グラフが証明する抜け毛が多い季節~季節性or薄毛を見極める方法~
「なんか最近抜け毛が多いな・・・」
朝起きたとき、お風呂で髪を洗っているときにそう感じているとしても、必ずしも薄毛が進行しているというわけではありません。というのも、季節によって髪が抜けやすい時期があるからです。
今回は「抜け毛の季節性」をテーマに、抜け毛が季節性のものなのか、薄毛が進行しているかを見極める方法と季節別におすすめの抜け毛を防ぐ食べ物を紹介します。
この記事の監修者
2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック副院長に就任。医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。
本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。
グラフが示す抜け毛が多い季節は「秋」
抜け毛が増えたと思ったら、知らない間に落ち着いていた。1年のなかでそういったサイクルを繰り返す方は少なくありません。
季節と抜け毛には相関性があるからです。
夏の終わり~秋の始まりに抜け毛を気にする人が多い
上のグラフは、Googleトレンドによる「抜け毛」の検索数の推移です。例年、8月の最終週~9月中旬頃にピークを迎えることが分かります。
実際に秋は抜け毛が増える
夏の終わり~秋にかけて抜け毛を気にする人が多くなるわけですが、気のせいではありません。実際に抜け毛が増えています。
参考:服部道廣「養毛・育毛剤の評価法」を基に編集部が作成
“図一1は45歳の健常な女性の一年間の抜け毛の推移を示したものである。(中略)本例では3月~4月に掛けて低値を示し,10月~11月では一日約140本前後と,一過性に急激に多く抜けている |
今回参考にしたレポートでは、図一1(上のグラフ)について、このように言及しています。グラフの10月~11月では300本以上抜けている日も見られますが、月平均にすると140本前後に収まるということでしょう。
一般的に、抜け毛は2月~5月が最も少なく、8月~11月がその1.5倍~2倍、多い場合は3倍とも言われています。また、1日の抜け毛本数が100本以上を超えると薄毛の進行が疑われます。
秋に最も抜け毛が多くなる理由
夏の終わりから秋にかけて抜け毛が多くなる原因としては、次のような理由が考えられます。
・夏に蓄積された紫外線ダメージ
・空気の乾燥
・動物の換毛期
第一に、頭皮が受ける紫外線のダメージが考えられます。
夏は1年のうちで最も紫外線量が多い時期であり、紫外線と抜け毛には直接的な関係はないと言われていますが、紫外線を受けた頭皮は肌と同じで変化が生じます。
「光老化」とも呼ばれますが、頭皮の変化だけでなく、タンパク質の合成反応を阻害するとも指摘されています。毛髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)に悪影響を及ぼすため、抜け毛、ひいては薄毛につながるのです。
夏に受けた紫外線ダメージの影響が出るのが秋であるため、その時期に抜け毛が多くなると考えられています。
また、「秋は動物の換毛期だから」という見方もあります。動物の換毛期は3月と11月であり、人間も同じようにこの時期は毛が抜け落ちやすいと言われます。
秋だけでなく春・夏・冬も抜け毛が増える可能性がある
秋が最も抜け毛が多くなりますが、それ以外の春、夏、冬にもそれぞれ抜け毛が増える要因があります。
春 | ・環境の変化によるストレス
・花粉によるアレルギー |
夏 | ・紫外線ダメージ
・大量の皮脂や汗 |
冬 | ・寒さによる血行不良
・頭皮の乾燥 |
春は上記の2つの理由のほか、頭皮が夏の暑さに対応するために細胞を生成するためと言われることもあります。
ストレスと抜け毛の関係については「【図解】ストレスで抜け毛が増える理由と治すために必要なアクション」で詳しく解説しています。
季節の変わり目に抜け毛が多くなる原因
春夏秋冬のそれぞれに抜け毛を誘発する要因があるわけですが、総じて季節の変わり目はとくに注意が必要です。1日のなかでの寒暖差が激しく、環境変化によって心身のバランスが崩れやすくなるためです。
心身のバランスは、血流やホルモンバランスに関わるため、頭皮環境にも影響します。季節の変わり目は、とくに体調管理に気をつけましょう。
抜け毛が季節性のものなのかor 薄毛が進行しているのかを見極める方法
季節によって抜け毛が増減するとはいえ、それが季節性のものなのか、薄毛が進行しているのかが気になるところでしょう。ここでは3つのチェックポイントを紹介します。
抜け毛の本数が100本以上ないか
先述したように、抜け毛の本数が常時100本以上あると薄毛の進行が疑われます。
季節によって変化はあるものの、50本~100本の抜け毛は自然脱毛と考えていいでしょう。
抜けた毛の毛根の形状に膨らみがあるか
抜け毛の本数を毎日チェックするのはあまり現実的ではないかもしれません。
手軽なのが抜け毛の毛根の形状をチェックする方法です。
自然脱毛した健康的な抜け毛の毛根は、お米のような楕円形で、白っぽい「毛根鞘(もうこんしょう)」が付いています。
逆に薄毛が疑われる方の抜け毛の毛根は、細かったり、べたついたり、黒くなっていたりします。また、抜け毛が短い場合は髪が成長しきる前に抜けてしまっているため、ヘアサイクルの乱れ=薄毛の進行が疑われます。
抜け毛のチェックについては「抜け毛がひどいとお悩みの男性・女性必見!原因と対策【図解】」でも詳しく解説しています。
部分的な抜け毛ではないか
抜け毛の本数に限らず、どこか一箇所が集中的に抜けている場合は薄毛(円形脱毛症など)が疑われます。
円形脱毛症は初期症状が起きたときに「そのうち治るだろう」と軽く考える方が多いですが、悪化する可能性が大いにあります。部分的な抜け毛を察知した時点で、速やかに専門医に相談することをおすすめします。
【春夏秋冬別】抜け毛を防ぐ食べ物
今回は最後に抜け毛を予防・改善するために食べたいもの(栄養素)を季節別に紹介します。
年中通して食べたいもの
まず、季節を問わずに年中摂りたい栄養素は次の2つです。
・タンパク質・・・髪の毛の99%を構成する「ケラチン」はタンパク質の1種である。
・ミネラル・・・アミノ酸をケラチンに換える働きがある亜鉛、体内の代謝を活発にして、髪や皮膚を健康にする働きがあるヨウ素などがある。
両者を効率よく摂取するのにおすすめなのは鶏肉です。
タンパク質が豊富な肉類のなかでも、タンパク質が多く、また亜鉛が含まれいるため、髪を育てるにはうってつけの食材といえます。
春はストレスを軽減する食べ物がおすすめ
春は新生活が始まるなどの環境の変化により、ストレスを感じやすく、それが頭皮環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
抗ストレスホルモン「コルチゾール」の材料となるビタミンC
「コルチゾール」は一時的に体内の血糖値を増やして、身体のストレスを緩和するのに一役買ってくれます。そのコルチゾールの材料となるのがビタミンCです。
ビタミンCは次のような食材に多く含まれています。
・パプリカ
・ブロッコリー ・海苔 ・アセロラ ・キウイ ・レモン |
ビタミンCが豊富な食べ物については「ビタミンCが多い食べ物・飲み物ランキング20選~効率的な取り方~」で詳しく解説しています。
脳の栄養素となるブドウ糖をエネルギーに変えるビタミンB群
また、脳のエネルギー源となるブドウ糖を効率的にエネルギーに変えてくれるビタミンB群もおすすめです。というのも、脳がエネルギー切れを起こしてしまうと落ち着きがなくなるため、結果としてストレスになるからです。
ビタミンB群は次のような食材に豊富に含まれています。
・豚肉
・レバー ・アーモンド ・たらこ ・しいたけ |
夏は紫外線対策に効果がある食べ物がおすすめ
夏の天敵である紫外線ダメージを緩和するためにはビタミンが欠かせません。
抗酸化力があるビタミンA&リコピンがおすすめ
先述したビタミンCも紫外線ダメージの予防には効果を発揮してくれますが、ビタミンのなかでは意外と忘れてしまいがちなビタミンAも重要な役割を果たしてくれます。ビタミンAは紫外線によって細胞が損傷するのを防ぐ働きがあり「天然の紫外線防止剤」と言われています。
ビタミンAは次のような食材に豊富に含まれています。
・ニンジン
・ブロッコリー ・ほうれん草 ・しその葉 ・パプリカ |
ビタミンAについて「ビタミンAはサプリで摂るほど重要な栄養素なのか?効果&ベストな摂り方」で詳しく解説しています。
またトマトに含まれるリコピンには抗酸化力が高く、紫外線による「老光化」を防ぐ役割があると言われています。夏野菜でもあるトマトも積極的に摂るようにしましょう。
秋は乾燥を防ぐ食べ物がおすすめ
秋は抜け毛が最も多い季節ですが、“食欲の秋”とも言われる時期なので、沢山の食材から栄養を摂るようにしましょう。
バランスの良い食事が基本
秋に入ると心配になるのが乾燥です。乾燥から頭皮に痒みが生じて、かきむしってしまうなど物理的な刺激で髪は抜けてしまいます。また、炎症によって発毛に悪影響を及ぼします。
乾燥を防ぐための栄養素はタンパク質、ビタミン、ミネラルなど多岐にわたります。ですので、それらの栄養素を総合的に含んだ食事を心掛けるようにしましょう。
腸内環境を整える発酵食品もいい
また、乾燥肌を改善するためには腸内環境を整えることが有効です。
キムチ、納豆、ヨーグルトなど発酵食品を積極的に摂取しましょう。
冬は血行を促進する食べ物がおすすめ
冬で最も心配なのが寒さによる血行不良です。血行不良になると、頭皮に栄養が十分に行き渡らず、髪が育たない可能性があります。
クエン酸が豊富な“酸っぱい”食べ物
クエン酸には血液の酸化を抑制して、血行をよくする効果があります。お酢や梅干し、レモンなどクエン酸が豊富な食材を積極的に摂るようにしましょう。
青魚もおすすめ
また、血行の改善にはサバやイワシなどの青魚もおすすめです。青魚に含まれる「EPA」には血液をサラサラにする作用があります。青魚ではないですが、うなぎはEPAが含まれているほか、タンパク質、ビタミン、亜鉛など“髪の毛に良い栄養素”が豊富に含まれる最強食材のひとつです。
抜け毛を予防する食べ物については「【図解】抜け毛を予防する食べ物大全~最強の食材&メニュー」でも詳しく解説しています。
抜け毛が気になったときが育毛剤を始めるベストタイミング
今回は抜け毛の季節性をテーマに、抜け毛が季節性のものなのか、薄毛につながるものなのかを見極める方法を紹介してきました。
「季節性だからいい」ではない
今回の記事を読んで、自身の抜け毛が季節性のものだったと安心している方もいるかもしれません。
しかし、抜け毛が気になるときはできるだけ早くケアした方がいいのはたしかです。なぜなら、薄毛は気付かぬうちにあっという間に進行するからです。日々の食事、睡眠管理はもちろん、育毛剤の使用を検討しましょう。
正しいケアで抜け毛を予防「ビタブリットCヘアー」
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