睡眠と脳の関係ウソ?ホント?

日本人は世界一睡眠時間が短いとご存じですか?

睡眠不足は健康に悪いとわかっていても、なかなか寝付けないなど睡眠のコントロールは難しいですよね。

今回は、明日誰かに話したくなる睡眠と脳にまつわるウソ?ホント?をご紹介します。

睡眠を改善したいけど、何をしたら良いかわからない・・・そんな方は必見です。

この記事の監修者

妻沼 到 先生

医療法人 ブレインクリニック妻沼 理事長・院長

1986年新潟大学医学部卒業後、新潟大学脳研究所脳神経外科学部門入局。富山県立中央病院,新潟大学医歯学総合病院脳神経外科、米国メイヨ—クリニック、山形県立中央病院脳神経外科等で勤務後、2014年7月よりブレインクリニック妻沼を開業。日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医を取得。

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

世界一寝不足?日本人の睡眠時間は短い

日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、加盟国30カ国のうち最下位*1です。

世界的に見ても、日本人の睡眠時間は短いと言えます。

さらに、「令和5年度 健康実態調査結果の報告*2」によると睡眠に対する悩みを抱える人は全体の8割以上に及びます。「寝付き(布団に入ってから眠るまでに要する時間)に、時間がかかった。 」など睡眠に悩みを抱える人が多い実態を示しています。

※1 経済協力開発機構(OECD)の調査「Gender Data Portal 2021

※2 厚生労働省健康・生活衛生局総務課「令和5年度 健康実態調査結果の報告

睡眠と脳の関係のウソ?ホント?

睡眠に悩んでいるけど、情報が多すぎる・・・睡眠不足は脳に悪そうだけど実際どうなの?と気になりますよね。

睡眠と脳に関する噂のウソ?ホント?ぜひ参考にしてください。

Q. 睡眠不足だと認知症になりやすい?ウソ?ホント?

A. ホント!

認知症の中でも症例数が最も多いアルツハイマー型認知症が発症するリスクの一つに睡眠不足が挙げられています。
アルツハイマー型認知症になるとメラトニン分泌が低下して睡眠障害を引き起こしますが、逆に睡眠不足がその発症リスクを高めるのです。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβなどの有害物質が脳細胞内に蓄積して生じる病気ですが、睡眠不足がアミロイドβの蓄積を高める可能性が示されています。
アミロイドβは、脳も体も眠っている「ノンレム睡眠」時に脳内から排出されるため、睡眠の質が良くないと、アミロイドβの排出が減少して蓄積してしまう可能性を高めます。
睡眠不足、中途覚醒などの睡眠障害は「ノンレム睡眠」を妨げてしまいます。

Q. 長く眠れば眠るほど脳に良い?ウソ?ホント?

A. ウソ!

睡眠不足も認知症の一因となりますが、長く眠れば良いというわけではありません。

睡眠時間が長すぎると睡眠の質が低下し、認知症の原因とされるアミロイドβを効率良く脳から除去することができなくなってしまうと言われています。

大事なのは質の良い睡眠を取ることです。

Q. 夕方にウトウト・・・寝落ちできるのは良いこと?ウソ?ホント?

A. ウソ!

睡眠に誘うホルモンであるメラトニンは夕方から分泌されるため、夕方になると眠気が襲ってくることも。ついついウトウトと夕方~夜に寝落ちをするのはNGです!

寝落ちして明るい部屋で睡眠をとっていると、光刺激によりメラトニン分泌が抑制され、睡眠の質が低下します。いつもの時間に、部屋をきちんと暗くして質の良い睡眠をとるように心がけましょう。

Q. 昼寝は脳に良い?ウソ?ホント?

A. ホント!ただし30分程度にとどめましょう。

年齢を重ねると、長時間熟睡することが難しくなります。

無理に夜長時間寝ようとせず、足りない分を昼寝の昼寝で補いましょう。

ただし、長時間の昼寝は夜の睡眠の質に影響するため30分程度にとどめましょう。

Q. 目覚ましよりも早く目が覚めるのは良いこと?ウソ?ホント?

A. ウソ!

目覚ましが鳴る時間ちょうどに目を覚ますのは良いのですが、30分以上前に目が覚めてしまうのは良くないと言われています。

年齢を重ねると長時間眠ることが難しくなり、夕方から眠くなるため朝早く目が覚めてしまう方もいるようです。

目覚ましよりも30分以上早く目が覚めてしまうのならば、睡眠の質が低下している可能性があります。

Q. 寝だめは効果がある?ウソ?ホント?

A. ホント!

寝だめ(睡眠補充)はこれまで効果がないとされてきましたが、平日に足りない睡眠時間を休日に補うことは一定の効果があるとわかってきています。

ストックホルム大学の研究によると、平日に1日5時間しか睡眠をとれなくても、週末に1日9時間の睡眠をとって補うことにより、十分に睡眠をとれている人に比べて死亡リスクが上昇しないことがわかっています。

引用:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7003477/

ただし、長期にわたる睡眠不足は寝だめでは解消されません。あくまで足りない睡眠を補充することに意味があります。

Q. 眠くないけど布団に入るのは良いこと?ウソ?ホント?

A. ウソ!

寝室は寝るだけの場所にするのがベストです。眠れない時間を過ごすと脳が寝室は不安や緊張を生み出す場所と勘違いしてしまいます。

そのため、眠くなるまでは別室で過ごし眠くなったら寝室へ行くようにしましょう。

生活リズムを整えたいときは、早く寝るのではなく、朝早く起きて整えるようにしましょう。