ビタミンAはサプリで摂るほど重要な栄養素なのか?効果&ベストな摂り方

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「ビタミンA」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?

 

ビタミンのなかでも、ビタミンCやビタミンB(群)、はたまたビタミンEは健康、美容の話題になると名前が上がることが多いです。

それらと比べると、ビタミンAは少し馴染みが薄い存在かもしれません。

 

しかし、ビタミンAは健康、そして美容のために欠かすことのできない栄養素です。

今回はビタミンAをテーマに、その特徴や役割、効果的な摂り方について解説します。

この記事の監修者

 

 

大橋成孝

赤坂一ツ木通りクリニック医院長

慶応義塾大学医学部卒業後、循環器内科入局。2019年より赤坂一ツ木通りクリニックの院長に就任。循環器内科を専門とし、一般内科に加えて循環器疾患の診療も行っている。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません

そもそもビタミンAとは?

ビタミンAは脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」の一種です。

脂溶性ビタミンにはその他に、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあります。

ビタミンAは種類が豊富

そして、ビタミンAと一口にいってもその種類は豊富にあり、レチノール、レチナール、レチノイン酸、「レチニルエステル」と呼ばれる酢酸レチノールやプロピオン酸レチノール、パルミチン酸レチノール、これらを総称して「ビタミンA」といっています。

 

ビタミンAのなかでも、レチノイン酸は医薬品として使われ、レチノールなどと比べて、皮膚への刺激が強いのが特徴です。

ビタミンAの種類別特性

ビタミンAは種類が豊富ですが、化粧品(もしくは医薬品)として肌に使用した場合の特性をまとめたのが下の表です。

皮膚への刺激 浸透度 安定性
レチノール 少し強い やや深い 低い
レチナール 普通 やや浅い 非常に低い
レチノイン酸 強い 普通 低い
酢酸レチノール 普通 深い 高い
プロピオン酸レチノール 弱い やや浅い 非常に高い
パルミチン酸レチノール 弱い 浅い 非常に高い

酢酸レチノールをはじめとしたレチニルエステルは、肌への刺激が弱く、安定性が高いのが特徴です。対して、レチノール、レチナール、レチノイン酸は肌への刺激が強いため効果が高いですが、安定性が低く、長期使用には向いていません。

 

また、肌に含まれるビタミンAの91%はレチニルエステルであるため、スキンケアとしてビタミンAを補給する場合はレチニルエステルの形で補給するのが良いと言われることが多いです。

レチノール⇒レチナール⇒レチノイン酸

ちなみに、レチノール、レチナール、レチノイン酸は別物ではなく、それぞれ変化した形態を指します。レチノールは、皮膚内の酵素によって、レチナールに変わり、最終的にレチノイン酸に変化します。そして、レチナールはレチノールに戻ることがありますが、レチナールがレチノイン酸に変わると、元には戻りません。

化粧品として使われるビタミンAはレチノールを基本と考えよう

前述したように、レチノールはレチナール、最終的にレチノイン酸に変わります。

そして、レチノールに酢酸を加えたものが「酢酸レチノール」、パルミチン酸を加えたものが「パルミチン酸レチノール」、プロピオン酸を加えたものが「プロピオン酸レチノール」です。

 

化粧品としては純粋なレチノールのみの成分は「ピュアレチノール」と表記され、即効性と効果も高い反面、安定性に乏しく、肌への刺激が強いという弱みがあります。

ビタミンAの効果&不足すると起こる症状

ビタミンAはよく「目や皮膚の粘膜を健康に保つ」といわれています。ビタミンAの主な働きは、細胞の成長を促進させること、粘膜をサポートすることにあります。

 

これらの働きによって、具体的にどのような効果が生まれるのかを解説します。

効果① ターンオーバーを促す、肌に潤いを与える

ビタミンAが肌に貯蔵されているのは、皮膚の健康に欠かせない成分だからです。

 

ビタミンAは、細胞の成長を促進させる作用があるため、表皮の形成を促す、つまりターンオーバーを促進する効果があります。

 

また、結合組織を構成する細胞のひとつで、コラーゲンなど真皮の成分を作る線維芽細胞を活性化させる働きもあるため、肌に潤い、ハリをもたらします。

効果② 紫外線から肌を守り、シワやたるみを防ぐ

また、紫外線によって細胞が損傷するのを防ぐ働きがあります。シミやたるみは細胞の損傷によって起こるので、それらを防いでくれるわけです。

 

しかし、紫外線を受けるとビタミンAは破壊されてしまいます。ですので、ビタミンAは日々補給する必要があるのです。

効果③ 視覚機能を改善する

ビタミンAは“目のビタミン”とも言われます。

 

人間の目の網膜には光の明暗を感じる「ロドプシン」という物質があり、それによって薄暗い場所でも目が慣れると見えるようになります。このロドプシンの主成分はビタミンAです。当然、ビタミンAが不足すると暗闇のなかでの視力は低下します。

効果④ 抵抗力を高める

皮膚及び粘膜は感染症に対する最初の防御ラインです。これらの健康維持、サポートするビタミンAは“抗感染症ビタミン”とも評されます。

 

その他、ビタミンAには血管の弾力性や臓器の健康を保つ役割があります。

ビタミンAが不足すると起こる症状

このように、ビタミンAは健康と美容に欠かすことのできない重要な栄養素なので、不足すると次のような症状が起きます。

肌にもたらす症状

・乾燥

・シミ

・シワ

・吹き出物

健康にもたらす症状

・目が乾く(ドライアイ)

・胃腸が弱くなる

・風邪をひきやすくなる

・光をまぶしく感じる

このような肌、体調の変化を感じる場合はビタミンA不足が考えられます。

ビタミンAが不足した肌は「レチノイド反応」が起きやすい

ビタミンAが不足している肌に、化粧品などで多くのビタミンAを急に補給すると、肌の新陳代謝が促進されるため、一時的に、乾燥感や皮剥け、赤み、かゆみなどが生じます。これを「レチノイド反応」と呼びます。

 

ただし、レチノイド反応は時間が経つと落ち着くので、過剰に心配する必要はありません。症状が改善されない場合は、皮膚科の医師に相談しましょう。

ビタミンAはサプリで摂るべき栄養素か?

繰り返しになりますが、ビタミンAが美容と健康に欠かせない栄養素です。

しかし、気になるのは「サプリで摂る必要がある栄養素であるかどうか」でしょう。

 

ここでは、ビタミンAの摂取基準量、日本人の平均摂取量をみながら、その必要性について解説します。

ビタミンAの摂取基準量

ビタミンAの1日あたりの食事摂取基準量(㎍RAE/日)は次の通りです。

男性 女性
年齢 推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
12~14歳 550 800 500 700
15~17歳 550 800 500 650
18~29歳 600 850 450 650
30~49歳 650 900 500 700
50~64歳 650 900 500 700
65~74歳 600 850 500 700
75歳以上 550 800 450 650

参照:厚生労働省「ビタミン A の食事摂取基準

推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量

推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量

 

女性の場合、授乳中は非妊娠時より450㎍RAE多い1,150㎍RAEの摂取が推奨されています。

日本人の平均摂取量は不足傾向

ビタミンAの推奨量は男女で違いはあるものの、成人だと、おおよそ600~900㎍RAEは必要であることが分かります。しかし、令和元年国民健康・栄養調査によると日本人の平均摂取量は534.1㎍RAEとなっており、不足傾向にあります。

 

とくに昔の日本では、植物性食品が中心の食生活だったためにビタミンAの欠乏症は多く発生していました。ただ、近年は食生活が欧米化して動物性食品を食べる機会が多くなったので、ビタミンAの不足量は昔に比べると減っている傾向にあります。

ビタミンAを摂りすぎると良くない?

ビタミンAの食事摂取基準には、「耐容上限量」も示されており、成人は男女問わず2,700㎍RAEと定められています。過剰摂取による健康障害が起きる栄養素でもあるわけです。

 

過剰摂取による主な症状には次のようなものがあります。

・腹痛

・吐き気

・めまい

・皮膚がうろこ状に剝がれる

また、ビタミンAを長期にわたって多く摂り続けたときの漫然的な症状としては、全身の関節や骨の痛み、食欲不振、体重の減少といったものが挙げられます。

 

ただし、これらは非常に稀なケースであり、先ほど解説したように、全体ではビタミンAは不足している方が圧倒的に多いです。

結論:ビタミンAはサプリ摂取が必須とまでは言えないが有効

ビタミンAは不足傾向にあるため、サプリで補うのは有効です。しかし、大幅に不足しているわけではなく、過剰摂取による健康被害もあるので、必須とまではいえません。

 

まず目指すべきは、日々の食事によってビタミンAをしっかりと摂ることです。次章では、ビタミンAが多い食品を紹介します。

ビタミンAが多く含まれる食品

食品中において、ビタミンA(レチノールやレチニルエステル)とプロビタミンA(カロテノイド)の形で含まれています。プロビタミンAとは、体内でビタミンA作用物質に転換される物質であり、β-カロテンなどが該当します。

ビタミンAは緑黄色野菜に多く含まれる

ビタミンAが豊富に含まれる食品の筆頭は、緑黄色野菜です。

緑黄色野菜は、厚生労働省によって「カロテン含有量(可食部100gあたり)が600µg以上の野菜」と定義されています。カロテンの代表的なものは、先ほど説明したβ-カロテンです。

 

β-カロテンは12㎍でビタミンA1㎍RAEに相当する量として換算され、ビタミンAの量を示すレチノール当量(μgRAE) = レチノール(μg) + 1/12 β‐カロテン当量(μg)で計算されます。

100gあたりのレチノール当量(μgRAE)
しその葉(生) 880
にんじん(生) 720
ほうれん草(生) 350
西洋かぼちゃ(生) 330
赤ピーマン(生) 88
ブロッコリー(生) 75

参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 

上記に挙げた食品は一部であり、その他にもビタミンAを豊富に含んだ食品は数多くあります。緑黄色野菜はビタミンA以外のビタミンも豊富に含んでいるため、意識的に摂取しましょう。

 緑黄色野菜以外でビタミンAが豊富な食品

緑黄色野菜以外にもビタミンAを豊富に含んだ食品は沢山あります。代表的なのが次のような食品です。

 

100gあたりのレチノール当量(μgRAE)
鶏レバー(生) 14,000
豚レバー(生) 13,000
あんこう肝(生) 8,300
うなぎ(生・養殖) 2,400
チーズ(ナチュラル・チェダー) 330
全卵(生) 210
牛乳(生乳・ジャージー種) 53

参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 

肉のなかだとレバー(肝臓)が圧倒的にビタミンA量は多く、その他にうなぎ、乳製品も多い傾向があります。

 

ビタミンAを摂取するためには、これらの食材と緑黄色野菜を合わせた料理がおすすめです。

ビタミンAをしっかり摂れる!おすすめレシピ2選

ビタミンAは脂溶性のため、炒めものや揚げもの、ドレッシングなど油を使った調理がおすすめです。ここでは、おすすめレシピを2つ紹介します。

鶏レバーとほうれん草の卵とじ

材料(2人分)

・鶏レバー・・・200g

・ほうれん草・・・2分の1束

・卵・・・1個

・だし汁・・・120ml

・酒・・・50ml

・みりん・・・100ml

・砂糖・・・15ml

・醬油・・・15ml

・しょうが・・・10g

・片栗粉・・・10ml

・水・・・10ml

【下味用】

・おろししょうが・・・小さじ1杯

・酒・・・適量

 

作り方

➀ 鶏レバーを一口大にカットして、水洗いする

➁ ボウルにおろししょうがと酒、水洗いした鶏レバーを入れて30分程度漬け込む

③ ボウルからレバーを取り出して、お湯を入れた鍋に加えてひと煮立ちさせる

④ 鍋から一度レバーを取り出し、鍋の水は一度流した後、鍋にだし汁、酒、みりん、砂糖を合わせて、ひと煮立ちさせる

⑤ 鍋に再度レバーを入れたら、弱火で5分ほど加熱する

⑥ そこに醬油としょうが(千切り)を入れて、2分ほど加熱

⑦ 鍋をそのまま冷蔵庫で冷やす

⑧ ほうれん草を3分ほど塩ゆでした後、 水気を取って、一口大にカット

⑨ 冷やし終わった鍋から鶏レバーを取り出して火にかける

⑩ そこに鶏レバーとほうれん草を入れて、沸騰させる

⑪ 水溶き片栗粉でとろみをつける

⑫ 最後に卵を入れて火が通ったら、お皿に盛り付けて完成

ビタミンAが豊富な鶏レバーとほうれん草に卵まで加えた、“ビタミンA満点レシピ”です。作り方にあるように、鍋を一度冷やすことでレバーに旨みだけでなく、水分が染み込むので、しっとりとした食感に仕上ります。

 

また、レバーを調理する際は臭みをとるために血抜きは丁寧に行いましょう。

かぼちゃのチーズケーキ

材料(15㎝型1台分)

・かぼちゃ・・・200g

・卵・・・2個

・クリームチーズ・・・150g

・砂糖・・・45ml

・薄力粉・・・60ml

・豆乳・・・100ml

 

作り方

➀ クリームチーズを常温に戻す

➁ かぼちゃの皮をむいて、一口大にカットして、耐熱容器に入れる

③ ②を電子レンジ(600W)で3分間加熱

④ かぼちゃをペーストになるまで潰す

⑤ クリームチーズと砂糖を混ぜ合わせる

⑥ ⑤に卵を加えて混ぜ合わせる ※1個ずつ行う

⑦ ⑥にかぼちゃを加えて混ぜ合わせる

⑧ ⑦に豆乳を加えて混ぜ合わせた後、薄力粉を加えて軽く混ぜる

⑨ クッキングシートを敷いた型に⑧を流し込む

⑩ 170度のオーブンで60分程度焼く

⑪ 粗熱を取り、冷蔵庫で冷やせば完成

ビタミンAが豊富なかぼちゃはデザートとしても活躍してくれます。チーズをはじめ、乳製品もビタミンAが豊富なので、かぼちゃのチーズケーキはビタミンAを摂りたい方にはうってつけです。