【図解】血糖値の正常値(通常値)・基準範囲・平均値を説明します【医師監修】
血糖値の正常値(通常値)とはどのくらいでしょうか。基準となる範囲や平均値を、表やグラフを使って分かりやすく簡潔に説明します。血糖値の改善方法も紹介していますので、健康診断で血糖値を指摘された方などはぜひ参考にしてください。
血糖値を下げる・上げないなどの広告は年々増えてきました。健康診断の結果から、血糖値が話題にのぼることも珍しくありません。
では、血糖値の正常値(通常値)とはどのくらいでしょうか。
基準となる範囲や平均値を、表やグラフを使って分かりやすく簡潔に説明します。
この記事の監修者
Alohaさおり自由が丘クリニック開業医
日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。現在は、Alohaさおり自由が丘クリニックを開業。内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜している
血糖値の正常値とは
はじめに、血糖値に関する検査項目と検査結果が渡された紙に書かれている項目の略称、その正常値(基準値)を表にまとめました。
検査項目 |
項目略称 |
正常値(基準値) |
空腹時血糖 |
BS(GLU) |
0~99 mg/dL |
随時血糖 |
BS(GLU) |
140 mg/dL 以下 |
糖化へモグロビン |
HbA1c |
4.7~5.5% |
「あれ、BS(GLU)には2種類の正常値がある?」
そうです。
血液検査のために渡された紙に「前日の夜から水以外は何も飲食しないでください」と書かれていましたか?
前日の夜から水以外は何も飲食せずに過ごした方は「空腹時血糖」の数字を、そうでなかった方は「随時血糖」の数字を参考にしてください。
それでは、ひとつひとつ説明していきます。
血糖値とは
血糖値とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)の量のことです。健康診断など医療機関で採血をしたときに、血液1dL(1デシリットル)のなかにグルコースが何mg含まれているか、をあらわす数値です。
血糖値の正常値
健康な人でも食事の前後で上下します。
食後12時間経っている場合では、100mg/dL未満が正常値です。
これを空腹時血糖値と呼びます。あとで詳しく説明します。
血糖値が上昇・下降する仕組み
「血糖値が高い」
「血糖値を下げる」
と目や耳にする機会は多いと思います。
しかし、血糖値が上昇・下降する仕組みはどうなっているのでしょうか。
ここでは、体外と体内の作用、2種類に分けて説明します。
体外からの作用
血糖値を上下させる要素として体外からの最も大きな要素は食事です。
炭水化物を摂ると、血液中のグルコースが増えて血糖値は上昇します。 炭水化物を摂って時間が経つと、血液中のグルコースが減って血糖値は下降します。 |
体内での作用
体の中で血糖値に作用する機能は、ホルモンの働きです。
体内の血糖値が高くなりすぎたり低くなりすぎたりしないよう、バランスを保つために逆の働きをする2つのホルモンが膵臓から分泌されています。
インスリン |
上がった血糖値を下げる |
グルカゴン |
下がった血糖値を上げる |
また、ホルモンの作用以外に運動でも血糖値は下降します。
腹時血糖値と食後血糖値(随時血糖)の違い
最初にご覧いただいた表で、「空腹時血糖」と「随時血糖」でBSの正常値が2種類あったことを覚えていますか。
2つの違いとHbA1c(糖化ヘモグロビン)についてこれから説明します。
空腹時血糖値
空腹時血糖とは、検査前に水以外の飲食をせずに採血した時の血糖値です。
空腹の状態で血糖値がどのくらいか知ることができます。
食事や飲み物に含まれる炭水化物の影響を受けないデータとなるため、とても大切な指標です。
100mg/dL未満が正常値(基準値)です。126mg/dL以上ある場合は、糖尿病の診断基準の1つに〇がつくことになります。
空腹時血糖値の平均値は?
年齢別の空腹時血糖値をグラフにあらわしたものがこちらです。
出典:年齢層を考慮した 情報提供、保健指導の在り方に 関する検討
男性は60-64歳で空腹時血糖平均値がピークを迎えます。
女性は年齢に伴って空腹時血糖平均値が少しずつ上昇していく傾向が見えます。
随時血糖
空腹時血糖値と逆で、食後からの時間を決めずに採血したときの血糖値を随時血糖と呼びます。
食後は誰でも血糖値が高くなるため、140mg/dL未満が正常値です。
200mg/dL以上ある場合は、糖尿病の診断基準の1つに〇がつくことになります。
また、食事から2時間後でも血糖値が140mg/dL以上ある場合は「食後高血糖」の疑いがあります。
食後高血糖は、食事という体外から血糖を上げる刺激に対して、体内のホルモン(インスリン)が対応できていないために起こります。
▼食後血糖値・食後高血糖について知りたい方はこちらもご覧ください。 |
HbA1cとは
難しい名前で、読み方が分からない人も多いのではないでしょうか。
HbA1cは「ヘモグロビンエーワンシー」と読みます。
Aのあとはアルファベットの「l(エル)」ではなく、数字の「1(ワン)」です。HbA1cは血中ヘモグロビンのうち糖と結合した、糖化ヘモグロビンの割合を示します。
糖化ヘモグロビンは直前の食事に左右されず、過去1~2か月の血糖値を反映します。 正常値は4.3%~5.8%です。6.5%以上ある場合は、糖尿病の診断基準の1つに〇がつくことになります。
ここまでのまとめ
検査項目 |
略称 |
正常値 |
境界値 |
危険値 |
空腹時血糖 |
BS(GLU) |
0~99 mg/dL |
110~125mg/dL |
126mg/dL以上 |
随時血糖 |
BS(GLU) |
139mg/dL以下 |
140~199mg/dL |
200mg/dL以上 |
糖化へモグロビン |
HbA1c |
4.7~5.5% |
5.6~6.4% |
6.5%以上 |
空腹時血糖値を改善する生活習慣とは
重要な「空腹時血糖値」を改善するにはどうしたらよいのでしょうか。
食事と運動にしぼって、5つずつ紹介します。
食事で空腹時血糖値を改善するには
① 炭水化物(糖質)のとりすぎに気を付ける
食事で摂取する炭水化物(糖質)が血糖値に大きな影響を与えます。
自分が炭水化物を摂りすぎているか心配な方は「糖質制限ダイエット中の食べ物総集編!OK&NG食材を一挙紹介」をご覧ください。朝昼夕の食事で摂る糖質量の目安を説明しています。
② 標準体重を設定し、BMI20~24を目標とする
この表を見て、自分の身長からBMI20~24におさまる標準体重を探してください。
つぎに、標準体重と生活活動強度から適正エネルギー総摂取量を計算します。
適正エネルギー総摂取量(Kcal)=標準体重(kg)×身体活動量 です。
※たとえば身長が160㎝で、標準体重を56kg、身体活動量は軽労働の場合25~30のあいだをとって、56(kg)×27とすると、適正エネルギー総摂取量は1512kcalです。
③ アルコールはできるだけ控える
お酒が体に良くないことは事実です。健康を考えると、アルコールの量は1日2単位までに控えたほうがいいです。1単位はビールで500ml、ワインで200cc、日本酒で1合(180cc)です。
とはいえ、飲み始めると限度がわからなくなってしまうのもお酒です。最初から飲む量を決める、ダラダラと飲み過ぎてしまう方は一切飲まない、といった自分なりの対策を考えましょう。
④ 栄養バランスを意識する
気を付けていても、主食や間食で炭水化物の摂取量は多くなってしまいます。炭水化物の割合を下げて、その代わりにタンパク質(肉・魚・大豆製品など)を多く摂るように心がけましょう。
ご飯を軽くよそう代わりに納豆をかけたり、お豆腐で1品増やすなど、簡単でも続けることが大切です。
⑤ 水分補給はしっかり摂る
水分を多めに摂るだけでも、基礎代謝量が増えます。一度にたくさん飲むよりも、こまめな水分補給を意識してみましょう。
夏は暑さにより水を飲む機会が多いと思いますが、乾燥する冬も水分摂取を忘れないようにしてください。
空腹時血糖値を改善する運動
定期的な有酸素運動がもっとも効果的です。
運動習慣がない方が急に取り組むのは難しいので、早足で歩く、階段を使う、などできそうなことから挑戦してみましょう。
① ウォーキング
通勤や買い物など、いつもの道を少し早めに・歩幅を大きくするだけでも最初の一歩です。背筋を伸ばして姿勢を良くすると、体幹のトレーニングにもなります。
1日10,000歩を目指して記録をつけるのもよいでしょう。
② 体操
椅子に座りながら足を床から上げたり、膝をそろえてキープすることも運動になります。
また、ラジオ体操も良い運動です。
食後1~2時間に行うと、食後の高血糖をおさえる効果があります。少しずつでも、できれば毎日続けることを目標にしましょう。
③ 水泳
近所にプールの施設がある場合、「ウォーキングは足の関節が痛くて…」という人も負荷が少なく運動できるのが水泳です。
水の中では浮力で体重が軽くなり、足腰への負担を軽くしてくれます。水泳は全身の運動になります。
④ ストレッチ
朝に行うストレッチは、関節の動きを良くしてけがの予防にもなります。無理はせず、体が伸びて気持ちいいと感じるところを目安にしましょう。
夜のストレッチはお風呂上りなど、体が温まっているときに行うと効果的です。
⑤ 進行した糖尿病の場合運動は慎重に
大切なことを最後に書きます。
体の状態によっては、運動が推奨される場合と運動の制限が必要な場合があります。
制限が必要でも、したほうがいい運動がある場合もあります。
主治医とよく相談して運動に取り組んでください。
食後の血糖値の上昇を緩やかにするターミナリアファースト
血糖値を正常に保つのは、年齢とともに難しくなってきます。とくに食後は血糖値が急上昇し、その血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌される結果、中性脂肪が蓄積されます。
もちろん、野菜から食べるなど血糖値の急上昇を予防する食べ方はありますが、常に食事に細心の注意を払うのは疲れますし、何より愉しくありません。
食事を愉しみつつ、血糖値の急上昇を抑えたい方はターミナリアファーストをご検討ください。ターミナリアファーストは食前に4粒飲むことで食後の血糖値上昇を緩やかにしてくれるサプリメントです。
>>ターミナリア ファーストについて詳しくはこちら