ビタミンBが豊富な食べ物&おすすめレシピを目的別に紹介

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数あるビタミンの中でもビタミンB群は、健康、美容等の観点から非常に重要な栄養素です。しかし、一概に「ビタミンB」といっても、多くの種類があり、それぞれによって担う役割に特徴があります。

 

「ビタミンB1とビタミンB12ってどう違うの?」

「ビタミンB2とB6はよく聞くけど、B3、B4はないの?」

 

一概にビタミンB群と言われるビタミンについて、様々な疑問を持っている方も多いでしょう。

今回はビタミンB群の種類とそれぞれの働きをはじめ、ビタミンB群が豊富に含まれる食べ物とおすすめレシピを紹介します。

この記事の監修者

 

小出 智子

精神保健指定医、精神科専門医・指導医、日本認知症学会専門医・指導医

日本精神神経学会、日本認知症学会、日本抗加齢学会所属。長崎大学医学部卒業。大学病院にて勤務後、精神科研修と同時に美容皮膚科としても研鑽を積み、美容皮膚科院院長として勤務。香り・運動が美容・メンタルに及ぼす影響に注目し、アロマテラピストとしての経験も積みながら、ピラティスインストラクターの資格も取得。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。

なぜビタミンBが必要なのか?~食べ物だけでは足りない?~

ビタミンB系のサプリメントは、テレビCMでもよく目にする機会が多いでしょう。漠然とビタミンBが健康や美容に良いという認識はあっても、どのように働きがあるのかをきちんと理解している方は少ないかもしれません。

ここではまず、ビタミンBが必要な理由について解説を行っていきます。

ビタミンBは種類が豊富=様々な効果がある

ビタミンBはビタミンB群と呼ばれるほど、その種類は豊富です。

それぞれの働きを見ていきましょう。

ビタミンB1~疲労回復に欠かせない栄養素~

ビタミンB1は糖質の代謝を助ける栄養素です。そのため、不足すると糖質をエネルギーに変えられずに疲労感、だるさを感じるようになります。

また、アルコールの分解の一端も担っており、ビタミンB1の不足は二日酔いの一因にもなります。

そのほか、皮膚や粘膜を保護する役割もあります。

ビタミンB2~脂質の代謝を助ける栄養素~

ビタミンB2は糖質、脂質、タンパク質の代謝を助ける栄養素です。とくに脂質の代謝に大きく関わっています。また皮膚や粘膜、爪の再生に加え、髪の細胞を再生させる働きもあるため、薄毛に悩む方は意識的に摂取したい栄養素のひとつです。

ビタミンB2が不足すると口内炎や粘膜の炎症が引き起こされたり、成長期の成長スピードが遅くなる可能性も指摘されています。

ナイアシン(ビタミンB3)~神経症状にも影響を及ぼす栄養素~

ナイアシンは「ビタミンB3」と呼ばれ、500種類以上もの酵素の働きを助ける栄養素です。

糖質や脂質、タンパク質の代謝だけでなく、欠乏すると、ペラグラという病態の一環で錯乱状態等の精神神経症状を発症することがあります。

また、ビタミンB1、B2と同様に皮膚や粘膜の健康を維持する働きもあります。

パントテン酸(ビタミンB5)~不足するとストレスに対する抵抗力が弱まる~

パントテン酸は「ビタミンB5」とも呼ばれ、ビタミンB2やナイアシンと同様に、糖質、タンパク質、脂質のエネルギー代謝を助ける、皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。

また、不足するとストレスに対する抵抗力が弱まってしまい、イライラや不眠や倦怠感などが出くることがあります。

ビタミンB6~アミノ酸の代謝を助ける栄養素~

ビタミンB6はエネルギー代謝、中でもタンパク質を構成するアミノ酸の代謝を助ける栄養素です。つまり、タンパク質の摂取が多いほど、ビタミンB6の必要量も多くなります。

アミノ酸の代謝を助けることで、免疫機能を正常に維持したり、皮膚の抵抗力を高める働きがあります。そのため不足すると、皮膚のかゆみや炎症、貧血、けいれんやむくみ、下痢といった症状が起きます。

ビタミンB12~血液をつくるために欠かせない栄養素~

ビタミンB12は正常な赤血球の生成に関わるため、血液を作るためには欠かせない栄養素です。また、DNAの合成、神経機能を正常に保つ働きがあるだけでなく、最近の研究では、睡眠と関連する可能性もわかってきています。

そのため、ビタミンB12が不足すると、貧血をはじめ、食欲不振、体重減少、睡眠障害を招く可能性があります。

葉酸~細胞の生産、再生をサポートする栄養素~

葉酸もビタミンB12と同様に、赤血球の生成に関わる栄養素です。また、DNAやタンパク質の合成など細胞の生産、再生をサポートします。そのため、とくに細胞増殖が活発な胎児の発育に重要な役割を果たします。

葉酸が不足すると、貧血だけでなく、胎児や乳児の成長不良を及ぼす可能性が指摘されています。

ビオチン~肌、髪の毛の健康維持に欠かせない栄養素~

ビオチンは「ビタミンH」と呼ばれ、糖質、タンパク質、脂質の代謝を助けるほか、肌や髪、爪の健康を維持する働きがあります。不足すると、皮膚炎や口内炎、脱毛、吐き気といった症状が起こります。

なお、ビオチンは体内で生成できないため、食品による摂取が欠かせません。

ビタミンBは食事で摂取しやすい栄養素だが・・・

紹介したように沢山の種類があるビタミンB群ですが、基本的には普通に健康的な食生活を継続できていれば補うことのできる栄養素です。

しかし、食品の精製、加工の過程で失われていくため加工食品が多い食生活の方は注意が必要です。またアルコールの摂取やストレス過多の生活を送っている場合は消費量が多くなり不足がちとなります。

加工食品や保存食品を食べる機会が多い方、飲酒の習慣がある方、ストレスを抱えている方は意識的にビタミンB群を摂取するようにしましょう。

ビタミンB群の摂取基準

成人におけるビタミンB群の摂取基準量は以下の通りです。

ビタミンB群 成人男性 成人女性
ビタミンB1 1.4mg 1.1mg
ビタミンB2 1.6mg 1.2mg
ナイアシン 15mgNE 11mgNE
パントテン酸 6mg 5mg
ビタミンB6 1.4mg 1.1mg
ビタミンB12 2.4mg 2.4mg
葉酸 240µg 240µg
ビオチン 50µg 50µg

参考:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)

なお、成人女性でも妊婦の場合は数値が変わります。

 

ビタミンB1 1.3mg
ビタミンB2 1.5mg
ナイアシン 11mgNE
パントテン酸 5mg
ビタミンB6 1.3mg
ビタミンB12 2.8mg
葉酸 480µg
ビオチン 50µg

参考:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)

上の表の通り、胎児の発育に重要な役割を果たす葉酸は倍の量が必要になっていることが分かります。

ビタミンB群それぞれが豊富に含まれる食べ物については、次章で紹介します。

ビタミンBサプリの有用性

前述した摂取基準量を満たすために、サプリメントを活用するのは有効ですが、ナイアシンやビタミンB6、葉酸は過剰摂取のリスクがあることで知られています。

つまり、食事で十分量を摂取できているにもかかわらず、サプリメントを飲用すると健康被害が出る可能性があるので、注意が必要です。

逆に、ビタミンB1、パントテン酸は調理の影響を受けやすいため、食事で十分量を摂れていないケースも珍しくありません。

「ビタミンBサプリメント」といっても種類が豊富なので、食事の傾向などから自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

ビタミンBが豊富な食べ物

ビタミンB群が豊富に含まれる代表的な食べ物を紹介します。

ビタミンB1が豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(mg)
豚ヒレ 2.09
豚もも 1.19
豚ロース 0.9
うなぎ(かば焼き) 0.75
大豆(黄大豆) 0.71
たらこ 0.77

参考:文部科学省『食品成分データベース

ビタミンB1は豚肉、中でもヒレ肉、もも肉に多く含まれています。

ビタミンB=豚肉というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、豚肉以外だと、うなぎ、大豆、たらこにも豊富に含まれています。

ビタミンB2が豊富な食べ物

 

食品名 可食部100g当たりの含有量(mg)
豚レバー 3.6
牛レバー 3.0
焼きのり 2.33
乾燥しいたけ 1.74
アーモンド 1.1
いなごの佃煮 1.0

参考:文部科学省『食品成分データベース

ビタミンB2はレバーだけでなく、肉の肝臓全般に多く含まれています。

焼きのりにはビタミンB2が豊富に含まれていますが、必要量を摂取するには、膨大な量(約25枚以上)を食べないといけない計算になるので、効率的に摂取するならレバーをはじめ、アーモンドなどのナッツ類がおすすめです。

 ナイアシン(ビタミンB3)が豊富な食べ物

 

食品名 可食部100g当たりの含有量(mg)
乾燥まいたけ 64.0
たらこ 50.0
落花生 23.0
まぐろ(びんなが) 21.0
かつお 19.0
さば(ごま) 19.0

参考:文部科学省『食品成分データベース

ナイアシンはまいたけのほか、まぐろ、かつお、さばなどの魚介類に多く含まれています。魚を調理するのが面倒という方はサバ缶などを活用するのもいいでしょう。

パントテン酸(ビタミンB5)が豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(mg)
豚レバー 7.19
牛レバー 6.40
たらこ 3.68
納豆(糸引き) 3.60
乾燥まいたけ 3.67
3.60

参考:文部科学省『食品成分データベース

パントテン酸はビタミンB2同様に、レバーに多く含まれています。レバーは前述したナイアシンも豊富に含んでおり、ビタミンB群においては「最強食材」のひとつです。

また、パントテン酸は毎日手軽に食べられる納豆にも豊富に含まれているため、1日1パック食べる、というように習慣化してもいいかもしれません。

ビタミンB6が豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(mg)
にんにく 1.53
ピスタチオ 1.22
まぐろ赤身(みなみまぐろ) 1.08
牛レバー 0.89
かつお 0.76
豚ヒレ 0.54

参考:文部科学省『食品成分データベース

にんにくは多くのビタミンB6が含まれていますが、1回の食事で食べる量を考慮すると、まぐろ、かつおなどの魚介類、レバーが効率的に摂取できるのでおすすめです。

ビタミンB12が豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(µg)
しじみ 68.4
味付けのり 58.1
牛レバー 52.8
あさり 52.4
牡蠣 28.1
まさば水煮 19.0

参考:文部科学省『食品成分データベース

ビタミンB12が多く含まれている食品はしじみやあさり、牡蠣などの貝類に。また、さばやさんまなどの青魚、上の表には記載していないですが牛、豚、鶏のレバーにも豊富に含まれています。

葉酸が豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(µg)
焼きのり 1900
パセリ 1400
ブロッコリー 450
枝豆 320
ほうれん草 210
納豆(糸引き) 120

参考:文部科学省『食品成分データベース

焼きのりやパセリは葉酸を多く含んでいますが、1食で食べる量はあまり多くないのでブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜、枝豆、納豆などの豆類がおすすめです。

ビオチンが豊富な食べ物

食品名 可食部100g当たりの含有量(µg)
乾燥まいたけ 240.0
落花生 92.0
牛レバー 76.0
焼きのり 47.0
乾燥しいたけ 41.0
鶏卵 24.0

参考:文部科学省『食品成分データベース

ビオチンはきのこ類、レバー、大豆類の食品に多く含まれています。また、調理の過程で分解されにくいという特長があります。

【目的別】最強ビタミンBレシピ

冒頭で解説したように、ビタミンB群は種類が多いため、様々な働きがあります。

ここでは、目的別にビタミンBを効率的に摂取できるレシピを紹介します。

肌荒れ、ニキビが気になる人

ビタミンB群は総じて、肌の健康を維持する働きがありますが、中でもビオチン、また肌荒れの原因となるストレスを緩和する作用があるパントテン酸が豊富な食べ物を使った料理がおすすめです。

しいたけのたらこスパゲッティ

 

材料(1人分)

・スパゲッティ・・・100g

・しいたけ・・・2個

・たらこ・・・2分の1腹

・めんつゆ・・・適量

・焼きのり・・・適量

・青ネギ・・・適量

・塩・・・適量

 

 

作り方

1.     水を入れた鍋に小さじ1杯の塩を入れて沸騰させ、パスタを表記通りに茹でる

2.     しいたけは軸を取り、薄切りにする

3.     パスタが茹で上がる1分前にしいたけを入れる

4.     茹でたパスタ、しいたけをお皿に盛り、たらこと混ぜ合わせる

5.     めんつゆで味を調整して、焼きのり、ネギを添えれば完成

パントテン酸が豊富なたらことビオチンが豊富なしいたけを使った簡単料理。 付け合わせの焼きのりにもビオチン、ビタミンB2、ナイアシンが豊富です。

たらこはパントテン酸以外もビタミンB1、ナイアシンが豊富であり、様々な料理に使えるのでビタミンB群を摂取できるにはうってつけの食べ物です。

ボディメイクしたい人

瘦せたい方や筋トレに励んでいる方におすすめなのは、脂質の代謝を助けるビタミンB2とアミノ酸の代謝を助けるビタミンB6が豊富な食材を使った料理。とくに、ビタミンB6はタンパク質の摂取が多いほど必要になるので、筋トレをしている方には欠かせません。

豚レバーのニンニク焼き

材料(1人分)

・豚レバー・・・80g

・ニンニク・・・2分の1片

・片栗粉・・・適量

・サラダ油・・・適量

・醬油・・・大さじ1杯

・酒・・・小さじ2杯

・砂糖・・・小さじ2杯

・青ねぎ・・・適量

【タレ】

酒・・・小さじ1杯

醬油・・・小さじ1杯

 

 

作り方

1.     レバーを5mm幅にカット、氷水に20分付ける

2.     そこにタレ用の酒と醬油を入れて揉みこむ

3.     さらに片栗粉を入れて、揉み込む

4.     ニンニクをおろす

5.     フライパンにサラダ油を敷いて、中火で1分弱炒める

6.     そこにおろしたニンニク、醬油、酒、砂糖を入れる

7.     照りが出るまで中火で炒めたらお皿に盛り付け、青ネギを添えれば完成

ビタミンB2、B6がともに豊富なレバーに、ビタミンB6が豊富なにんにくを合わせた料理。先述したように、レバーは牛、豚、鶏問わずビタミンB群が豊富な「最強食材」のひとつなので、苦手でない方は意識的に食べるようにしましょう。

疲労を回復したい人

疲労回復に欠かせないビタミンB1、不足するとメンタルに悪影響を及ぼすナイアシンが豊富な食べ物を使った料理がおすすめです。

舞茸の豚肉巻き

 

材料(1人分)

・豚薄切り肉・・・150g

・まいたけ・・・2分の1パック

・塩・・・少々

・こしょう・・・少々

・片栗粉・・・適量

・サラダ油・・・適量

・醬油・・・大さじ1杯

・砂糖・・・大さじ1杯

・酢・・・小さじ1杯

 

作り方

1.     一口大に割いたまいたけに豚肉を巻く

2.     塩こしょうを振り、小麦粉を付ける

3.     サラダ油を敷いたフライパンに入れて、色目が付くまで中火で焼く

4.     醬油、砂糖、酢を入れて煮詰める

ビタミンB1が豊富な豚肉とナイアシンが豊富な舞茸を合わせた料理。

「ビタミンBを摂るなら豚肉」と言われるほど、豚肉はビタミンB群が豊富なので、積極的に食べるようにしましょう。

 間食におすすめ!コンビニで買えるビタミンBを補給できる商品

コンビニなどで、ふとした時に購入できるビタミンB群が豊富なおすすめ商品を紹介します。

おすすめ食べ物3選

・枝豆

・冷しゃぶサラダ

・アーモンド

枝豆はビタミンB1、B2、B6が豊富に含まれています。冷凍食品として販売されていることが多く、食事としても、間食としても食べられるのでおすすめです。

冷しゃぶサラダはコンビニで購入できる豚肉料理の代表格ですが、ハムやソーセージでもいいでしょう。※塩分には注意

また、アーモンドはビタミンB2が豊富であり、持ち運びができる間食に最適です。ちなみに、ピスタチオはビタミンB6が豊富です。

おすすめ飲み物2選

・豆乳

・甘酒

豆乳はビタミンB1、B2、B6とビタミンB群が総合的に含まれているだけでなく、ビタミンEも含まれています。

また、甘酒も豆乳同様にビタミンB1、B2、B6が含まれているので、お酒が苦手でない方にはおすすめです。

ビタミンBの補填におすすめのサプリメント

ビタミンBは食べ物で補いやすい栄養素ではある

今回の記事でも解説しましたが、ビタミンBは普通に健康的な食生活を送れている範囲では十分食事から補える栄養素であり、平均的な日本人の栄養状態では不足することはありません。

しかし、ストレスの多い生活を送っていたり飲酒を嗜む習慣のある方では不足しがちな栄養素であり、またナイアシン、ビタミンB6、葉酸以外のビタミンBは基本的に過剰摂取による健康被害はないため、サプリメントで補うのも有効です。