髪の成長とヘアサイクル
私たちを悩ます、抜け毛や薄毛。子供の頃は健康な髪の毛が生えていたのに、どのような過程をたどって薄毛や抜け毛になってしまうのでしょう? 日本人の髪は平均で約10万本あり、どんなに健康な場合でも平均して1日あたり50~100本程度の髪が抜けています。そしてまた新しい髪の毛が生えてくるという周期を繰り返しています。
ヘアサイクルとは?
髪は1カ月で約1.2センチ伸びますが、全く髪を切らなかったからといって、どんどん伸び続けるわけではありません。一定期間を経ると自然に抜け、抜け落ちた毛穴からはまた新しい髪が生えてきます。この繰り返しを「ヘアサイクル」といいます。ヘアサイクルは、髪が生えてから成長期→退行期→休止期と経て、やがて抜けるまでのことをいいます。
成長期:髪の毛が伸び続ける期間
退行期:髪の毛の成長が弱まる期間(約2〜3週間)
休止期:毛が抜け落ち、次に生える毛を待つ期間(数ヶ月)
まず「成長期」は、ヘアサイクルのほとんどの期間を占めています。髪をつくる細胞である、毛母細胞が分裂し髪が伸びる時期です。成長期が長ければ長いほど、髪はその分長く・太く成長する傾向があります。「退行期」は、その成長期が終わり、髪の毛の成長が止まってしまう時期のことを指します。
そして「休止期」になると、髪の毛の根っこの部分「毛根」の位置がどんどん頭皮に近くなり、その毛穴の奥で新たに成長を始めた髪に押し出されるように、自然に抜け落ちます。このヘアサイクルは、1本1本タイミングが異なるため、一度にまとめて抜ける心配はありません。
ヘアサイクルの乱れは薄毛の原因
正常なヘアサイクルの場合、成長期は4〜6年と言われています。しかしこのヘアサイクルは、常に一定の期間続くわけではなく、また永遠に続くこともありません。ヘアサイクルが乱れてくると、この成長期がどんどん短くなります。
本来であれば太く・長く成長するはずの毛髪が、産毛のように細く・短い毛髪にしか成長せず、やがて抜け落ちてしまいます。
細く短い髪の毛が多いので、仮に本数は同じだったとしても、全体的な髪の毛の密度は薄く見えてしまうことになります。また、成長期が短くなることで、1回のヘアサイクルも短くなります。本来なら生涯保たれるはずだった毛根の寿命が早々に尽き、髪の毛がもう生えてこなくなる可能性があります。
このように、ヘアサイクルの乱れは薄毛・抜け毛の大きな原因になりうるのです。
男性ホルモンによるヘアサイクルの乱れ
ヘアサイクルが乱れてしまう原因は諸説あります。遺伝やストレス、加齢、喫煙、生活習慣などさまざまですが、いずれも確かな根拠はありません。唯一解明されているのは、「男性ホルモンの影響」です。
具体的には、男性ホルモンの一種がジヒドロテストステロン」に変化し、ヘアサイクルの成長期を狂わせます。この男性ホルモンによる薄毛が、よく言われるAGA(男性型脱毛症)です。全く生えなくなってしまった毛母細胞からは、二度と髪の毛が生えることはありません。AGAの改善には早期の対策が必要です。
ビタミンCはAGAの改善にも役立つ?
AGAの改善方法はさまざまですが、その中でも最近注目されているのが、ビタミンC。海外の大学のある論文によればビタミンCは、ジヒドロテストステロン(DHT)によって誘導されて生成される、脱毛促進因子タンパク質(DKK-1)の生成段階に関与し、生成を抑制することが判明しました。(L-アスコルビン酸 2-リン酸のヒト 脱毛真皮乳頭細胞におけるジヒド ロテストステロン誘導性発現実験 Department of Immunology, School of Medicine, Kyungpook National University)
DKKはDHTによって発生する、毛包を退行期へ移行させてしまう脱毛促進因子タンパク質。食生活や睡眠などの生活習慣の改善とあわせて、ビタミンCを摂取することが、ヘアサイクルの乱れにも有効かも知れません。
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