【図解】ストレスで抜け毛が増える理由と治すために必要なアクション

基本知識

抜け毛とストレスの関係を解説。抜け毛とストレスの因果関係をはじめ、ストレスによる抜け毛の特徴、改善方法まで紹介しています。現在、ストレスが原因と考えられる抜け毛に悩んでいる方はぜひご覧ください。

抜け毛が増える原因のひとつとして、「ストレス」が挙げられることがあります。しかし、本当にストレスが原因で抜け毛が増えることはあるのでしょうか。

今回はストレスが頭皮環境に与える影響について詳しく解説します。
抜け毛が気になる方のための改善、対策方法も紹介しています。

 この記事の監修者

西田恭之

恵比寿美容クリニック院長

東海大学医学部医学科卒業。都内市中病院で初期研修後、消化器内科診療に従事。その後は人間ドックでの診療を続けながら恵比寿美容クリニックにて勤務し、現在は院長として診療に従事

 

 そもそもストレスと抜け毛って関係あるの??

「ストレスを溜め込むと抜け毛が進行する」とよく言われますが、実は直接的な因果関係はありません。ただし、全く関係がないわけではなく、間接的に影響すると考えられています。

 ストレスで抜け毛が増える理由

直接的には影響せずとも、ストレスが溜まると次のようなことが起こります。

・自律神経が崩れる
・ホルモンバランスが乱れる
・生活習慣が乱れる

これらは全て頭皮環境に悪影響を及ぼします。また、生活習慣の乱れがホルモンバランス、生活習慣の乱れを誘発するなど相互関係にあることにも注意が必要です。

 自律神経が崩れると頭皮に充分な血行が届きにくくなる

自律神経は簡単にいうと、身体機能を正常に保つ神経です。自律神経には交換神経と副交感神経の2種類あり、交互に作用することで身体機能は正常に働きます。そして、この自律神経が乱れると身体機能が低下してしまいます。

身体機能の低下のなかでも最も頭皮環境に悪影響を及ぼすのが血行不良です。充分な栄養が届かないために、髪の毛が成長しません。また、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることは、不眠にも繋がります。

 ホルモンバランスが崩れると薄毛は加速する

ホルモンと髪の毛(頭皮環境)は深く関係しています。例えば、男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンの一種であるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつくことでジヒドロテストステロンが生成され、このジヒドロテストステロンが髪の毛の成長サイクルを狂わせ、結果として薄毛を招きます。

また女性は女性ホルモンが更年期を境にグッと減少し、女性ホルモンが減ることで、男性ホルモンの影響が出やすくなり、薄毛を引き起こします。女性ホルモンの減少は加齢が主な原因ですが、ストレスによって加速することも少なくありません。

 生活習慣の乱れが自律神経、ホルモンバランスの乱れに繋がることも

生活習慣は頭皮環境に大きく影響します。

例えば、睡眠不足や栄養バランスの悪い食生活は髪の毛が充分に成長することを防ぎますし、喫煙習慣がある方はニコチンによって毛細血管が収縮してしまうので、身体の末端(髪の毛)まで充分に栄養を届けることができなくなります。そして、生活習慣の乱れは自律神経、ホルモンバランスの乱れが原因となります(逆のケースもあります)。

今回挙げた3つのなかでも、意図的に改善できるのが生活習慣なので、まずは生活習慣から見直すのがいいでしょう。

 ストレスによる抜け毛の特徴

続いて、ストレスが影響したと考えられる抜け毛の特徴を4つ紹介します。

 男性型脱毛症(AGA)

先述しましたが、男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンの影響で起こる脱毛症であり、ストレスが間接的に影響する可能性があります。AGAは日々のケアでは改善が難しいので、専門医に治療してもらうことをおすすめします。

 女性男性型脱毛症(FAGA)

女性男性型脱毛症(FAGA)も男性型脱毛症(AGA)と同様に、ホルモンバランスの乱れが引き起こす脱毛症です。頭頂部や生え際など部分的な箇所から薄毛が進行する男性型脱毛症(AGA)とは違い、頭頂部を中心に全体的に髪の毛が薄くなるのが特徴です。

女性男性型脱毛症(FAGA)も専門医での治療をおすすめします。

 円形脱毛症

円形脱毛症とは、「10円ハゲ」に代表されるように局部的に薄毛になる脱毛症です。薄毛の部分が1ヶ所であれば「単発型」、2ヶ所以上あると「多発型」と言われます。円形脱毛症はストレスが影響しているイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実はストレスとの関係性は明確に証明されているわけではありません。一番の原因は「自己免疫疾患」と考えられています。

ただし、自己免疫疾患はストレスによっても誘発されると言われているので、間接的に影響していると考えるのが自然です。

 休止期脱毛症

髪の毛には1本1本寿命があり、「成長期」「退行期」「休止期」を経て、脱毛します。これを「ヘアサイクル」と呼び、通常は発毛から脱毛まで3年~6年かかるのですが、その期間を全うせずに成長期の髪の毛が休止期に移行して、抜け毛が増えるのが休止期脱毛症です。ヘアサイクルの乱れは、ストレスから生じる自律神経のバランスが乱れによって引き起こされることが多いと言われています。

また、休止期脱毛症の症状は様々で急激に起こるものは「急性休止期脱毛症」、時間をかけて起こるものを「慢性びまん性休止期脱毛症」「慢性休止期脱毛症」と呼びます。

 ヘアスタイルなど外側からのストレスが抜け毛につながることもある

抜け毛の増加は精神的なストレスだけでなく、外的ストレスによっても引き起こされます。

例えば、育毛剤を塗り過ぎるなどの間違ったヘアケア、紫外線ダメージです。またヘアアイロンの使用が直接抜け毛に影響することはありませんが、髪の毛を引っ張り過ぎたりすると頭皮に悪影響を与えるので注意しましょう。

 正しい知識とケアが必要

外的ストレスによる悪影響を受けないためには、正しくケアを行うことが必須です。例えば、育毛剤は定められた用量を使用する、一度に複数の種類を使用しないなど基本的なことを守るようにしましょう。

育毛剤の正しい使い方については「【医師監修】育毛剤はタイミングが大事!正しい使い方と使い始める時期」で解説しています。

また、シャンプーを行う際はしっかりと水洗いをしてからシャンプーを泡立て、すすぎまでしっかりとするように心掛けましょう。日々のちょっとした心掛けで頭皮環境は大きく変わってきます。

 ストレス抜け毛を治す方法

では、最後にストレスが原因と考えられる抜け毛の改善方法を紹介します。

 食生活を改善する

食事から摂る栄養は、髪の毛を作る、成長させるためには欠かせません。とくに摂るべき栄養素は次の3つです。

タンパク質
 肉、魚、卵、大豆など
亜鉛
 レバー、牡蠣、ナッツなど
ビタミン
 緑黄色野菜、果物、肉など

これらの栄養素を食べ物だけで摂るのは難しい方は、サプリメントを活用してもいいでしょう。

抜け毛に効く食べ物について詳しくは「【図解】抜け毛を予防する食べ物大全~最強の食材&メニュー」をご覧ください。

 睡眠時間をしっかり確保する

髪の毛は寝ている間に成長します。よく22時~2時は成長ホルモンが最も分泌される時間なので、この時間に睡眠するのが良いと言われることがありますが、明確な因果関係はありません。そもそもこの時間に就寝するのが難しい方も多いでしょう。大事なのは規則正しい時間に就寝することです。少なくとも7時間程度は寝るようにしましょう。

 ストレスの原因が明確であれば解消する

例えば、仕事でストレスを抱えているなら転職を検討する、住環境がストレスになっているなら引っ越しを検討するなど、原因が明確なものはそれを解消するために行動しましょう。また、性格上ストレスを抱えやすい方もいるでしょう。

  • 完璧主義
  • 責任感が強い
  • 心配性 など

性格を変える必要はありませんし、そもそも難しいですが考え方を少し変えてみるのがおすすめです。細かいことは気にしない、行き詰まったら誰かに相談するなど自分一人で抱えこまずに、心にゆとりを持つことを意識してみてはいかがでしょうか。

 自分なりのストレス発散方法を見つける

ストレスの発散方法は人それぞれです。

  • スポーツをして汗を流す
  • 人と話す
  • カラオケで大声を出す
  • 読書、映画鑑賞に浸る
  • ストレス発散アイテムを使う

ちょっとした行動習慣の変化でストレスが軽減されることも少なくありません。自分なりの発散方法を見つけましょう。

 【アンケート調査】ストレスが原因の抜け毛で改善した実感はある?

では、実際にストレスを解消することで抜け毛が改善されることはあるのでしょうか。今回はストレスが原因で抜け毛が増えた実感がある方30名を対象にアンケート調査を実施しました。

 約75%はストレス軽減によって抜け毛の改善を実感

今回のアンケート協力者30名のうち23名(76.6%)はストレスが軽減したことで、抜け毛が改善(減少)したという回答でした。

仕事が毎日残業続きで12時間労働が日常でした。仕事に行くのも嫌になり、そのストレスが原因で抜け毛がありました。部署を変えてもらって、残業が少なくなった頃から抜け毛が減ったような気がしました。抜け毛のせいで出てきた10円ハゲの部分も治りました。
埼玉県・20代男性
育児ストレスで抜け毛が増えた時期がありました。24時間子供の相手をしていて、生まれる前は「休めるよう協力する」なんて調子いいことを言っていた夫に対してもストレスを感じていました。子供が3歳になった頃に幼稚園に入り、1年が過ぎたあたりから抜け毛がほとんどなくなったので、ストレスが抜け毛の原因だったのかなと実感しています。
大阪府・女性40代
抜け毛が気になりだしたのは50代の頃ですが、職場が変わり激務によるストレスを感じるようになった頃でもありましたので、ストレスが原因の抜け毛だと思っています。以前に比べて、ストレスがなくなったことで抜け毛が減った気はしますが、増毛はありません。
千葉県・男性60代

今回のアンケート回答はあくまでも実感であり、対象人数が少ないということもありますが、ストレスが軽減することで、抜け毛が改善することは実際にあるようです。また、ストレスによる抜け毛で厄介なのは、抜け毛自体にストレスを感じるという悪循環に陥ることです。抜け毛はストレスを解消すれば治ると信じて、楽観的に考えるようにしましょう。