薄毛は自力で治せる?本気で治すときに活用したいチェックリスト

対策方法

「最近髪の毛が薄くなってきた気がする」

「抜け毛が多くなっているような・・・」

とくに、30代後半になると薄毛を気にする方は増えます。そのとき、まず考えるのは「自力で治せるか」ではないでしょうか。

手っ取り早く治したい、誰にも相談したくない、できるだけ費用をかけたくない。そう考えたときに、薄毛を自力で治したいと思うのは自然なことです。

しかし、薄毛は自力で治せるものとそうでないものに分かれます。今回は、自力で治せる薄毛と治せない薄毛の違い、自力で治す方法について解説します。

この記事の監修者

佐藤 留美

2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック副院長に就任。医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。
本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

自力で治せる薄毛と治せない薄毛がある

冒頭でも書いたように、薄毛には自力で治せるものと治せないものがあります。その違いは、薄毛の原因にあります。

自力で治せる薄毛

自力で治せる薄毛とは、端的に言うと「生活習慣の乱れが原因になっている薄毛」です。とくに、以下のようなことが薄毛に繋がっているケースが多いです。

・食生活の乱れ

・睡眠不足

・過度なストレス

・間違ったヘアケア

食生活の乱れ(栄養不足)による薄毛

食事は髪の毛の栄養に関係するので、生活習慣の中でも最も重要なポイントです。

・ジャンクフード、カップラーメンなどを高頻度で食べている

・過度なダイエットをしている

このような、栄養バランスの悪い食事が習慣化している方、摂取する栄養量が極端に少ない方は危険です。髪の毛に十分な栄養を行き渡らせるには、栄養バランスの整った食事を心掛けましょう。

睡眠不足による薄毛

髪の毛の成長、頭皮の修復を促す成長ホルモンは、睡眠時に多く分泌されます。成長ホルモンの約60%~70%は睡眠中に分泌されると言われるほどです。

つまり、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が少なくなるので髪の毛が十分に成長しなくなるのです。結果、ヘアサイクルが乱れ、薄毛になってしまいます。

睡眠不足だと、成長ホルモンが十分に分泌されないだけでなく、後述する自律神経、ホルモンバランスの乱れに繋がります。

過度なストレスによる薄毛

ストレスは直接的には薄毛と関係がないとはいえ、過度なストレスが溜まると以下のようなことが起こります。

・自律神経の乱れ

・ホルモンバランスの乱れ

自律神経の乱れは血行不良を招き、頭皮に十分な栄養が届かずに髪の毛が成長しません。また、ホルモンバランスの乱れは、とくに女性の場合は女性ホルモンが減少して、男性ホルモンの影響が大きくなることで薄毛に繋がるケースが多いです。

なお、過度なストレスは暴飲暴食や食欲減退、睡眠不足など、様々な生活習慣にも悪影響を及ぼす点も注意です。

ストレスと薄毛の関係については「【図解】ストレスで抜け毛が増える理由と治すために必要なアクション」で詳しく解説しています。

間違ったヘアケアによる薄毛にも注意!

日常的に行っているヘアケアの方法が間違っていると、薄毛になる可能性があります。

例えば、頭皮の洗いすぎ、ドライヤーの当てすぎ、体質に合っていない育毛剤の使用など。過度なヘアケアは逆効果になるのです

ヘアケアは正しく行ってこそ、効果が出るもの。とくに育毛剤の使い方には注意しましょう。

育毛剤の正しい使い方については「【医師監修】育毛剤はタイミングが大事!正しい使い方と使い始める時期」で解説しています。

自力で治せない薄毛

自力で治すのが難しい薄毛は以下の2つです。

・AGA、FAGA

・円形脱毛症

AGA・FAGAによる薄毛

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素が結合してできる成分「DHT(ジヒドロテストステロン)」が増えることで発症すると言われています。

このDHTの量は遺伝的な要素も大きいと考えられており、かつAGAは進行性の脱毛症なので、一度発症すると自然に治すのは難しいとされています。

ただ、AGAも先天的なものだけでなく、生活習慣に乱れなど後天的なものが原因で発症する可能性があるので、生活習慣の乱れを正すことでAGAの発症や進行を抑える効果を期待できます。

また、加齢による女性ホルモンが減少することで発症するFAGA(女性男性型脱毛症)も同様、進行性の脱毛症なので早期に治療する必要があります。

円形脱毛症

「10円ハゲ」と言われることもある円形脱毛症は、発症のメカニズムが解明されていない脱毛症です。

最近では免疫機能の異常が原因とする説が有力ですが、原因が特定できない脱毛症であることに変わりはないため、セルフケアで治すのは難しく、専門医で治療してもらうようにしましょう。

薄毛の原因チェックリスト

自分の薄毛が自力で治せるものなのか、そうでないものなのかを判断するためのチェックリストを作成しました。あくまで参考ではありますが、チェックが多いほど「自力で治せる」可能性が高いです。

要するに、生活習慣が乱れていないかどうかをチェックすることが自力で治せるかどうかを見極めポイントですが、生活習慣の乱れていないかどうかは定期的にチェックしないと自分では分かりにくいものです。

とくに食事は、一人暮らしの方や仕事で帰宅が遅い方だと、ついつい冷凍食品やファストフードなど簡単なもので済ませがちです。たまに食べる分には問題ありませんが、それが習慣化してしまっていると頭皮環境に良くありません。

また、タバコやお酒も薄毛の原因になり得ます。

とくにタバコは血管を収縮させて血行を悪くするため、頭皮に十分な栄養が運ばれず、ヘアサイクルの乱れを引き起こします。お酒と違って、回数を減らすようなことはできず(そもそも意味はない)、完全に辞めるしかないため根気はいりますが、禁煙するがベストです。

今回のチェックシートでほとんどチェックが付かない(3個未満)方は、薄毛を自力で治すのは難しい可能性が高いので、専門医への相談をおすすめします

薄毛を自力で治したいなら生活習慣の改善から

繰り返しになりますが、薄毛を自力で治すには生活習慣の乱れを正す必要があります。ここでは、生活習慣を改善するために以下のポイントについて解説します。

・薄毛改善のための食生活

・良質な睡眠

・運動習慣の作り方

薄毛を治すために有効な食べ物

「髪の毛を生やす、育てる」と言いますが、厳密に表現すると「毛根の中にある毛母細胞が分裂・増殖させる」ことです。この毛母細胞の分裂を活性化させるのが普段の食事で摂る栄養です。

とくに髪の毛を作る上で欠かせない栄養素が以下の3つです。

・タンパク質

・ミネラル

・ビタミン

髪の毛はタンパク質によって構成されている

髪の毛の99%はタンパク質の1種である「ケラチン」が構成しています。

タンパク質を摂取するとなると、肉や魚、卵などの動物性タンパク質に偏りがちですが、調理法によっては脂肪分が多くなりがちなので、大豆などの植物性タンパク質も積極的に摂取して、バランス良く食べるように心掛けましょう

ミネラルは「髪の毛を作ること」をサポートする

前述した髪の毛の99%を構成するケラチンは、18種類のアミノ酸からできており、そのアミノ酸をケラチンに換える働きがあるのがミネラルの1種「亜鉛」です。

また、同じミネラルの「ヨウ素」は体内の代謝を活発にする働きがあり、不足すると毛母細胞が成長しません。

亜鉛は牡蠣やレバー、ヨウ素はひじきや昆布などの海藻に豊富に含まれています。

各種ビタミンが頭皮環境を整える

ビタミンは種類が豊富ですが、それぞれに頭皮環境に良い影響を与えてくれます。

・ビタミンA ⇒ 皮膚と粘膜の健康を維持する。ケラチンの形成を助ける。

・ビタミンB2 ⇒ 過剰な皮脂の分泌を抑え、体内細胞の再生を促進してくれる。

・ビタミンB6 ⇒ 皮脂の分泌を抑え、摂取したタンパク質(アミノ酸)の吸収を促す。

・ビタミンC ⇒ 細胞を活性化させる。ミネラルの吸収を助ける。

・ビタミンE ⇒ 血流が良くなり頭皮に栄養が行きやすくする。

ビタミンA、C、Eは緑黄色野菜に、ビタミンB2はレバーや焼きのり、B6はニンニクやかつおなどに豊富に含まれています

髪の毛に良い栄養素はタンパク質、ミネラル、ビタミンですが、これらを集中的に食べるのではなく、あくまでバランスの良い食事をした上で意識的に摂取するようにしましょう。

薄毛に効果がある食べ物については「【図解】抜け毛を予防する食べ物大全~最強の食材&メニュー」で詳しく解説しています。

 “良質”な睡眠をとれるようにする

「良質な睡眠」とは、深い眠りにつき、スッキリと目覚めることができる睡眠です。

良質な睡眠をとるために、日頃から心掛けておくべきポイントは以下の2つです。

・食事は睡眠の3時間前までに済ませる

・睡眠の1~2時間前はスマホやパソコンを見ないようにする

睡眠前に食事を取ってしまうと、消化活動で胃が働いた状態になるため、睡眠の妨げになります。また、睡眠前にブルーライトを見ると、眠りを誘う作用がある「メラトニン」の分泌量が減ってしまい、スムーズに入眠できません。スマホやパソコンは睡眠の1~2時間前までには使用を控えるようにしましょう

なお、寝る前のカフェイン摂取、飲酒、喫煙も脳が覚醒して睡眠の妨げになるので、控えましょう。

眠りやすい環境を作ろう

良質な睡眠をとるためには、前述した2つのポイントを守った上で、自分なりに眠りやすくするための工夫も必要です。

・よく眠れる寝具を選ぶ

・室温、明るさを調整する

・シャワーではなく、毎晩入浴する

・睡眠前に温かい飲み物を飲む

睡眠中は多くの汗をかくため、寝具は吸湿、放湿性がよいものがおすすめ。また、冬の時期は保温性の良い寝具を選びましょう。

また、睡眠の2~3時間前に、体温を一度上げておくと眠りやすくなるため、お風呂もシャワーで済ましている方は湯船に浸かるのがおすすめです。

忙しくても運動は欠かさない

運動をすることで、適度な疲れを得られて睡眠の質が向上するだけでなく、ストレスの解消にも繋がります。運動不足は血行不良の原因にもなるので血流を改善の意味でも有効です。

・ウォーキング

・ジョギング

・筋トレ

時間を確保して、上記のような運動をするのがベストですが、普段忙しい方だとなかなか難しいでしょう。

ですので、日常生活の中でエレベーターではなく階段を使う、寝る前にストレッチをする、など簡単なことでいいので体を動かすように心掛けましょう。

+αでしたいこと

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは、頭皮の血流をよくするため、薄毛の予防・改善に効果的です。お風呂上がりや睡眠前のちょっとした時間でいいので行うようにしましょう。

【簡単1分間頭皮マッサージ】

  1. おでこの髪の生え際に指をあて、頭頂部に向かって押し上げる(10秒キープ×2回)
  2. 耳の上に手のひらの下半分をあて、上に向かって押し上げる(10秒キープ×2回)
  3. 両手を組んだ手のひらで頭頂部を挟み、上に向かって押し上げる(10秒キープ×2回)

シャンプーの買い替え

日頃使っているシャンプーも定期的に見直すようにしましょう。というのも、刺激が強いシャンプーを使っている場合、それが薄毛の原因になる可能性があるからです

ポイントは「洗浄力の強すぎないシャンプー」を選ぶこと。「無添加」や「ノンシリコン」のシャンプーの方が頭皮への刺激が少なくなります。

頭皮に優しいシャンプーについては「本当に頭皮に良いシャンプーって?ビタブリッドC スカルプシャンプーの成分評価」で解説しています。

ストレス解消法を見つける

食事、睡眠など生活習慣を正すことはストレス解消に寄与しますが、それだけでは解消しきれない方は、別の方法で発散するしかありません。

・スポーツをして汗を流す

・人と話す

・カラオケで大声を出す

・読書、映画鑑賞に浸る

・ストレス発散アイテムを使う

自分に合ったストレス発散の方法を見つけましょう。

育毛剤の使用or買い替え

体質に合わない育毛剤の使用は、薄毛を進行させる原因となります。3~6ヶ月使用して効果がないようであれば、買い替えを検討しましょう。

おすすめの育毛剤は記事の最後に紹介します。

自力で薄毛が治る期間と前兆

薄毛を自力で治す場合、その期間と前兆の見極めは大事なポイントです。治る前兆があるにもかかわらず、途中でやめてしまっては意味はありません。

薄毛は徐々に治る

まず大前提として、薄毛の改善は即効性のあるものではなく、少なくとも半年以上はかかります

さらに、今回解説したように、自力で治す=生活習慣を正すことなので、生活習慣を正すこと自体に一定の期間がかかります。

ですので、薄毛を自力で治す場合、おおよそ1年くらいの長い目でみるようにしましょう。

薄毛が治る兆候は“ハリ”“コシ”で判断

薄毛が改善されるまでの流れは、ザックリと以下のような感じです。

  1. 産毛が増える
  2. 毛が太くなる
  3. 薄毛が目立たなくなる

上記の流れは「ヘアサイクルが正常になっている」とも言い換えられます。そして、適切な薄毛対策を続けると、髪全体にハリやコシを感じられるようになります

1年以上経っても、ハリやコシが出ない場合は日常生活を見直す、もしくは自力で治せる薄毛ではない可能性もあるので、専門医に相談しましょう。