にある「5αリクターゼⅡ型」という酵素が大きく関わっています。この「5αリクターゼⅡ型」は前頭部と頭頂部に多く、男性ホルモン「テストステロン」と結合することで、男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。そして変換された男性ホルモン「ジヒドロステロン(DHT)」は「アンドロゲン受容体」と結合することで毛母細胞の分裂を抑制し、その結果ヘアサイクル(毛周期)を乱してしまいます。

ヘアサイクルが乱れてしまうと、本来であれば26年かけて成長するはずの髪の毛が成長しきれずに抜け落ちてしまい、細毛や抜け毛の原因となり、髪の毛が軟毛化(ミニマム化)してしまうのです。

ちなみに、女性の前髪の生え際が薄くなる原因は、様々な要因が考えられます。

原因の1つとして考えられるのは、FAGA(女性男性型脱毛症)、いわゆるびまん性脱毛症です。

FAGAは男性のAGAと同じく遺伝性の疾患ですが、AGAは前頭部の生え際や頭頂部が薄毛になるのに対し、FAGAは髪全体が薄くなったり抜け毛が増えたりして、前髪の分け目や生え際が薄くなったように感じたりするのが特徴です。

この他に考えられる原因として、髪をきつく縛ることで髪が薄くなる「牽引性脱毛症」や、出産によるホルモンの乱れやダイエットなどで抜け毛が増え、生え際が薄くなったように感じていることも挙げられます。

生え際の後退や薄毛におすすめ!育毛剤の選び方

育毛剤は市販や通販で購入でき、国内製品・海外製品をあわせると沢山の商品があり、結局どの育毛剤を選べば良いのか分からない方も多いかと思います。

生え際の後退や薄毛対策として使用する、育毛剤の選び方は以下の通りですので参考にしてください。

3つのポイント

①成分
髪を太く成長させる成分が配合されているか

②成分
DHTを抑制する成分が配合されているか

③価格/使用感
継続できる使用感や価格帯かどうか

それでは詳しく解説していきます。

髪を太く成長させる成分が配合されているか

生え際の後退や薄毛対策として育毛剤を使用されるのであれば、髪を太く成長させる成分が配合された育毛剤を選びましょう。

日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」によると、育毛剤に配合される成分として、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)に推奨されているのは以下の3種類の成分です。

  AGAへの推奨度 FAGAへの推奨度
アデノシン B C1
t-フラバノン C1 臨床試験は実施されていない
サイトプリンや

ペンタデカン

C1 臨床試験は実施されていない

3種類の成分の中でも、特に推奨度が高いのは「アデノシン」です。 

アデノシンは毛乳頭細胞に作用して、髪の成長に必要な発毛促進因子(FGF-7)を促進し、ヘアサイクルの退行期への移行を防ぐ効果があります。さらに血行を促進して髪に必要な栄養や酸素を毛根に供給するため、髪を太く健康に育てることに繋がります。

DHTを抑える成分が配合されているか

生え際の後退や薄毛対策として育毛剤を使用されるのであれば、AGAやFAGAの根本「ジヒドロテストステロン(DHT)」を抑制する成分が配合された育毛剤を選びましょう。

ジヒドロテストステロン(DHT)を抑制できれば、AGAやFAGAによる抜け毛の予防にも繋がります。

DHTを抑制する成分

・オレアノール酸

・ヒオウギエキス

・冬虫夏草エキス

・ノコギリヤシ

オレアノール酸については、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) において臨床試験の治験データ(対象:50歳以下の男性)が発表されており、硬毛数の有意的な増加が認められ、副作用がなく長期に安全に使用できる薬剤であるとされています。

継続できる使用感や価格帯かどうか

生え際の後退や薄毛対策として育毛剤を使用する場合、継続できる使用感や価格帯であるかを必ず確認してください。

この理由は、最低でも3~6ヶ月は同じ育毛剤を継続して使用しないと、育毛効果を得られないためです。

チェックポイント

①使用感(液ダレや香りの好み)

②頭皮への刺激の有無(エタノール等の有無)

③価格帯(継続できる価格か否か)

育毛剤には「塗るタイプ」と「スプレータイプ」がありますが、液だれが気になる方は顔を上に向けた状態で塗布すると良いでしょう。もしくはおでこにティッシュを当てて、顔に流れないようにしましょう。

効果をアップのために

生え際の後退や薄毛対策には、まずは育毛剤の使用をおすすめします。ただし、育毛剤を使用するだけでは、十分な薄毛対策とは言えません。育毛剤の効果をアップさせるために知っておきたい知識をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

使い方やタイミング

育毛剤を使うタイミングは就寝前のお風呂上がりで、以下のような使い方をおすすめします。

  1. ブラシで髪をとかす
  2. シャンプーで洗髪する
  3. ドライヤーで7~8割程度乾かす
  4. 育毛剤を「頭皮全体」に塗布する

育毛剤の塗り方は、「生え際だけに塗布」ではなく、「生え際を中心として頭皮全体に塗布」がポイントです。

育毛剤を使うタイミングや正しい使い方について、詳しくは「【医師監修】育毛剤はタイミングが大事!正しい使い方と使い始める時」をご覧ください。

頭皮マッサージ

育毛剤を使用した後は、頭皮マッサージを行われることをおすすめします。

この理由は、頭皮マッサージをすることで血行を促進し、毛母細胞に髪に必要な栄養素や酸素を届けやすくするためです。

頭皮マッサージのやり方については、「硬い頭皮は薄毛の前触れ!?プロが教えるカンタン柔らか頭皮マッサージ3選」でご紹介しているので併せてご覧ください。

生活週間の見直し

頭皮環境に合わないシャンプーを使っていたり、髪に必要な栄養素が不足していたりしては、育毛剤の効果が半減してしまいます。効率的に生え際の後退や薄毛対策をするためには、ヘアケアや生活習慣など、様々な見直しが必要です。

詳しくは「抜け毛予防まとめ!シャンプーや食べ物など改善すべきコト【男女共通】」で解説しているので、併せてご覧ください。