【図解】肌のターンオーバーとは?年齢とともに周期が遅くなる原因&対策

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スキンケアについて調べていると、頻繁に目にする「ターンオーバー」という言葉。なんとなく「肌が生まれ変わること」という認識を持っている方が多いかもしれませんが、その仕組みをご存知ですか?

 

また、肌のターンオーバーは年齢とともに遅くなると言われていますが、実際にどれくらい遅くなってしまうのか気になりますよね。

 

今回は肌のターンオーバーについて、その仕組みから年齢によって異なる周期、ターンオーバーが遅れる原因と対策まで解説します。

この記事の監修者

 

秋間 雄策

フローラクリニック院長

 

美容皮膚科・美容外科医。大手美容外科含む複数の美容クリニックで院長を歴任し、2021年に『フローラクリニック』を開院。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。

肌のターンオーバーとは

ターンオーバーについて解説する前に、肌の構造について理解する必要があります。

上の図のように、肌は「表皮」「真皮」に分かれ、その下に「皮下組織」があります。そして、ターンオーバーは表皮において行われます。

 

また、ターンオーバーが行われる表皮は「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」の4つの層に分けられます。

上の図のように、肌の細胞は基底層で作られてから少しずつ上に押し上げられて、最終的に角質となって剥がれ落ちます。この新陳代謝を「ターンオーバー」と呼びます。

 

ターンオーバーの周期は一般的に約28日~56日と個人差があります。また、周期は年齢を重ねるほど長くなり、老年期は若年期の約1.5~2倍ほど長くなると言われています。

ターンオーバーの周期は部位によって異なる

ターンオーバーが行われる表皮の厚さはおおよそ0.1~0.3mmしかありません。表皮の下にある真皮の厚みはおおよそ2mmです。

 

表皮と真皮を合わせても厚さは平均2㎜程度で、顔の表皮は0.07~0.2mm、真皮は1.7~2mm程度と言われています。この皮膚の厚さは体の部位によって異なります。

部位 厚さ(真皮+表皮)
頭皮 約1.2mm
約2.8mm
背中 約3.8mm
腹部 約1.9mm
大腿 約2.2mm
手首 約1.6mm
手のひら 約1.4mm

引用:漆畑修「皮膚とうまく付き合う方法」日本エステティック協会

 

このなかでもとくに表皮が厚いのは手のひらで、表皮が薄いのは頭皮、額、手首です。外部から絶えず刺激を受ける部位は角質細胞を厚くすることで体を保護しているのです。

 

これら部位によって皮膚の厚さは異なりますが、ターンオーバーの周期も異なっています。最もターンオーバーが早いのが顔(28日~56日)であり、ほかの部位はそれよりも遅くなります。

 

ターンオーバーの周期は年齢だけでなく、部位によって違ってくることを心得ておきましょう。

ターンオーバーが乱れると肌荒れにつながる

ターンオーバーが乱れると様々な肌トラブルを招きます。

 

・古い角質が毛穴に詰まり ⇒ ニキビ、毛穴の開き

・メラニンがスムーズに排出されない ⇒ シミ

・肌の水分不足からハリを失う ⇒ シワ

・角質層が厚くなる ⇒ 肌のごわつき、ざらつき、くすみ

 

後述しますが、ターンオーバーの乱れは紫外線や生活習慣の乱れが原因となって起こります。トラブルのない肌を保つにはターンオーバーが正常に行われることが大切なのです。

肌のターンオーバーの仕組み

では、ターンオーバーの仕組みについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

ターンオーバーは「細胞の分化」「角質層(角層)の剝離」という2つの段階がある

ターンオーバーの周期は、正常かつ若年の場合、基底層でつくられた細胞が角質細胞になるまでが約14日間、さらに角質細胞が角片としてはがれ落ちるまで約14日間かかります。

 

この基底層で作られた細胞が有棘層、顆粒層を経て、角質細胞になるまでを「細胞の分化」、角質層まで上がってきた細胞が角片としてはがれ落ちるまでを「角層(角質層)の乖離」と呼びます。

ターンオーバーは真皮では行われない

先述した通り、ターンオーバーは皮膚の表皮で行われるものであり、真皮では行われません。そのため、表皮より深い真皮まで及ぶような傷や、深いニキビ(ざ瘡)の場合、ゆっくりと薄くなってはいきますが、ターンオーバーのみでの回復は難しくなります。

ターンオーバーのサイクルイメージ

このように、肌の基底層で作られた新しい細胞が角質層に至り、そして角片としてはがれ落ちるわけですが、ターンオーバーによって肌が完全に生まれ変わるというのは少し誤解があります。

 

ターンオーバーは肌の生まれ変わりの周期でありますが、それが繰り返されることによって、傷や肌荒れなどは薄くなるのです。ゆえに、ターンオーバーの周期を見極めることは非常に難しく、あくまでも目安として知るしかないのです。

【年齢別】ターンオーバー周期の目安

ターンオーバーの周期は年齢によって異なるわけですが、実際に肌のターンオーバーが遅くなっていると実感することはあるはずです。例えば、子供の頃に血が出るようなケガをしても早く治ることが多かったのに、大人になるにつれて治りが遅くなっていると感じている方も多いでしょう。

 

幼いほど新陳代謝が活発なので、40代、50代・・・と年齢を重ねるにつれてターンオーバー周期は遅くなっていきます。

 

年齢別にターンオーバー周期の目安を表にまとめました。

 

年齢 ターンオーバー周期
10代 約20日
20代 約28日
30代 約40日
40代 約55日
50代 約75日
60代 約100日

この表はあくまで一例であり、個人差があります。

ただ、幅があるにしても60代では20代の2倍以上になることは確かです。

ターンオーバー周期の計算方法

自身のターンオーバー周期を知るための計算式としては、次のようなものがあります。

 

・28日(4週間周期)

・年齢×1.5

・28日+年齢 例.30歳だと、28日+30日=58日

ターンオーバーの周期については諸説あり、個人差も激しいため、その見極めは難しいです。

こちらもおおよその目安ととらえましょう。

ターンオーバーが遅れているかどうかを見極める方法

上記の表や計算式によって、ある程度のターンオーバー周期を測れるとはいえ、あくまでも目安です。そもそも自身のターンオーバー周期が「遅れているのかどうか」を知りたい方が多いはずです。

 

ターンオーバーが正常よりも遅れているかどうかを確かめるポイントを紹介します。

①傷の治りが遅いかどうか

たとえばニキビ・吹き出物ができたときどれくらいで治っていますか?

 

一般的に表皮内の浅いニキビ・吹き出物は7~10日で治ります。それより長い場合は、ターンオーバーが遅くなっていると考えてもよいでしょう。

②肌の乾燥、ごわつき、毛穴の開きがある

乾燥による肌のヒリつき、毛穴の開き、肌のごわつきを感じている場合、ターンオーバー周期が遅くなっている可能性が高いです。

③シミが目立つようになった

ターンオーバーが遅くなっていると肌の奥のメラノサイトで生成されたメラニンがなかなか排出されません。そして残ってしまったメラニンがシミになってしまいます。

 

シミが増えた、もしくは濃くなったように感じる場合、これもターンオーバーが遅くなっている可能性があります。

ターンオーバーの周期が遅くなる原因と対策

最後にターンオーバーの周期が乱れる原因とその対策を紹介します。

ターンオーバーの周期が乱れる原因① 間違ったスキンケア

洗浄力が強い洗顔料、クレンジング剤を使ったり、洗顔時に過剰な摩擦を加えている方は角質を落とし過ぎてしまい、ターンオーバーの乱れに繋がります。

【対策】スキンケアはやさしく、正しく

洗顔は過剰な摩擦を避けて、泡でやさしく洗い上げましょう。

洗顔後は化粧水だけでなく乳液やクリームで保湿ケアをするなど正しいスキンケアを心掛けましょう。

ターンオーバーの周期が乱れる原因② 紫外線ダメージ

紫外線によるダメージも、ターンオーバーを乱す要因となります。紫外線によるダメージを受けると肌は炎症を起こし、そのダメージを回復させるためにターンオーバーは早まるからです。

 

実は、ターンオーバーは遅れだけでなく、早まってしまうことも「乱れ」です。

 

また紫外線を浴びると、次のダメージを未然に防ぐためにメラニンを生成します。過剰にメラニンが生成されるとシミの原因にもなります。

【対策】紫外線対策を徹底しよう

紫外線を防ぐためには、徹底的に対策するしかありません。

 

日焼け止めや帽子、日傘などを春から夏の時期だけ使用する方も多いですが、紫外線は1年中降り注いでいます。紫外線ケアは夏の晴れた日などピンポイントではなく、習慣として行うのがベストです。

ターンオーバーの周期が乱れる原因➂ 生活習慣の乱れ

日頃の生活習慣は肌のターンオーバーと密接に関わってきます。

 

肌は食事によって作られるので、偏った栄養バランスの食事を続けていたり、食べ過ぎて胃腸に負担をかけると、肌荒れにつながります。

 

また、肌のターンオーバーを促す「成長ホルモン」は睡眠中に多く分泌されるので、睡眠不足が続くとターンオーバーは乱れてしまいます。なお、睡眠不足は自律神経が乱れる原因にもなりますので、しっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。

【対策】生活習慣を見直そう

 

毎日忙しい方だと、ついファーストフードやインスタント食品など簡単なもので食事を済ましてしまう方も少なくありません。たまに食べる分には問題ありませんが、習慣的に食べていると栄養の偏り、とくにビタミン類が不足しがちになるので、よくありません。

 

理想は栄養バランスを考えた料理を自炊することですが、自炊が難しい方は、ビタミンなど不足しがちな栄養が豊富な食品を意識的に選ぶように心掛けたり、食事で摂るのは難しい栄養素はサプリメントで摂取するのもいいでしょう。

 

ターンオーバーの乱れの原因のひとつである乾燥を防ぐ食べ物については「【医師監修】乾燥肌に良い食べ物でバリア機能を高めた潤い肌へ」で詳しく解説しています。

 

また、睡眠不足を解消するのは難しいですが、まずはスムーズに入眠するために、就寝直前に次のような行動は控えるようにしましょう。

 

・スマートフォンやPCの閲覧

・激しい運動

・コーヒーなどのカフェインの摂取

 

なお、運動で体を動かすこともターンオーバーの促進、程よい疲労感から快眠につながるので、ぜひ習慣として取り入れてみましょう。