女性の薄毛対策におすすめな育毛剤の選び方~男性用は効果なし?~
加齢や出産、生活習慣など原因はさまざまですが、薄毛を気にする女性は多いです。
育毛剤と聞くと男性が使うイメージが強いかもしれませんが、女性でも育毛剤を使っている方は多いです。
しかし、育毛剤は選び方を間違えると、効果がないどころか逆効果になってしまう恐れもあるのです。
そこで今回は、女性向けに育毛剤の選び方をご紹介します。また育毛剤以外の対処法についても、薄毛の原因別に解説しているので、併せて参考にしてみてください。
この記事の監修者
恵比寿美容クリニック院長
東海大学医学部医学科卒業。都内市中病院で初期研修後、消化器内科診療に従事。その後は人間ドックでの診療を続けながら恵比寿美容クリニックにて勤務し、現在は院長として診療に従事
男性用育毛剤を選ぶのはNG!女性用と男性用では成分に違いあり
女性が自分用の育毛剤を購入するのなら、選び方の大前提として、男性用育毛剤を選ぶことは避けましょう。
なぜなら、男性と女性では薄毛の原因や体質が違うため、男性用と女性用では育毛剤の配合成分も異なるのです。
女性が男性用の育毛剤を使うと、効果が実感できないどころか、かえって頭皮環境を悪化させて薄毛を進行させる恐れもあります。
発毛剤に入っている「ミノキシジル」は男女で濃度上限が違う
育毛剤だけでなく、発毛剤も男性向けの製品を使うことは避けましょう。
というのも、発毛剤には「ミノキシジル」という成分が入っています。その濃度上限が男性は5%、女性は1%と男女で異なっているのです。
女性が男性向けのミノキシジル濃度の発毛剤を使用すると、副作用を発症する可能性が高いためです。
このことからも、男性用の発毛剤(及び育毛剤)を女性が使うことのリスクはお分かりいただけるでしょう。
女性が育毛剤を購入する場合には、必ず女性用もしくは男女兼用の商品を選びましょう。
育毛剤の選び方 1.薄毛の原因を知ろう
女性向けの育毛剤の選び方について、順を追ってご紹介します。
薄毛の原因は、女性と男性で異なるのはもちろん、女性の中でも違いがあります。各原因に適した育毛剤を選ぶため、まずは自身の薄毛の原因を把握しましょう。
更年期に起こりやすい「びまん性脱毛症」
地肌が透けて見えるようになったり、髪が細くなることで全体的にボリュームが減ったりしてはいませんか。そのようにおでこの生え際やつむじといった一部だけでなく、頭髪全体の密度が薄くなるのは、「びまん性脱毛症」です。
原因は女性ホルモンの分泌低下が主だったものであり、更年期以降の女性が薄毛になる原因は、主にびまん性脱毛症だといわれています。
また、更年期以外では、過度なダイエットやストレスなどによって女性ホルモンの分泌が阻害され、起こるケースもあります。
びまん性脱毛症の場合は、頭皮環境を整え、しっかりと毛髪に栄養を行き渡らせる育毛剤を使用することが大切です。また、心身ともにストレスのない生活にするため、生活習慣の見直しや、必要であれば漢方の処方、病院での治療なども検討してみてください。
出産後に起こる「産後脱毛症」
出産後、一時的に抜け毛が増えることを「産後脱毛症」といいます。発症タイミングには個人差がありますが、一般的には産後すぐから3ヶ月の間に症状が見られるでしょう。
妊娠中は女性ホルモンの分泌が通常に比べてかなり多くなることから、妊娠中は髪の毛が抜けにくくなります。髪が生えて抜け落ちるまでのサイクルに変化が見られるのです。
しかし出産後には、女性ホルモンの分泌量が戻るとともに、抜け毛のサイクルも元に戻っていきます。このようなサイクルの変化が起こることで、通常であればすでに抜け落ちていた毛髪が、産後一気に抜けるために「抜け毛が異様に増えた」と感じやすいのが産後脱毛症です。
このように産後脱毛症はあくまで一時的な症状であることが多く、発症から半年ほどの期間で多くは落ち着きます。育毛剤を使用する必要は、基本的にないでしょう。
ただし、抜け毛が一向に落ち着かない場合は、出産をきっかけに頭皮や体質の変化が起こったのかもしれません。必要に応じて、育毛剤の使用や病院への相談を検討してみてください。
頭皮環境の悪化で起こる「脂漏性脱毛症」
薄毛のほか、頭皮の脂っぽさやフケ、にきびなどに悩まされているのであれば、脂漏性皮膚炎から引き起こされる「脂漏性脱毛症」の恐れがあります。
脂漏性皮膚炎の原因は、常在菌であるマラセチア菌の異常増殖です。異常増殖の原因は、遺伝的要因もあれば、生活習慣、ストレス、誤った洗髪などといった要因も考えられます。
脂漏性皮膚炎は自然治癒が難しいこともあるため、疑いのある方はまず病院に相談しましょう。そして治療を終えたあとは、マラセチア菌のエサになる皮脂の分泌を増やさないためのケアが大切です。
育毛剤を使用する場合には、頭皮環境をケアできる成分のほか、皮脂量をコントロールしてくれる成分が入ったものを選ぶとよいでしょう。
同じヘアスタイルを続けることで起こりやすい「牽引性脱毛症」
おでこやうなじなどの生え際に起こりやすい薄毛は、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」です。いつも同じ髪型や分け目にしていることで、部分的に負荷が蓄積されて血行不良が起こり、薄毛を引き起こします。
索引性脱毛症が見られた場合には、まず原因となる習慣を変えましょう。髪型や分け目をいつもと変えてみたり、セットのときになるべく髪を強く引っ張らないようにしたりなどです。
また、血行促進成分を含んだ育毛剤を使用し、毛髪にしっかりと栄養が行き渡る頭皮環境を整えましょう。
ストレスで起こりやすいといわれる「円形脱毛症」
「10円ハゲ」ともいわれるように、部分的かつ円形に毛がきれいに抜け落ちる現象を「円形脱毛症」と一般的に呼びます。しかし、実際には頭部全体が脱毛したり、毛髪だけでなく眉やまつげにまで症状が及ぶケースもあります。
円形脱毛症はストレスで起こりやすいといわれていますが、実はその理由も千差万別です。自己免疫疾患によるものやアトピーによるもの、遺伝的要因もあるといわれています。
急に症状が出た場合や、このほかの脱毛症の原因に当てはまらない場合には、円形脱毛症を疑ってみましょう。まずは病院にかかり、原因を専門的に突き止めてもらうことをおすすめします。
育毛剤の選び方 2.原因や状況に合った成分を選ぼう
薄毛や抜け毛の原因が把握できたら、その原因や現在の頭皮環境に合った成分を知りましょう。そうすることで、自分に合った育毛剤の具体的な選び方ができるようになります。
「血行促進成分」はどのような女性にもおすすめ
女性の薄毛は多くの場合、女性ホルモンの減少によって起こるといわれてきましたが、近年はそれに加えて、血行不良の影響も非常に大きいといわれています。そのため、薄毛に悩む女性には、まず以下のような血行促進成分が配合された育毛剤がおすすめです。
・D-パントテニルアルコール
・酢酸DL-a-トコフェロール
・パルミトイルトリペプチド-1
・パルミトイルテトラペプチド-7
なかでも「D-パントテニルアルコール」は、頭皮の血行促進だけでなく、育毛効果や脱毛予防効果も期待できるといわれています。
「保湿成分」も頭皮環境を整えるには必須
乾燥した頭皮は硬くなり、血行不良やバリア機能の低下、新陳代謝の阻害などを引き起こしてしまいます。そのため、育毛剤を選ぶ際には、保湿成分にもこだわりましょう。
・ナイアシンアミド
・セラミド
・アルギニン
・アデノシン
・パルミトイルペンタペプチド-4
保湿成分に関しては、肌になじみやすく浸透が早い「セラミド」だけでなく、長時間にわたって保湿してくれる「アルギニン」も有効です。さらには、加齢により生成量が低下するコラーゲンの補充および生成を促進するとされる「アデノシン」や「ナイアシンアミド」も含まれているとなおよいでしょう。
フケや脂っぽさが気になるなら「収れん作用成分」や「抗炎症成分」
頭皮のフケや脂っぽさが気になる女性には、皮脂量をコントロールする「収れん作用成分」や「抗炎症成分」配合の育毛剤に注目してみましょう。
・酸化亜鉛
・ビタミンC
・ビオチン
・アラントイン
「酸化亜鉛」は収れん作用があるだけでなく、肌にやさしい紫外線対策としてもおすすめの成分です。紫外線対策を怠るとバリア機能を壊し、頭皮環境を悪くしてしまいます。帽子や日傘を活用するほか、育毛剤でも紫外線対策を考えてみてください。
そのほか毛髪によいといわれている成分
ここまでで紹介したのは、主に頭皮環境を整えるための成分ですが、育毛という観点では毛髪によいこれらの成分もチェックしておきたいところです。
・ビオチノイルトリペプチド-1
・加水分解シルク
「ビオチノイルトリペプチド-1」は、まつげ美容液にもよく使われる成分です。毛髪にハリとコシを与えます。
「加水分解シルク」は、ダメージヘアの水分補給に適した成分です。毛髪への浸透力が高いことから、シャンプーやトリートメントなどにも配合されています。
育毛剤の選び方3.使いやすさや好みに合わせて選ぼう
育毛剤は塗布してすぐに効果が出るものではありません。継続して使い続ける必要があります。だからこそ、使い心地のよさやコスパも大切です。
選び方の最終チェックポイントとして、ここでご紹介する3つの点をしっかりと確認しましょう。
扱いやすいのは「スプレータイプ」
育毛剤において使い心地のよさが分かれるのは、容器のタイプによるところが大きいでしょう。
ほとんどの商品はスプレータイプ、ノズルタイプ、ジェルタイプに大別されますが、使いやすさから選ぶのであれば、スプレータイプがおすすめです。スプレータイプであれば、素早く広範囲に塗布できるほか、液体が垂れてくることも少なく手間がかかりません。
一方、毛量が比較的多い場合には、スプレーでは毛髪に防がれて頭皮に届かないといったことも起こり得ます。そのような場合や、部分的な薄毛に使用する場合には、ノズルタイプがおすすめです。
ただし、ノズルタイプの商品は液だれしやすい性質であることも多いため、部分的な薄毛にはジェルタイプも検討しましょう。
好みの香りか口コミでチェック
育毛剤は頭皮に塗布する性質上、使用後もしばらく香りを感じます。だからこそ、好みの香りでない場合には、継続が苦痛になる恐れもあるでしょう。
購入する前には、口コミで香りをチェックするのが無難です。
コスパのよい値段かも要検討
あまりに高い育毛剤は、継続するうえで家計の負担になります。自身の生活状況に合った値段なのか、配合成分や配合量と比較して値段が妥当なのかをよく検討しましょう。
また、定期契約商品を購入するのであれば、合わなかったときのことを考え、継続回数の縛りがない商品を選ぶのがおすすめです。
「全額返金保証」付きの商品もおすすめですが、保証条件を満たすことが簡単であるかも忘れずに確認しましょう。
女性向け育毛剤にまつわるQ&A
最後に、女性を対象とした育毛剤にまつわる疑問にお答えします。使い方のコツや使うタイミング、効果実感までの期間など、気になる疑問はここで解消しましょう。
育毛剤のつけ方にコツってある?
育毛剤の使い方のコツは、「頭皮」に塗布することです。毛髪につけるのではなく、頭皮にまんべんなく塗布することを意識しましょう。
毛髪が多く、頭皮まで届きにくいという場合には、ダッカールを使って、ブロッキングしながら塗布するのがおすすめです。
また、説明書どおりの使用を心掛けてください。使用量が少なくては効果を実感しづらくなり、多くてはかえってトラブルを引き起こす恐れがあります。
育毛剤っていつ使うの?タイミングは?
育毛剤は清潔な頭皮に使用する必要があるため、お風呂上がりがおすすめです。
ドライヤーの前後どちらに使用するかは、商品によって異なります。説明書をよく確認してください。
1日2回の塗布が必要な育毛剤の場合には、朝と夜につけるとよいでしょう。ただし、朝の洗髪はあまりおすすめできません。必要な油分まで落としきってしまう可能性が高いためです。
朝はブラッシングで表面の汚れを落とすだけで構いません。セットのために髪を濡らす際にも、シャンプーは使わず、ぬるま湯だけで済ませるのがおすすめです。
育毛剤を使うタイミングについては「【医師監修】育毛剤はタイミングが大事!正しい使い方と使い始める時期」で詳しく解説しています。
何歳から使うべき?20代や30代の若い女性でも使っている?
育毛剤に年齢制限はなく、頭皮や毛髪に不安が出てきたのなら、何歳から使用しても構いません。
一般的には、40代・50代の更年期以降に使い始めたという方が多いでしょう。しかし遺伝的要因や産後、ダイエットなどによる薄毛もあることから、20代・30代の若い世代で育毛剤を使用している方も少なくはありません。
頭皮環境は悪化すればするほどケアに時間がかかるため、不安になったときには、なるべく早めのケアをおすすめします。
育毛の効果が出るまでにはどのぐらい期間がかかる?
おおよそ半年はかかるといわれています。
髪の毛の生え変わりには、頭皮環境が正常な方であっても3ヶ月程度はかかります。薄毛に悩んでいる方であれば、新陳代謝が悪くなっていることも考えられるため、より多くの期間を必要することも珍しくありません。
育毛剤を使う以外に薄毛対策をする方法やコツは?
頭皮環境を整え、しっかりと毛髪に栄養をいき渡らせることが大切です。そのため、食事や睡眠、運動といった生活習慣は健康的であるように心掛けましょう。
また、過度の飲酒や喫煙も育毛のうえでは厳禁です。アルコールの分解に毛髪を作る成分が使われるほか、ニコチンによる動脈の収縮によって血行不良が引き起こされるためです。
また、飲酒も喫煙も、薄毛を引き起こすとされる男性ホルモンの増加につながることが判明しています。
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