【悩み別】美肌をつくるためのレシピ~調理時のポイントも解説~
美肌のためには、お肌のお手入れが大切なのは言うまでもありません。
お肌のお手入れには化粧品を使った毎日のケアが必要ですが、普段の食事はそれ以上に大切です。なぜなら、肌は食事で摂る栄養素を元に作られるので、不健康な食生活ではどれだけ化粧品でケアをしたとしても台無しです。
今回は美肌をつくるためのレシピをテーマに、調理時のポイントや心掛けたい食事習慣について解説します。
この記事の監修者
医療法人容紘会高梨医院院長
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設
本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません
美肌は食事で作られる
「食べたものが体をつくる」と言われるように、肌も例外ではありません。
栄養バランスの良い食事が健康的な肌を作り、逆に体に良くない食事は肌荒れに直結します。
美肌効果がある栄養素
では、肌にとって良い栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な栄養素とその働きは以下の通りです。
タンパク質・・・体内の細胞、コラーゲンなどの弾性成分を作る
ビタミンA・・・皮膚や粘膜の健康維持を助ける ビタミンC・・・コラーゲンの生成を助ける、メラニン色素の沈着を防ぐ ビタミンE・・・老化の原因となる活性酵素を除去してくれる ミネラル(亜鉛、鉄分)・・・皮膚の潤い、ハリを保つ |
“肌の原材料” タンパク質
タンパク質は肌細胞を作るのに欠かせない栄養素です。いわば“肌の原材料”ともいます。肌にハリを与えて、弾力を保つコラーゲンもタンパク質の一種です。
タンパク質(コラーゲン)が不足すると、シワやたるみの原因にもなります。
“ターンオーバーを活発にする”ビタミンA
ビタミンAはターンオーバー(新陳代謝)を向上させるなど、皮膚の健康維持を助ける役割があります。ターンオーバーが活発になることで角質が剝がれて、肌のバリア機能が低下することで赤み、乾燥が生じることがあります。これを「レチノイド反応」といいます。
しかし、症状は一時的であり、ビタミンAが不足している証拠ともいえます。大きな問題ではなく、肌が綺麗になる過程と考えましょう。
“万能的に効く”ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成を助けて、シミやたるみの改善を期待できるほか、ニキビの改善、メラニン色素の沈着を防ぐことによる美白効果などがあります。美白・美肌には欠かせない代表的なビタミンの一つです。
ビタミンCの美容効果について詳しくは「【図解】ビタミンCの美容効果~シミ改善、美容液の使い方、食べ物~」で解説しています。
肌に万能的に効果を発揮するビタミンCですが、充分な量を摂取するのが難しい栄養素でもあります。豊富に含まれる食材が限られているため、意識的に摂取しようとしないと不足がちになってしまいます。ビタミンCを効率的に摂取するために、この記事で紹介するレシピを実践するのはもちろん、サプリメントを活用するのもいいでしょう。
“肌が若返る”ビタミンE
ビタミンEは老化の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。またビタミンA同様に、ターンオーバーをサポートする作用もあり、肌の若返り・アンチエイジングといえば、ビタミンEといっても過言ではありません。
ビタミンEは、ビタミンA、ビタミンCとともに「ビタミンACE」と呼ばれ、一緒に摂ることで相乗効果を発揮する栄養素です。ビタミンACEを効率的に摂取できるレシピも後ほど紹介しています。
“潤いを与える”ミネラル
ビタミンと比べると軽視されがちですが、ミネラルも美肌を作る上で欠かせない栄養素です。ミネラルは皮膚に潤いを与える、ハリを保つ効果があります。水分バランスを保つだけでなく、亜鉛にはメラニンの代謝を促進する、鉄分には皮膚、コラーゲンの代謝を促進する
といった働きがあります。
ミネラルは乳製品や海藻類、ナッツ類に豊富に含まれています。
腸内環境を整えることも大事
肌に有効な栄養素を摂ることはもちろん、同時に腸内環境を整えることも大切です。「腸内環境と肌は繋がっている」と言われるくらい、腸内環境の悪化は肌荒れを起こす原因となります。
とくに便秘には注意が必要です。便秘を予防するためには、食物繊維が豊富な食材をはじめ、キムチ、ヨーグルト、納豆など発酵食品は善玉菌を多く含んでいる食品を意識的に摂るといいでしょう。
【悩み別】美肌レシピ
それでは、美肌を作るためのレシピを肌悩み別に紹介します。
ニキビ(吹き出物)に効く美肌レシピ
ニキビ対策は、皮脂の分泌を調整する必要があるため、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEが有効となります。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB2、B6には皮脂の分泌を抑えニキビを予防する効果があります。
ビタミンを総合的に摂取することが大事なので、シチューや鍋などあらゆる素材を使った料理がおすすめです。
鮭の豆乳クリームシチュー
材料(2人分)
鮭・・・2切れ 人参・・・2分の1本 ほうれん草・・・2分の1束 たまねぎ・・・4分の1個 マッシュルーム・・・1パック(100g) 豆乳・・・100ml だし汁・・・1カップ 薄力粉・・・大さじ1杯 バター・・・15g 塩コショウ・・・適量 |
作り方
➀ 鮭を一口大、マッシュルームを半分、ほうれん草を3cmの長さにカット ➁ 人参を乱切り、たまねぎをくし形切りにする ➂ フライパンにバターを敷いて、①と②の食材を入れる ④ ③に薄力粉を加えて、粉っぽさがなくなるまで炒める ⑤ だし汁を加えて、10分煮込む ⑥ 豆乳を加えて、弱火で煮込む ⑦ ふつふつとしたら、塩で味を整えて、お皿に盛る ⑧ お好みでコショウをふれば完成 |
鮭には皮脂の過剰な分泌を抑えるビタミンB6をはじめ、肌の新陳代謝を促すビタミンEが豊富に含まれています。また、人参に含まれるカロテンは体内でビタミンAに変わり、ビタミンAは細菌への抵抗力を高める効果が期待できます。
豆乳のイソフラボンにはホルモンバランスを整える働きもあるため、ホルモンバランスの乱れから発症したニキビ予防にはうってつけです。
乾燥肌に効く美肌レシピ
乾燥肌に良いとされる栄養素は、動物性タンパク質、ビタミンA、ビタミンEです。なかでもビタミンAは乾燥肌になると鈍化する脂線の機能を活性化させる働きがあります。
アボカドのスクランブルエッグ
材料(1人分)
卵・・・2個 アボカド・・・2分の1個 オリーブオイル・・・小さじ1杯 牛乳・・・30cc レタス・・・2~3枚 塩コショウ・・・適量 |
作り方
➀ アボカドを1~2cm角にカット ➁ 卵に牛乳、塩コショウを加えて、溶きほぐす ➂ フライパンにオリーブオイルを敷き、アボカドを炒め、②を入れる ④ 卵がお好みの固さになったら、火を止めてお皿に盛る ⑤ レタスを添えたら完成 |
動物性タンパク質とビタミンAを含んだ卵とビタミンEが豊富なアボカドは、乾燥肌の予防と改善のためには最強の組み合わせです。
シミを防ぐ美肌レシピ
シミ対策に効果的な栄養素として、代表的なのは緑黄色野菜に多く含まれるビタミンCです。また、トマトに含まれるリコピンにはシミの原因となるメラニンの生成を抑える効果があるため、シミ対策にはうってつけの食材です。
トマトと卵の中華炒め
材料(1人分)
・卵・・・2個 ・トマト・・・1個 ・オイスターソース・・・小さじ1杯 ・しょうゆ・・・小さじ1/2杯 ・塩・・・少々 ・コショウ・・・少々 ・料理酒・・・小さじ1杯 ・サラダ油・・・適量 |
作り方
➀ 卵を割り、塩コショウを少々加えてかき混ぜる ➁ トマトはヘタを取って、8等分にカット ➂ サラダ油をひいたフライパンに溶いた卵を入れて、半熟状態になるまで炒める ④ 卵が半熟状態になったら、カットしたトマト、オイスターソース、しょうゆ、料理酒を加えて、1分ほど炒めたら完成 |
リコピンは加熱することで吸収率を高めることができます。また、シミ対策にはビタミンCだけでなく、ビタミンA、ビタミンEも必要ですが、卵にはそれらのビタミンを含まれており、トマトとの相性もバッチリです。
くすみを解消する美肌レシピ
くすみ肌の改善の効果があるのは、ターンオーバー(新陳代謝)を向上させて、皮膚の健康維持を助けるビタミンAです。ビタミンAを豊富に摂れる代表的な食材として、代表的なのがレバーです。
鶏レバーとカシューナッツのガーリック炒め
材料(1人分)
鶏レバー・・・100g カシューナッツ・・・30g 醬油・・・小さじ1杯 しょうが汁・・・小さじ1杯 オイスターソース・・・小さじ1杯 ニンニクのみじん切り・・・適量 ネギ・・・適量 サラダ油・・・適量 |
作り方
➀ 鶏レバーはひと口大にカットして、醬油、しょうが汁で下味をつける ➁ ネギを斜めに薄切りにする ➂ アルミホイルにカシューナッツをのせて、オーブントースターで10分焼く ④ フライパンにサラダ油を敷いて、ニンニクを炒める ⑤ ④に鶏レバー、カシューナッツ、オイスターソースを加えて炒める ⑥ お皿に盛り付け、ネギをまぶして完成 |
ビタミンAが豊富なレバーに、皮膚の再生を促すカリウムを豊富に含むナッツを合わせた最強レシピです。レバーは牛、豚、鶏のいずれも安価で購入できるので、経済的な食材でもあります。
年齢肌に効く美肌レシピ
年齢肌とは、加齢に伴い変化が表れた肌のことです。30代以降から気にされる方が多いですが、20代の若いうちから対策をすることが大事です。乱れた食生活が年齢肌を加速させせるので、ジャンクフードなどの加工食品は控えめにしましょう。
年齢肌について詳しくは「年齢肌は何歳から?自己診断と肌悩みに応えるスキンケア方法」で解説しています。
牡蠣フライ
材料(1人分)
牡蠣・・・60g(3~4個) 片栗粉・・・大さじ1杯 塩・・・30g 水・・・1ℓ 卵・・・1個 小麦粉・・・大さじ1.5杯 パン粉・・・適量 揚げ油・・・適量 ミニトマト・・・1個 きゅうり・・・3分の1本 キャベツ・・・8分の1玉 レモン・・・8分の1個 マヨネーズ・・・適量 |
作り方
➀ 牡蠣に小麦粉をふり、汚れを取る ➁ 塩水で牡蠣を洗い、キッチンペーパーで水気をとる ➂ 卵と小麦粉を合わせてよく混ぜる ④ 牡蠣を③にくぐらせて、パン粉を付ける ⑤ 揚げ油を170度~180度に熱して、④を入れる ⑥ 3分程度揚げて、きつね色になったら取り出す ⑦ キャベツは千切り、キュウリは薄切り、レモンもくし切りにする ⑧ お皿に⑥、⑦を盛り付けて、お好みでマヨネーズ(醬油)をかけて完成 |
今回紹介しているレシピはいずれも年齢肌対策に効果的ですが、牡蠣に多く含まれる亜鉛は細胞の生まれ変わりを助ける働きがあり、セレンは老化の原因となる活性酸素を除去する効果があります。牡蠣は“細胞を若返らせる”ですので、おすすめです。
毛穴対策に効く美肌レシピ
毛穴トラブルと聞くと、化粧品で対策するのが一般的ですが、食べ物で予防・改善を図ることもできます。毛穴トラブルの種類も様々ですが、脂質を多く含む食べ物は開き毛穴を悪化させ、食品添加物を多く含んだコンビニ弁当、インスタント食品などは黒ずみ毛穴の原因となります。
毛穴の開き、黒ずみの対処法については「【医師監修】黒ずみ・開きなど毛穴トラブルにビタミンCがいい理由」で詳しく解説しています。
パプリカと枝豆のスムージー
材料(1人分)
冷凍枝豆・・・30g 牛乳・・・100ml 豆乳・・・100ml パプリカ・・・2分の1個 オリーブオイル・・・小さじ1杯 |
作り方
➀ パプリカの種を取り除き、半個をざく切りにする ➁ 枝豆を解凍する ➂ ミキサーに➀、②と牛乳、豆乳、オリーブオイルを入れて攪拌する ④ グラスに注いで完成 |
ビタミンC豊富なパプリカを使った簡単レシピです。ビタミンCにはストレスを和らげる効果も期待できます。枝豆に含まれる大豆イソフラボンにはホルモンバランスを整える働きがあり、マグネシウムは肌の弾力を保つ効果があるので、毛穴たるみを防いでくれます。
肌にハリを与える美肌レシピ
肌にハリを与えるために必要になる栄養素が肉、魚をはじめとしたタンパク質です。タンパク質に含まれるアミノ酸が肌のハリを作るコラーゲンの原料となります。
サーロインステーキ
材料(1人分)
・牛サーロインステーキ肉・・・1枚(200g) ・にんじん・・・4分の1本 ・ピーマン・・・3分の1個 ・じゃがいも・・・3分の1個 ・マッシュルーム・・・2、3個 ・サラダ油・・・適量 ・塩・・・適量 ・コショウ・・・適量 |
作り方
➀ 牛サーロインステーキの筋に切り込みを入れて、塩コショウで下味をつける ➁ にんじん、じゃがいもの皮をむいて、ピーマンとともに一口大にカット ➂ マッシュルームを薄切りにする ④ サラダ油を敷いたフライパンに➀と②の具材を入れて、弱火で2分ほど炒める ⑤ ➂に牛サーロインステーキ肉を入れて、両面に焼き色がつくまで焼く(片面約1分) ⑥ お皿に盛り付けて完成 |
肉料理では、調理が簡単なステーキのほか、牛すじ煮込みもコラーゲンたっぷりなのでおすすめです。また、副菜としてコラーゲンの生成を助けるビタミンCが豊富な野菜を摂るのがおすすめです。
美肌をつくるために注意したい調理ポイント
ここまで美肌をつくるための栄養素、レシピを紹介してきましたが、食材(栄養素)によって、調理ポイントがあります。
ビタミンCは生orスープ調理がおすすめ
ビタミンCは「水溶性ビタミン」なので、ゆでると成分が溶ける特性があります。基本的に熱に弱い栄養素なので、焼いたり、煮ることもおすすめしません。
ビタミンCは生で食べるのがベスト、ゆでる場合はその茹でた汁もそのまま食すスープがおすすめです。ちなみに、ビタミンB2、B6も熱に弱い栄養素として知られいます。
ビタミンEは油を使った料理が向いている
ビタミンEは水に溶けにくい「脂溶性ビタミン」です。油を使った調理によって、効率的に摂取できると言われています。揚げ物などはおすすめですが、古い油は逆効果なので新しい油を使うようにしましょう。
揚げ物でなくても、チーズや牛乳など脂肪分があるものと一緒に摂ることも有効です。
鉄分はビタミンCと一緒に摂るのがGOOD
鉄分は単体だと吸収率が低い栄養素です。ビタミンCは鉄分の吸収をサポートしてくれるので、一緒に摂るのがおすすめです。
また、ビタミンEも同様にビタミンCと同時に摂ることで吸収率が上がることで知られています。
美肌を遠ざける食事習慣
美肌をつくるためには食事習慣にも気を付けなければなりません。ここでは、NG食習慣を紹介します。
バランスの悪い食事
肌に必要な栄養素はどれが欠けても良くありません。たとえ、ビタミンが肌に良いといってもそればかり食べていては健康的によくありません。身体の不調は、肌にも悪影響です。
糖質、タンパク質、ビタミン、いずれも過多にならないように栄養バランスを整えましょう。
バランスの良い食事については「バランスの良い食事とは?栄養・生活スタイル・家計の観点で解説」で詳しく解説しています。
食べ過ぎ、食べなさ過ぎ
食べすぎは胃腸に負担をかけるため、血色が悪くなるなど肌トラブルを招きます。とくに、高糖質、高脂質のジャンクフード、インスタント食品の食べ過ぎには注意しましょう。
逆に食べなさ過ぎも栄養が十分に摂れないので、肌に良くありません。食事は多すぎず、少なすぎない適量を心掛けましょう。
遅い時間の食事
夜寝る前に食事をすると、胃腸が十分に休まないので、質の良い睡眠ができません。その結果、肌荒れを招きます。
仕事などで夜遅い時間帯でしかご飯を食べられない方は、夕方に間食を摂って、夜ご飯に過食しないようにしましょう。
毎日の生活でほんの少しでも"美容って楽しい"と思ってほしい。そんな気持ちで、美に関する情報を発信していきますので、見ていただけると嬉しいです。