【医師監修】抜け毛がひどいとお悩みの男性・女性必見!原因と対策【図解】

基本知識

「最近抜け毛がひどい…」

この記事を読んでいる男性・女性は、このようにお悩み中ではないでしょうか。

シャンプーで洗髪した時や髪に手ぐしをした時、抜け毛が指に沢山絡まっていると驚きますよね。

 

抜け毛本数が多くなる根本原因は、ズバリ「ヘアサイクルの乱れ」です。

ただヘアサイクルの乱れを引き起こす原因は、不摂生な生活習慣、間違えたヘアケア、脱毛症を引き起こす病気の可能性など、様々な要因が考えられます。

 

抜け毛がひどいとお悩みの方は、まずこの記事を読んで「抜け毛本数」や「毛根の形」が正常なのか異常なのかを知ってください。

そして抜け毛がひどい原因を知って、しっかりと対策を行いましょう。

記事の監修者

 

吉岡 容子
医療法人容紘会高梨医院院長

東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設。

最近抜け毛がひどい…まずは抜け毛本数で正常か異常かを判断

抜け毛の量

「最近抜け毛がひどいな…」とお悩みの皆さん、突然ですが「正常な抜け毛本数」はご存知でしょうか?

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、個人差はあるものの、1日におおよそ100本の髪が抜け、一方で約100本の髪が再生するとされています。

抜け毛本数の判定基準

〇1日100本以下なら「正常の範囲内」

×1日100本以上なら「抜け毛本数が多い」

髪の毛はずっと生えているように見えますが、「髪が伸びる→抜ける→生える」という一定のサイクルを繰り返しています。

このサイクルを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼び、私たちが目視できるのは頭皮から出ている成長期の髪のみです。

正常なヘアサイクルの場合「成長期の髪」は頭髪全体の85~90%のみ、残りは休止期の髪となり目視はできません。

日本人の頭髪は約10万本で成長期は2~6年なので、抜け毛本数が1日100本以下であれば正常の範囲内になるのです。

頭髪のヘアサイクルについて、詳しくは「髪の成長とヘアサイクル」でも解説しているのでご覧ください。

 

また、抜け毛本数は季節によって変動し、秋~冬は抜け毛本数が1200300本まで増えると言われています。

秋冬に抜け毛本数が増える原因は解明されていませんが、気温の変化による頭皮の乾燥、夏の紫外線による頭皮ダメージ、人間の遺伝子情報が原因ではないかと言われています。

抜け毛本数と同時に「毛根の形」や「髪の太さ」もチェック

抜け毛の種類見分け方

「抜け毛がひどい…」とお悩みの方は、抜け毛本数だけではなく「毛根の形」に注目してください。

正常で健康的な抜け毛の毛根は、マッチ棒やお米のような楕円形で、白っぽい膜のような「毛根鞘(もうこんしょう)」が付いているはずです(毛根鞘がない場合もあります)

毛根に丸みや膨らみがない・白い脂のようなベタつきがある・毛根が真っ黒の場合、薄毛に繋がる異常な抜け毛である可能性が高いです。

 

また、自然に抜けた髪の太さにも注目してください。

健康な抜け毛

正常で健康的な抜け毛は、髪自体が太くてコシがあり、ある程度の長さがあるはずです。

髪が細い・短い・柔らかい「産毛のような抜け毛」が多い場合は、髪が成長しきれずに抜け落ちてしまった可能性が高いです。

抜け毛がひどい原因はヘアサイクルの乱れ!病気の可能性も

抜け毛がひどい原因は、男性も女性も共通して「ヘアサイクルの乱れ」です。

記事の冒頭でもご紹介した通り、正常なヘアサイクルであれば、髪は2~6年かけて成長し、自然に抜け落ちて数ヶ月後に再生します。

発毛サイクル

ただ、ヘアサイクルが乱れてしまうと、髪が成長しきれずに抜け落ちてしまうのです。

言い換えると、ヘアサイクルの「休止期」に差し当たる髪の割合が増え、抜け毛が増えて薄毛に見えてしまうということです。

ヘアサイクルが乱れる原因

①  不摂生な生活習慣

②  間違えたヘアケア

③  脱毛症を引き起こす病気の可能性

 ヘアサイクルが乱れる原因は様々な要因が挙げられますが、脱毛症を引き起こす病気でない場合は、「血液循環の悪化」や「頭皮環境の悪化」などが考えられます。

この章では、ヘアサイクルの乱れを引き起こす根本原因について、解説をしていきます。

原因不摂生な生活習慣 

ヘアサイクルの乱れを引き起こす原因としてまず挙げられるのが、不摂生な生活習慣です。

例えば…

・栄養が偏った食事や食べ物

・運動不足

・過度のアルコール

・喫煙

・睡眠不足(睡眠の質の低下)

・ストレス

不摂生な生活習慣は血液循環の悪化を引き起こし、髪の成長に必要な栄養素が毛乳頭に届きにくくなってしまいます。

コンビニ弁当やインスタント食品が多くて運動不足、タバコを吸って過剰にお酒を飲む…などは血液循環の悪化を引き起こす代表例です。

 

また、睡眠不足や睡眠の質の低下は、就寝時の成長ホルモンが十分に分泌されず、頭皮環境を悪化させることが考えられます。

ストレスを抱えることで自律神経がホルモンバランスを乱し、血流が低下して頭皮環境の悪化を招くことも考えられます。

原因間違えたヘアケア

 ヘアサイクルの乱れを引き起こす原因として次に挙げられるのが、間違えたヘアケアによる頭皮環境の悪化です。

例えば…

シャンプーの成分が合っていない

・シャンプーの洗浄成分が強すぎる

・ドライヤーの温風の当てすぎ

・洗髪過多

・洗髪不足

・朝シャンしている

シャンプーの成分が合っていないと頭皮の炎症や乾燥を引き起こし、ドライヤーの温風を当てすぎる・洗髪過多なども頭皮の乾燥を引き起こす原因となります。

洗髪不足はシャンプーやコンディショナーの成分や皮脂汚れが毛穴に詰まり、頭皮環境の悪化を招く原因となります。

 

また、朝は頭皮の毛穴が開いている状態のため、朝シャンをすると毛穴にシャンプーの成分が残りやすくなってしまいます。

さらに頭皮に必要な脂分を落としてバリア機能がなくなるため、紫外線による頭皮環境の悪化も受けやすくなります。

原因病気の可能性

ヘアサイクルが乱れる原因は、脱毛症を引き起こす病気の可能性も考えられます。

脱毛症を引き起こす可能性がある病気と特徴をまとめたので、参考にしてください。

病気 特徴
男性型脱毛症(AGA) ・思春期以降の男性の3人に1人が発症する脱毛症

・原因は男性ホルモンや遺伝

・数年かけてじわじわと薄毛が進行する

・前髪の生え際や頭頂部に薄毛症状が出る(M字・U字・O字)

びまん性脱毛症 ・女性にみられる脱毛症の総称(FAGAや休止期脱毛症)

・頭髪全体が薄くなり脱毛の境界がない

・原因はホルモンバランスなど複数の要因がある

牽引性脱毛症 ・エクステや髪を結ぶことが多い女性にみられる脱毛症

・頭皮や髪を引っ張るという物理的刺激が原因

・負担のかかる部分が薄くなる

円形脱毛症 ・特に20代の男性と女性に現れる後天性脱毛症

・円形や楕円形の脱毛斑が1か所や複数個所に現れる

・アトピー要因、遺伝、合併症、ストレスなどが原因

ひこう性脱毛症 ・思春期以降の男性に多い脱毛症

・脂漏性皮膚炎による痒み・フケ・紅班が発症する

・フケが毛穴を塞いで常在菌が繁殖し毛根が炎症するのが原因

この他、更年期障害・妊娠初期・産後など、女性特有のホルモンバランスの変化が抜け毛の原因になることも考えられます。

ただし、妊娠初期や産後で抜け毛がひどい場合、一時的な症状なのでさほど心配する必要はありません。

抜け毛がひどい原因が「病気」ならば病院へ■

抜け毛がひどい原因が「病気」の可能性があるなら、悩まずに病院で診察を受けることをおすすめします。

男性型脱毛症(AGA)や女性男性型脱毛症(FAGA)の完治は難しいですが、投薬治療をすれば薄毛や抜け毛を改善できます。

円形脱毛症で複数の脱毛班が確認される場合やひこう性脱毛症は、本格的に治療をしないと悪化する可能性も高いのですぐに皮膚科を受診しましょう。

抜け毛がひどい男性・女性必見!3つの抜け毛対策

抜け毛がひどい原因が病気ではない場合、これからご紹介する3つの抜け毛対策をすれば、抜け毛が改善される可能性が高いです。

抜け毛対策

①育毛剤を使用する

②生活習慣の見直し

③ヘアケアの見直し

先ほど解説した通り、抜け毛がひどい原因は「ヘアサイクルの乱れ」です。

血液循環や頭皮環境を改善させられれば、正常なヘアサイクルに戻すことができるでしょう。

対策育毛剤を使用する

抜け毛対策としてまず挙げられるのは、育毛剤の使用です。

育毛剤を使用することで頭皮の血行促進を促して頭皮環境を改善し、髪に必要な栄養を毛乳頭に届けることで、今生えている髪を「太く」「健康的」に育てる効果が期待できます。

 

育毛剤と似たものに「発毛剤」がありますが、それぞれ目的や効果が異なるので間違えないようにしてください。

育毛剤とは

頭皮環境を改善し、今生えている髪を健康的に育てて抜け毛を予防する効果がある。

医薬部外品に指定されており、厚生労働省が認めた有効成分が一定の濃度で配合されている。

発毛剤とは

男性型脱毛症(AGA)や女性男性型脱毛症(FAGA)の影響で、生えなくなった髪を生やす効果がある。

第一類医薬品に指定されており、発毛成分ミノキシジルが配合されている。

抜け毛がひどい原因がAGAやFAGAなどの病気ではないなら、育毛剤の選択が正解です。

頭皮マッサージもお忘れなく

育毛剤を使用するだけではなく、頭皮マッサージを取り入れることもおすすめします。

頭皮マッサージは頭皮の血行促進を促すため、育毛剤の効果を上げることに繋がります。

対策生活習慣の見直し

抜け毛対策として次に挙げられるのは、不摂生な生活習慣の見直しです。

例えば…

・栄養バランスのとれた食事を心がける

・髪に良い栄養素を摂取する

・禁煙をする(本数を減らす)

・運動不足を解消する

・アルコールの過剰飲酒をやめる

・睡眠不足を解消する

・ストレスを溜めない

栄養バランスのとれた食事を摂り、髪に良い「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」「亜鉛」などの栄養素を積極的に補いましょう。

できれば自炊をするのが理想ですが、どうしても難しい場合はサプリメントで栄養素を補うという方法もあります。

 

そして軽いエクササイズを日課にして運動不足を解消し、毛乳頭に栄養素を運びやすい血液循環を目指してください。

アルコールは少量であれば血液循環を良くする効果もありますが、過剰に飲み過ぎては睡眠の質を下げてしまいます。

最低でも6~7時間の良質な睡眠時間を確保し、なるべくストレスを溜めないように心がけることも大切です。

対策ヘアケアの見直し

抜け毛対策として絶対に忘れてはいけないのが、ヘアケアの見直しです。

ヘアケアの見直し

・スカルプシャンプーなどで洗髪する

・正しい洗髪方法を知る

ヘアケアを見直して頭皮環境を改善するなら、スカルプシャンプーや洗浄力がマイルドなアミノ酸系シャンプーを使用しましょう。

市販のシャンプーは絶対NGとは言いませんが、洗浄力が強い界面活性剤成分が配合されていることが多く、抜け毛対策としてはおすすめできません。

 

そして、シャンプーの見極めだけではなく、正しい洗髪方法を知ることも大切です。

どんなに良いシャンプーを使っていても、間違えた洗髪方法をしていては何の意味もありません。

シャンプーで洗髪するのは就寝前、シャンプーで頭皮汚れを落とし、しっかりとシャンプー成分をお湯で洗い流すことが大切です。

まとめ

「抜け毛がひどい」とお悩みの男性や女性に向けて、抜け毛の原因や対策について解説をしてきました。

最後にここでもう一度、重要ポイントを復習しておきましょう。

まとめ

・抜け毛本数が1日100本以下なら正常

・毛根の形や髪の太さで抜け毛が異常か正常を確認

・抜け毛の原因が病気であれば病院へ

・抜け毛対策には「育毛剤」がおすすめ

・抜け毛対策には「生活習慣の見直し」が大切

・スカルプシャンプーで正しい洗髪をする

抜け毛がひどい原因が病気でなければ、育毛剤を使用して不摂生な生活習慣を見直し、スカルプシャンプーなどで正しい洗髪をすることが大切です。

乱れたヘアサイクルを改善し、抜け毛が少ない、健康的な太くて長い髪を育てましょう。

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