【医師監修】黒ずみ・開きなど毛穴トラブルにビタミンCがいい理由
ビタミンCが毛穴トラブルの解消に効果があることは知られていますが、ビタミンCがどのように毛穴へアプローチし、トラブルを解消しているのかを理解している方は少ないかもしれません。この記事では、ビタミンCと毛穴トラブルの関係性について詳しく解説します。
お肌の悩み=毛穴トラブルといってもいいほど、毛穴ケアは美肌を目指す上では欠かすことができません。
そして、毛穴トラブルの改善=ビタミンCというのも定番になりつつありますが、どういった理由でビタミンCが毛穴トラブルを解消してくれるかどうかまで理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回は毛穴トラブルとビタミンCの関係について解説します。毛穴にビタミンCの効果が十分行き渡るために心掛けたいことも紹介しています。
この記事の監修者
恵比寿美容クリニック院長
東海大学医学部医学科卒業。都内市中病院で初期研修後、消化器内科診療に従事。その後は人間ドックでの診療を続けながら恵比寿美容クリニックにて勤務し、現在は院長として診療に従事
ビタミンCに頼る前に毛穴トラブルの原因を理解しよう
ひと口に毛穴トラブルといっても、様々な種類があります。ここでは、代表的な毛穴トラブルとその原因について解説します。
代表的な毛穴トラブル
詰まり・黒ずみ
毛穴に角質、皮脂が詰まることで起こるのが「黒ずみ(角栓)」です。とくに、Tゾーンや小鼻は皮脂が溜まりやすく、黒ずみが起こりやすいです。
毛穴パックで角栓を取る方も多いですが、本来適量は必要な角質や皮脂が取れ過ぎることもあるので、やりすぎには注意しましょう。
毛穴が開く
毛穴が開いてしまう原因は、大きく2つです。
・過剰な皮脂分泌
・加齢による肌のたるみ
過剰な皮脂分泌によって毛穴の開きが起こり、それらの溜まった皮脂(または角質)が酸化することで黒ずみになります。また、加齢などによって肌の密度が低くなり、毛穴が伸びるように広がります。
毛穴の開きを防ぐには、水分量を保つことが重要となります。
というのも、過剰な皮脂分泌は水分不足を招き、水分不足になった肌はハリを失います。水分量を保つために、洗顔後の保湿を徹底するようにしましょう。
吹き出物・ニキビ
思春期ニキビ、大人ニキビをはじめ吹き出物も毛穴トラブルの代表格です。
吹き出物ができてしまう原因は主に3つです。
・過剰な皮脂分泌
・毛穴のつまり
・アクネ菌の増殖
ここまでの説明でお分かりのとおり、毛穴トラブルには様々な種類がありますが、それぞれが独立して起こるというよりは、毛穴のつまりが吹き出物に繋がるなど、それぞれが絡みあって起こるケースも多いです。
ちなみに、ニキビには段階があります。
皮脂に毛穴がポツンと詰まって白い点ができたものが「白ニキビ」、白ニキビが酸化して黒くなったのが「黒ニキビ」といいます。また、炎症が起きたニキビを「赤ニキビ」、赤ニキビがさらに悪化して膿(うみ)のようになったものが「黄ニキビ」です。
これらの吹き出物を防ぐには、毛穴を清潔に保つことが最も重要です。外部刺激が少なく済むように、丁寧なスキンケアを心掛けましょう。※詳しくは後述
メラニンの色素沈着
毛穴は詰まりによる黒ずみだけでなく、肌にメラニンが増えることによって黒っぽくみえているケースもあります。そして、メラニン色素の沈着はシミになります。
メラニンは紫外線による刺激によって、生成されます。「メラニン」を悪いものだと思っている方もいますが、メラニンは紫外線を吸収して肌を守るという役割を果たしています。強い紫外線をあびることによって、メラニンが過剰に生成され、結果として黒く見えてしまうのです。
紫外線対策は意識的に行うようにしましょう。
ちなみに、黒ずみとの見分け方が難しいですが、黒ずみの場合は手触りがザラザラもしくはボツボツしていますが、メラニン色素が沈着している場合はツルツルしています。
乾燥
毛穴の乾燥も立派なトラブルの一種です。
乾燥によって水分が不足すると、毛穴の凹凸が目立つようになります。
肌の水分量を保つためには、洗顔後の化粧水、乳液による保湿はもちろん、冬などは加湿器を利用するなど、生活環境の湿度にも気を使いましょう。
毛穴トラブルが起こる習慣
では、これらの毛穴トラブルは皮脂の過剰分泌や水分不足などが原因で起こるものですが、それらを招く悪い習慣を紹介します。
ゴシゴシ洗い
肌を清潔に保つためには、洗顔は欠かせません。
しかし、ゴシゴシ洗い、洗いすぎは逆効果です。
ゴシゴシ洗いすぎると肌に必要な皮脂まで落としてしまう結果、皮脂の過剰分泌につながるからです。
洗顔は朝夜の1日2回、肌に優しい洗い方が基本です。
正しい洗顔方法
➀ 手を洗う ② 顔をぬるま湯で洗う ➂ 洗顔料をきっちり泡立てる ④ 泡をこすらずに円を描くように優しく洗う ⑤ ぬるま湯ですすぐ ⑥ 水分をしっかり拭き取る |
洗顔料をきっちりと泡立てるのが一番のポイントです。空気を含ませるように、水を適量加えながら泡立てましょう。洗顔後はスキンケアをして、肌を保湿しましょう。
化粧の厚塗り
お化粧は肌に合った商品を、正しく扱わないと毛穴トラブルを招きます。
とくに注意したいのが化粧の厚塗り、「厚化粧」です。厚化粧は“肌呼吸”を妨げてしまい、乾燥につながるからです。また、化粧品の油分で毛穴が詰まる可能性もあります。
肌荒れを隠そうと厚化粧をする方がいますが、逆に肌荒れを目立たせることにもなります。
厚化粧を避けるのはもちろん、フルメイクではなくポイントメイクにとどめるなど肌に負担をかけない工夫をしましょう。
紫外線の浴びすぎ
先述しましたが、紫外線は肌の大敵です。普段からケアしている方でも十分でない可能性があります。
例えば、冬場は日焼け止めを塗らない、外出前に1回付けるだけの方は注意しましょう。夏場ほどではないにせよ、冬場も紫外線のダメージはありますし、また汗などで日焼け止めが落ちたときは再度塗る必要があります。
また日焼け止めの効果指数を表す「SPF」や「PA」もきちんと理解しましょう。
SPFは肌に炎症を起こさせる紫外線(UV-B)の防止効果を示すものです。PAは肌を黒くする(UV-A)の防止効果を示すものです。それぞれの程度をSPFは「50+」など数字で表すのに対して、PAは「PA+」「PA+++」など+の数で表します。
一概に紫外線防止効果が高いものほど、肌への負担が大きくなるわけではありませんが、生活シーン、季節に合わせた日焼け止めを選ぶようにしましょう。
乱れた食生活
食べ過ぎや栄養バランスの偏った食事は、胃腸に負担をかけ、結果として毛穴トラブルを招きます。
健康な肌環境を保つために欠かせない主な栄養素として、次のようなものがあります。
・ビタミンA・・・肌のターンオーバーを促す
・ビタミンB6・・・皮膚の健康維持に役立つ
・ビタミンC・・・肌の弾力を保つコラーゲンの生成を助ける
・ビタミンE・・・肌の酸化を抑える
・タンパク質・・・肌細胞の原料となる
たとえ上記の栄養素が入っていたとしても、ジャンクフードやお菓子などは糖質、脂質が多く、肌荒れの原因となるのでできるだけ避けましょう。
睡眠不足
肌と睡眠は密接に関係しています。
なぜなら、肌は睡眠中に生まれ変わるからです。睡眠中に分泌される成長ホルモンによって、肌の新陳代謝は活発になります。
そして、睡眠は交感神経と副交感神経のバランス、ホルモンバランスを保つ役割を果たします。睡眠不足が続くと、ホルモンバランスが乱れ、肌荒れにつながるのです。
日頃から質の高い睡眠をとれるように、寝具や照明など自分に最適な就寝環境を整えましょう。
毛穴トラブルはビタミンCで全部解決??
ここまで毛穴トラブルについて解説してきましたが、今回のテーマであるビタミンCはこれらを全て解決できるのでしょうか。
結論から言うと、ビタミンCは毛穴トラブルの改善に非常に有効ですが、万能ではありません。まずはビタミンCの代表的な効果について紹介します。
ビタミンCが毛穴に与える効果
古い角質を溜まりにくくする
ビタミンCには、肌のターンオーバーを促す効果があります。ターンオーバーによって、古い角質は外に押し出されます。
過剰な皮脂分泌を抑える
ビタミンCには、皮脂の分泌を正常に整える効果があります。過剰な皮脂分泌を抑えてくれるので、毛穴の黒ずみ、開きを予防します。
引き締める
ビタミンCはコラーゲンの生成を促す効果があります。コラーゲンは肌を引き締め、ハリと弾力、つやをもたらしてくれます。
色素沈着を抑える
ビタミンCは抗酸化作用によって、メラニン色素が黒色に変わるときに働くチロシン(アミノ酸)の活性を抑制してくれるので色素沈着(シミ)を予防します。また、黒色メラニン色素を無色化する還元作用もあります。
ビタミンCのシミ予防効果については「【医師監修】シミ対策にはビタミンC!化粧品を塗る&サプリメントを飲むのが大切」で詳しく解説しています。
ビタミンCは毛穴トラブル改善の強い味方!!だけど・・・
これらのビタミンCの効果をみても分かるように、この記事の冒頭で紹介した全ての毛穴トラブルに効果を発揮します。ただ、効果を発揮するからといってビタミンCを塗る、もしくは摂取するだけで全てが解決するわけではありません。
食事、睡眠など生活習慣を整えることが重要
ビタミンCが肌に良い影響を与えることはたしかですが、根本改善には内側からのケアが不可欠です。食事、睡眠といった基本的な生活習慣を整えた上でこそ、ビタミンCはその効果を発揮するのです。
ビタミンCが毛穴トラブルを全て解決する“万能薬”ではないことは心得ておきましょう。
毛穴にビタミンCを浸透させるための+α
それでは最後に、ビタミンC系の化粧品をより効果的に活用するコツをご紹介します。
蒸しタオル
化粧水(美容液)をつける前に、蒸しタオルを肌に乗せて毛穴を開かせることで、毛穴に詰まった角栓などの汚れがとれて、より化粧水の成分が浸透しやすくなります。
ただし、蒸しタオルはやり過ぎると肌に必要な皮脂まで落としてしまうので、週に1回~2回で十分です。
蒸しタオルの作り方
蒸しタオルの作り方は簡単です。
➀ タオルを水で濡らす
② 電子レンジで温める(目安:500Wで1分)
蒸したタオルを1分程度顔に乗せた後、化粧水(美容液)を塗りましょう。
タオルの温度確認は怠らないように
タオルを電子レンジで温めた後にそのまま顔に乗せると、タオルの熱によって火傷する可能性があります。必ず、手で温度確認をするようにしましょう。
コットンパック
化粧水(美容液)をつける際、可能であれば、コットンを使うのがおすすめです。成分がじっくり深く浸透するからです。
コットンでパックする時間は5分前後で十分です。
長すぎるパック時間は逆効果
パック時間は長ければ良いわけではありません。長すぎるパックはコットンが乾いてしまい、逆に肌が乾燥しやすくなります。
ビタミンC系化粧品は、その浸透具合が効果を左右します。蒸しタオル、コットンパックをぜひお試しください。
毎日の生活でほんの少しでも"美容って楽しい"と思ってほしい。そんな気持ちで、美に関する情報を発信していきますので、見ていただけると嬉しいです。