本当は怖いカラダの糖化。影響・対策は?

Skincare

 

 

なんだか最近、肌の乾燥が気になる、シミやハリ不足が気になる。

そんな肌トラブルにはもしかしてお肌の「糖化」が関係しているかもしれません。

近年、老化の原因として注目されているカラダの糖化。

糖化はパンで表現されることが多く、パンが焼くとコゲるように私達のカラダも糖化します。

糖化が私達の肌やカラダに及ぼす影響はどういったものでしょうか。

糖化について研究を行っている東海大学農学部バイオサイエンス学科 永井竜児 教授にお話をお聞きしました。

interview 永井竜児 教授

interviewee東海大学農学部バイオサイエンス学科 永井竜児 教授

熊本大学大学院医学研究科修了・博士(医学)。専門分野は、食品機能学、生化学。

東海大学農学部バイオサイエンス学科食品生体調節学研究室准教授を経て、平成29年4月同教授就任。

Q. 先生が糖化に着目されたきっかけはなんですか?

A. 以前は病弱だったので健康医学について元々興味があったことに加え、学部生のときに早老症患者の写真を見たことがきっかけです。

メカニズムが分かれば老化を遅らせることができるのではないかと考えました。

また、手塚治虫先生の漫画「火の鳥」を読んだこともきっかけの一つです。(火の鳥の血を飲めば永遠の命を得られるという火の鳥を中心に物語が展開する。)

どんなに財力や権力があっても永遠の命を得ることはできないという手塚先生のメッセージもあり、老化を遅らせる研究に強い興味を持ちました。

Q. 糖化が進むことでの肌への影響はどのようなものがありますか?

A.  糖化ストレスにより、肌のコラーゲン量や水分量が減少。皮膚が薄くなり、しなやかさや潤いも失われます。

糖質は生きるためのエネルギー源として不可欠な栄養素ですが、通常は食事で摂取された後、インスリンの働きですみやかに肝臓や筋肉に取り込まれます。

しかし、運動不足や過食などが続くと糖質が組織にうまく取り込まれなくなり、高血糖が続きます。その結果、血液の糖は様々な体内のタンパク質と結合してAGEsという老化物質が生成されます。
この反応をメイラード反応、あるいは最近はよりシンプルに「糖化」と言われていますが、生体のコラーゲンなどの骨格タンパク質や酵素などのタンパク質がAGEsすると様々な障害がおこり、この糖化によるカラダへの影響を「糖化ストレス」と呼びます。

肌の弾力に欠かせないコラーゲンもタンパク質ですが、コラーゲンが糖化すると、硬くなるだけでなく、コラーゲンを作ってくれて、さらに肌の張りにも関係している線維芽細胞が減少。

それに伴って肌のコラーゲン量も減少し、さらに水分量も減少することで、肌が老化すると綿が入っていない布団のように皮膚が薄くなってしまい、しなやかさや潤いが失われます。

 

POINT糖化ストレスにより、肌のコラーゲン量や水分量が減少。皮膚が薄くなり、肌のしなやかさや潤いが失われる。

そのため、糖化ストレスが肌の乾燥やシワ、ハリ不足などの一因に。

Q. 肌以外の体への影響はどのようなものがありますか?

A.  血管が糖化すると様々な生活習慣病にも影響を及ぼします。

睡眠不足や運動不足、就寝前のドカ食いなどの生活習慣は糖質代謝を悪化させ、糖化を促進させます。

実は肌のみならず血管の主要成分もコラーゲンでできていますが、このような生活習慣では血管の糖化も進み、糖尿病性の網膜症、神経障害、腎症さらには心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病にも影響を及ぼします。

Q. 糖化の原因になることはどのようなものですか?

A. 生活習慣や過度な日焼け、精神的ストレスも一因となります。

 

睡眠不足、運動不足、不適切な食パターン(甘いもののとりすぎ、過度な飲酒、空腹時のどか食い等)、さらには不規則な食生活など日々の生活習慣が原因となります。

また、過度な日焼けと同様、精神的ストレスも活性酸素を介して糖化が進む一因となるでしょう。

POINT糖化の原因は生活と密接しているので、すべてケアをするのは難しい。

Q. 糖化の進行をチェックするとしたらどのような項目がありますか?

A. 下記項目をチェックしてみましょう。当てはまったらまずは改善することを心掛けてください。

  • CHECKよく眠れない日がある
  • 甘いものが大好き
  • 運動不足だと思う
  • 移動は車が多い
  • 日焼け対策が万全ではない
  • 就寝直前に食事を摂ることがある
  • 肌の乾燥・シミ・ハリ不足などが気になる

Q. 食事での糖のとりすぎによって肌および体の糖化が進みますか?

A. 運動不足と糖質の過剰摂取が重なるとカラダの糖化が進みます。

AGEsはタンパク質と糖質との反応から生成しますが、糖質の摂取が常に悪という訳ではありません。

戦前・戦後の日本人は今の日本人よりも数倍お米を食べていましたが糖尿病患者は非常に稀であったことからも、糖質は常に体に悪いと考えるのは誤解です。

実は糖尿病患者の増加と自動車増加率は綺麗に相関していることから、糖尿病患者急増の背景には運動不足があります。

さらに、食事の西洋化に伴って、和食率の低下も関与していると考えられます。

ダイエットで糖質を控える際、糖質をゼロにしてしまうと今度は脂質の代謝から過剰にケトン体が生成してめまいなどの原因になります。このケトン体からもAGEsができてしまうため、糖質ゼロの食生活はおすすめできません。

つまり、運動不足と糖質の過剰摂取が重なると食後の血糖値がなかなか下がらずに生体の糖化が進んでしまいます。

さらに、血糖値が高くなるとインスリンが分泌されますが、インスリンは脂肪組織に働いて脂質の貯蓄を高める働きもあります。

 

  • 食生活POINT咀嚼回数を増やしてゆっくり食べる
  • ベジタブルファースト
  • 低糖質(ロカボ)
  • 食物繊維豊富なメニューを食べる
  • 甘いものや炭水化物を食べすぎない
  • 機能性表示食品を生活に取り入れる。

美味しく食事を取ることはとても大切です。ご自身のできる範囲で意識してみてください。

Q. 糖化を防ぐためにはどのような点に気を付けるべきですか?

A.下記のような点に気をつけましょう。

  • POIN睡眠を十分にとる
  • 食生活の改善
  • 運動不足の解消
  • 紫外線対策
  • ストレスを溜めない

食事はゆっくり食べ、食物繊維豊富なメニューを取り入れましょう。特に、甘いものや炭水化物のとりすぎには気をつけましょう。

運動は、軽い運動がオススメです。続けられる範囲でやってみてください。

生きているうちは色々な悩みからストレスはつきものですね。ストレスを溜め込みすぎるとからだの様々な不調につながるので、無理をせず自分なりの発散法を知っておくことが大切です。

Q. 糖化と酸化で負のスパイラルが起こるって本当ですか?

A. 糖化と酸化の負のスパイラルは起こります。

コラーゲンに糖質が結合(糖化)する反応は可逆的で、時間が経つと糖質が外れる反応もおこります。

しかし、糖化されたタンパク質が酸化するとAGEsとなり、もはや元に戻ることはできなくなります。

またタンパク質は側鎖にプラスの電荷を持ったアミノ酸とマイナスの電荷を持ったアミノ酸が計画的に並んで立体構造が保たれています。そして、プラスの電荷を持ったリジンやアルギニンが糖化のターゲットとなりプラスの電荷が消えてしまい、結果的に電荷のバランスが崩れて立体構造が壊れてしまう「変性」がおこり、肌の状態が悪化します。

さらに、AGEsが組織内に蓄積すると、本来作り変えられるべき古いコラーゲンが正常に分解されず、さらに先に述べた通り線維芽細胞に障害を与え、糖化ストレスを引き起こしてしまいます。

そのため、糖化と酸化の負のスパイラルは起こると言えるでしょう。

 

Q. 糖化は加齢とともに進行するイメージですが、若い人でも気を付けるべきですか?

A. 糖化は年齢が上がるほど差がついてしまうので、若いうちから生活習慣の見直しを含む糖化ケアを行うことが大切です。

小学生でも運動不足などの原因から成人病はおこりますが、必ずしも成人特有の病気ではないことから、1996年に生活習慣病という名前に変わりました。同様に、生きてる限り生体で糖質を利用しますので、若年者でも糖化は進行し、生活習慣の不良によってAGEs生成は促進されます。

しかし、AGEs生成を早める因子である生活習慣病に罹る確率は青年期以降に高まることや(AGEs生成が早まる)、加齢に伴って老廃物を代謝する速度も遅くなることから(AGEs排泄が遅くなる)、相対的に、加齢に伴ってAGEs蓄積が高まると言っても過言ではないでしょう。

しかし、大切なのは生活習慣です。

糖化は年齢が上がるほど差がついてしまうので、若いうちから糖化ケアを行うことが大切です。

Q. 糖化ケア成分としてのロダンテノンBはどのような作用がありますか?

A. ロダンテノンB はコラーゲンのAGEs化を抑制することで、結果的に線維芽細胞へのダメージを予防できる可能性があります。

ロダンテノンB

ロダンテノンBは、マンゴスチンに含まれる水溶性ポリフェノールです。近年、糖化ケア成分として注目されています。マンゴスチンはオトギリソウ科の常緑高木で、果樹として熱帯地方で広く栽培されています。果実の甘味と酸味が調和した優美な風味は、ヨーロッパの探検家の興味の的となり「果物の女王」と賞されました。

POINT

マンゴスチン果皮熱水抽出物(WEM皮膚AGEsレベルを示す蛍光値を低減させる作用があります。

出典:

Ohno R, Nagai R et al. Mangosteen pericarp extract inhibits the formation of pentosidine and ameliorates skin elasticity.

J Clin Biochem Nutr. 57(1):27-32, 2015

Q. サプリメントで糖化ケアすることについては、どう思われますか?

A.  サプリメントを活用することもアンチエイジングを目指した選択肢の一つ。

社会人になると突然の会議や計画変更も多いと思いますが、そのため糖化を予防できる運動習慣、食習慣を毎日ストイックに続けることは難しいと思います。

そのためAGEs生成を予防できるサプリメントを活用することもアンチエイジングを目指した選択肢の一つとなると思います。

最後に

糖化が進むと、肌老化だけでなく、生活習慣病にも繋がります。

また、糖化は年齢が上がるほど差がついてしまうので、若いうちから生活習慣の見直しを含む糖化ケアを行うことが大切です。

自分のカラダが糖化する…考えただけで恐ろしいですよね。

バランスの良い食生活や軽い運動・睡眠をたっぷりとるなど良い生活習慣が将来の若々しさに繋がります。

サプリメントも上手に活用して、糖化しにくいカラダを目指しましょう!

少しでもお役に立てれば幸いです。

 

出典:間違いだらけの栄養学、永井竜児著、辰巳出版