【医師監修】抜け毛予防にサプリは効く?薬の方がいい?育毛効果をアンケート調査

対策方法

サプリで抜け毛を予防できる?

抜け毛を予防するために、サプリを検討している方は多いでしょう。

そこで気になるのが「本当に効くのか?」

実際に“育毛サプリ”と呼ばれる商品は数多く存在しており、効果があったという声もあります。

今回は「抜け毛を予防するためにサプリは有効なのか?」をテーマに、実際にサプリを常飲している人を対象にアンケート調査を行いました。

その結果のほか、サプリの正しい飲み方や注意点を紹介します。

また、サプリだけでなく薬(AGA治療薬)についても解説しますので、サプリや薬で薄毛を改善しようと考えている方はご覧ください。

記事の監修者

吉岡 容子
医療法人容紘会高梨医院院長

東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設。

 サプリで抜け毛は予防できる?【100人アンケート調査】

「サプリって本当に効果があるの?」

抜け毛で悩んでいる方は気になりますよね。

そこで、いわゆる「育毛サプリ」を日常的に服用している方100名にアンケートしました。

調査概要
居住地:全国

ターゲット:[モニタリスト]育毛サプリ使用経験者
回収時期:2020年11月18日
サンプル数:100
調査方法:インターネット調査

「効果があった」と回答したのは34%

「効果があった」と回答したのは100名中34名でした。つまり、半数以上は「効果がなかった」という結果になりました。

「効果があった」と回答した人のコメント

約3年ほど使っています。あくまで主観ですが、抜け毛が少し減ったように感じます。30代/福岡県・男性

半年ぐらいで効果を感じた。40代/兵庫県・男性

飲み始めて3ヶ月ですが抜け毛が減ってきたと感じます。40代/北海道・女性

1ヶ月服用して、あまり効果を感じなかったので飲むのをやめました。すると、髪のボリュームが落ちてきた感じがしました。 そのため、またそこから4ヶ月ほど飲んでみたら抜け毛の量が減り、髪にハリが出てきたように感じました。50代/長崎県・男性

「効果があった」と回答した方には次のような共通点がありました。

  • 使用から3ヶ月~半年間ぐらいで効果を実感し始めた
  • 「髪が生えた」というよりも「抜け毛が減った」という効果を感じた

サプリの効果は徐々に表れ、その効果は劇的に改善するようなものではないということです。

この結果を見て、皆さんはどう思いますか?

「サプリで効果を出すのは難しいのか」

「ものすごい効果が出るサプリはないの?」

そう思われた方は、サプリに対する考え方自体が間違っています。

そもそも「サプリ」とは?

サプリメント(supplement)を直訳すると、「補充」「追加」という意味になります。一般的には、「栄養補助食品」という意味です。毎日の食事では不十分な栄養を補う役割を持っているわけです。つまり、サプリだけでどうにかしようとするのはお門違いなのです。毎日の生活習慣、食事が基本であることを心得ておきましょう。

サプリと薬は違う

サプリは薬ではなく「食品」です。健康な人が使用することを想定しているのがサプリであり、薬は病気の人向けです。

カテゴリ サプリ
分類 食品 医薬品
対象 健康な人 病気の人
販売資格 制限はない 許可が必要

また、薄毛に効く薬とは基本的にAGA治療薬を指します。AGA治療薬とサプリの違いについて詳しくは後ほど解説します。

サプリだけを飲んで髪の毛が生えるわけではありませんが、育毛の補助をしてくれます。

【まとめ】

サプリは薬ではなく「栄養補助食品」。

そのため、毎日の生活習慣、食事が基本だが、「育毛の補助」をしてくれる。

抜け毛を予防する有効成分とは?

一口に「育毛サプリ」といっても、様々な種類があります。

というのも、育毛は複合的な要素が結実した結果だからです。つまり、抜け毛を防ぐために必要な成分は沢山あるのです。

【一覧表】抜け毛予防に効果がある成分(栄養素)

抜け毛を予防する有効成分は、主に次の役割に分類できます。

  • 髪の毛を生成する
  • 頭皮環境を整える
  • 血行を良くする
  • ホルモンに働きかける

ここでは、上記の役割別に有効成分を紹介します。

髪の毛を生成(もしくはサポート)する成分

ケラチン タンパク質の1種であり、髪の毛を構成する大部分を占める。18種類のアミノ酸から成り立っていて、そのままでは体内に浸透しにくいので吸収されやすいように処理された「ケラチン加水分解物」として成分表に記載される。
L-リジン ケラチンを構成するアミノ酸の1つ。カルシウムの吸収やコラーゲンの形成など体の組織を修復してくれる。
亜鉛 髪の毛の生成に欠かせないミネラル。食事で摂取したタンパク質を髪の毛に変える働きがある。
ビタミンB2 髪の毛や爪などの細胞の再生をサポートする。また、頭皮の新陳代謝を活性化させる。

 頭皮環境を整える成分

ビタミンA 頭皮のターンオーバーを促し、頭皮環境を健康に保つ。
ビタミンC 丈夫な皮膚や血管を作る働きがあり、頭皮環境を正常化する。また、美肌効果のあるコラーゲンの生成を助ける。
コラーゲンペプチド コラーゲンをさらに細かく分解したもので、肌の再生を促進する。肌の水分量を増やして、弾力性のある健康的な頭皮を維持する。

血行を良くする成分

ビタミンE 毛細血管を広げる働きがあり、血行を改善する。
カプサイシン 新陳代謝を高めて、体を温める効果がある。体が温まることで、血管が拡張して、血行促進される。
高麗人参 血管中に血栓(血液が固まったもの)ができにくいようにする。

ホルモンに働きかける成分

ノコギリヤシ 頭皮環境に悪影響を及ぼすジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの生成を抑制する。また皮脂の分泌を抑えることで毛根が塞がるのは防ぐ。
イソフラボン 髪や肌に潤いを与えるなどの働きを持つ女性ホルモン「エストロゲン」に似た構造を持つ。健やかな髪の成長をサポートしてくれる。

ノコギリヤシが抜け毛の予防に効く理由

先の表で紹介した成分のなかには馴染みがないものもあったでしょう。なかでも「ノコギリヤシ」を初めて聞いたという方は多いのではないでしょうか。

ノコギリヤシはヤシ科植物の1種であり、前立腺肥大症の改善に効果があるとも言われています。また、先述したように薄毛の原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑える効果があります。

抜け毛が増えるメカニズム

ジヒドロテストステロンの生成を抑えることがいかに抜け毛の予防に繋がるかを理解するためには、抜け毛の原因を知っておく必要があります。

抜け毛が増加する原因はヘアサイクルの乱れです。

髪の毛は通常2年~6年かけて、抜けていきます。正常時でも1日に50本~100本程度は抜けます。しかし、ヘアサイクルが乱れると数ヶ月~1年程度で抜けてしまうため、正常時よりも抜け毛が増えます。

そして、このヘアサイクルの乱れを引き起こすのがジヒドロテストステロンです。

ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンの1種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ(還元酵素)」が結びついて生成されるものです。

ノコギリヤシにはジヒドロテストステロンの生成を抑える働きがあるわけですが、厳密にはジヒドロテストステロンの元になる「5αリダクターゼ(還元酵素)」の発生を抑制してくれるのです。

ノコギリヤシは副作用の心配も少ない

薄毛だけでなく、前立腺肥大症の改善にも使用されるノコギリヤシですが、今のところ特に目立った副作用は報告されていません。

ただ、稀に摂取し過ぎると次のような症状が出るケースはあるようです。

  • 腹痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 下痢

もしも症状が表れた場合は、早めに医師に相談しましょう。

【まとめ】

・抜け毛を予防するために必要な成分は様々

・ノコギリヤシは抜け毛の根本原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑える効果があり、副作用もほとんどない

抜け毛を予防するサプリの選び方と正しい飲み方

育毛サプリには多種多様なメーカー、商品があるので、どれを選べばいいのか悩んでいる方も多いでしょう。

サプリの選び方

育毛サプリを選ぶ基準

サプリを選ぶ際は次の2つを基準にすると良いでしょう。

  • 配合成分
  • 価格

自身の属性と薄毛の原因に合った成分を選ぶ

例えば、男性と女性では抜け毛の原因が異なります。そのため、販売されている育毛サプリは、男性向けと女性向けに分けられています。男性なら男性向け、女性なら女性向けを選ぶのが無難なわけですが、その成分にも注目しましょう。

男性 ⇒ ノコギリヤシ

女性 ⇒ イソフラボン、マカ

ノコギリヤシ、イソフラボンに関しては前章で紹介した通りですが、マカは女性ホルモンバランスを整える効果があります。年齢ともに減少する女性ホルモン「エストロゲン」の分泌を増やす効果があるのです。

また、薄毛の原因に合わせて選ぶのもアリです。とはいえ、薄毛の原因は明確に分かるものではないのであくまで参考です。

ホルモンバランスの乱れ

⇒ ノコギリヤシ、イソフラボン、マカ、ビタミン、BCAA(アミノ酸)

血行不良

⇒ カプサイシン、高麗人参

飲み続けられる価格のものを選ぼう

冒頭のアンケート結果でも分かるように、サプリは継続して飲用しないと効果は表れません。つまり、継続して購入できる価格のものを選ぶ必要があります。

サプリはあくまでも「補助」ですから、それに割ける予算を決めてから購入しましょう。

【まとめ】

・性別・原因によって必要な成分は異なる。成分にも着目して選ぶ。

・飲み続けられる価格のサプリを選ぶ

サプリの効果を高める飲み方

自分に合ったサプリを購入したら、あとは日常的に飲用するだけです。しかし、いくつかのポイントがあります。

ポイント① 摂取量を守る

サプリは沢山飲めば、効果が高まるわけではありません。逆に、過剰摂取による健康被害が出る可能性があります。

メーカーが推奨する摂取量は必ず守るようにしましょう。

ポイント② 食後に飲むのがおすすめ

ビタミンやミネラルは他の栄養素と同時に摂取した方が吸収率は上がります。また、空腹時にサプリを飲用すると胃腸に負担をかけてしまう可能性もあります。

ですので、サプリは食後すぐに飲むのが良いでしょう。そして、髪の毛の成長は睡眠中なので夕食後がおすすめです。

ポイント③ 水やぬるま湯で飲む

サプリを飲むときは水かぬるま湯にしましょう。お茶やコーヒーはタンニンやカフェインが作用して、栄養素の吸収を妨げてしまう可能性があるので避けましょう。

ポイント④ 3~6ヶ月は継続して飲む

先述したように、サプリは継続して飲まないと効果がありません。目安としては半年間、少なくとも3ヶ月は続けて飲むようにしましょう。

ポイント⑤ 不調が表れたらやめる

サプリには基本的に副作用はありませんが、体質に合わないと不調を起こす可能性はあります。不調を感じたら、すぐに飲むのをやめましょう。

飲み忘れに注意

サプリの飲用が習慣化していないと、ついつい忘れてしまいます。

飲む時間を決める、テーブルの上に置いておく、スマホのアラームを鳴らすなど、自分なりに忘れない工夫をしましょう。

【まとめ】

サプリを選ぶ基準

・自身の属性、原因に合った成分が配合されたもの

・継続して使用できる価格

飲用する際のポイント

①    摂取量を守る

②    夕食後がおすすめ

③    水もしくはぬるま湯で飲む

④    3~6ヶ月は継続して飲む

⑤    不調が表れたらやめる

サプリよりも薬の方が抜け毛予防に効く?

冒頭でも書いたように、サプリと薬(AGA治療薬)は違います。

結論、AGA治療薬はサプリよりも育毛効果を期待できます。

しかし、次の2点から一概におすすめできるものではありません。

  • 副作用の危険性がある
  • サプリよりも高額

ここでは、薄毛を改善するAGA治療薬について解説します。

代表的な3つのAGA治療薬(成分)

ミノキシジル 日本で唯一発毛効果が認められた成分

発毛剤にも使われているほか、内服薬としては「ロニテン」「ミノタブ(ミノキシジルタブレット)」として知られる

フィナステリド(プロペシア) 抜け毛の原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑え、ヘアサイクルを正常にする。「プロペシア」という名前の飲み薬(錠剤)で知られる
デュタステリド(サガーロ) フィナステリド同様に、ジヒドロテストステロンの生成を抑える。「サガーロ」という名前の飲み剤(カプセル剤)で知られる

AGA治療薬には副作用の危険がある

成分 副作用
ミノキシジル ・かゆみ

・発疹

・皮膚炎

・動悸、息切れ

・肝機能障害

フィナステリド(プロペシア) ・性欲減退

・発疹

・肝機能障害

デュタステリド(サガーロ) ・性欲減退

・発疹

・肝機能障害

フィナステリドとデュタステリドは女性の服用は禁止されています。胎児の生殖器形成に深刻な影響を及ぼすリスクがあるからです。

AGA治療薬はサプリよりも高額

薬代の相場

ミノキシジル(ロニテン):60錠で7000円~8000円

フィナステリド(プロペシア):28錠で6000円〜9000円

デュタステリド(サガーロ):30カプセルで9000円~13000円

治療薬代はクリニックのカウンセリング込みで1万5,000円~3万円くらいが相場です。

サプリの金額は幅があるものの、月に3,000円~7,000円くらいなので、薬の4~5分の1で済みます。

抜け毛に効く漢方薬はある?

AGA治療薬はハードルが高いけど、漢方薬はどうなの?という方もいるでしょう。

漢方(東洋医学)では、髪の毛のことを「血余(けつよ)」といいます。血の余りが頭髪になるという意味です。

そして、漢方において薄毛の原因となるのは次の3つです。

  • 血虚(けっきょ):血液の不足
  • 腎虚(じんきょ):免疫機能の低下
  • 湿熱(しつねつ):熱や水分が過剰にため込まれた状態

これらの改善を促す漢方薬を服用すれば抜け毛を予防できる可能性はあります。ただ、サプリ同様にあくまでも「補足」なので、劇的な効果は期待しないようにしましょう。

市販で売られているAGA治療薬はある?

市販されているAGA治療薬といえば、外用薬という位置付けの発毛剤です。ちなみに、育毛剤は医薬部外品なので医薬品ではありません。

発毛剤にはミノキシジルが配合されているので、副作用が起きてしまう可能性があります。副作用が心配な方は発毛剤よりも育毛剤がおすすめです。

サプリと薬の併用はNG

基本的に、サプリと治療薬を併用することは良くありません。現在、治療薬を処方している方でサプリの服用を検討されている場合は医師と相談しましょう。

【まとめ】

・AGA治療薬はサプリよりも育毛効果を期待できる。しかし、高額・副作用が起きる可能性があるなどのデメリットもある。

・漢方は、サプリ同様にあくまでも「補足」。そのため、劇的な効果は期待しないように。

・副作用が心配な方は発毛剤よりも育毛剤がおすすめ。

・基本的にサプリと治療薬の併用はNG

抜け毛予防のサプリに関するQ&A

よくある質問

抜け毛を予防するサプリは男性と女性で違う?

A.違います。

先述したように、育毛サプリはホルモンバランスを整える働きを持つので男性と女性では

服用すべきサプリは異なります。

男性ならノコギリヤシ、女性ならイソフラボンが含まれたサプリがおすすめです。

安い育毛サプリは効果が出にくい?

A.値段は関係ありません。

値段が高いほど効果が高いわけではありません。重要なのは成分です。

自分に合った成分が配合されたものを選ぶようにしましょう。

とはいえ、自分に合うサプリを見つけるのは簡単ではありません。見つかるまでは、色々なサプリを試しましょう。

産後の抜け毛はサプリで予防できる?

A.できます。

産後の抜け毛が気になる方におすすめなのは、イソフラボン、葉酸、亜鉛が配合されたサプリです。産後は「エストロゲン(女性ホルモン)」が減少するのに加えて、ストレスに溜まりやすくなります。

  • イソフラボン
    ホルモンバランスを整える
  • 葉酸 
    睡眠障害を防ぎ、ストレスを緩和してくれる
  • 亜鉛
    髪の毛の生成に必要

サプリ以外の抜け毛予防法

サプリはあくまでも「補助」の役割であり、大事なのは普段の生活習慣です。

生活習慣を正す~基本は食事~

不規則な生活習慣は、薄毛の原因となるホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こします。

とくに、食事には気を付けましょう。脂っこい料理、ジャンクフードは良くありません。

薄毛が気になる方が積極的に摂りたい栄養素は次の3つです。

  • タンパク質
  • ミネラル
  • ビタミン

これらが多く含まれる食事を心掛けましょう。

おすすめの食事メニュー

育毛に必要な3つの栄養素がバランス良く含まれる食事メニューは次の2つです。

  • 豚キムチ
  • 牡蠣の野菜炒め

豚キムチは、タンパク質とビタミンB群が豊富な「豚肉」とビタミン類と乳酸菌が豊富な「キムチ」の最強の組み合わせです。

また、キムチには血行を促進するカプサイシンも含まれているので、育毛にはうってつけです。

また、牡蠣はミネラル(亜鉛)とビタミン、タンパク質が豊富です。“育毛に効く最強の食材”と言えます。

紹介したメニュー以外にも髪に効く料理は沢山あるので、自身の好みに合わせて、育毛を意識した食事を心掛けましょう。

ヘアケアを怠らない

正しい生活習慣と同時に、大事なのが日々のヘアケアです。ただ、意外と正しくヘアケアを行えている方は少ないです。

【正しいシャンプーの方法(手順)】

①    ブラッシング

②    お湯で髪の毛を洗う

③    シャンプーを手で泡立てる

④    爪を立てずに頭皮を揉みながが洗う

⑤    しっかりと流す

面倒と思われる方もいるかもしれませんが、頭皮を守るためにもシャンプーはしっかりと丁寧にやりましょう。

シャンプー後は育毛剤を使用するだけでなく、頭皮マッサージをやるのもいいでしょう。