バランスの良い食事とは?栄養・生活スタイル・家計の観点で解説

「バランスの良い食事」が大事なことであることは皆さんも理解していることでしょう。

しかし、頭では分かってはいても実際にバランスの良い食事を常に心掛けるのは至難の業ともいえます。また、明確にバランスの良い食事がどのような食事なのかを理解している方は意外と少ないかもしれません。

今回は、バランスの良い食事の意味をはじめ、実践する上でのポイントを分かりやすくまとめました。

この記事の監修者

 

佐藤 留美

藤崎メディカルクリニック 副院長 

2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。

現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック 副院長に就任。
医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません

バランスの良い食事とは

バランスの良い食事とは、「栄養バランスの整った食事」です。

栄養バランスの整った食事

和食の基本は「一汁三菜」と言われますが、栄養バランスにおいて理想的といえます。

 

一汁三菜の構成

主食・・・ご飯など炭水化物

汁物・・・味噌汁など汁物

主菜・・・肉や魚、卵、大豆などタンパク質が多く含まれるおかず

副菜・・・野菜、きのこなどビタミン、食物繊維が豊富な食材を中心のおかず

しかし、食も多様になった現代においては「一汁三菜」も珍しくなりつつあり、栄養バランスの偏りは社会問題ともいえます。

栄養バランスが重要な理由

栄養バランスが重要な理由は、健康に関わるからです。

人間の体は食事によって作られるわけですから、偏った栄養バランスの食事を続けることは生活習慣病をはじめとした、体の不調につながります。

栄養バランスを整えるために意識したいこと

栄養バランスの偏りを防ぐために、普段から意識したいことは次の3つです。

・同じような食材、メニューばかりを食べない

・食べ過ぎたものは、次の日は食べない、減らす

・炭水化物、脂質過多になりすぎない

栄養バランスを整える上では「様々な食材を幅広く食べる」が基本です。

とくに毎日忙しい方、一人暮らしで外食や惣菜を買うことが多い方は、自身の好きなものばかりを食べがちです。

また、後述しますが日本人は炭水化物や脂質過多にある傾向にあります。インスタント食品やスナック菓子など手軽なものを頻繁に買ってしまう方は注意しましょう。

上記で挙げた3つはあくまでも日常生活で意識すべきことであり、正確に栄養バランスを整えるためにはこれだけでは不十分です。

では、栄養バランスはどのように考えればいいのでしょうか。

「食事バランスガイド」を参考にしよう

※農林水産省『「食事バランスガイド」について』より

「食事バランスガイド」とは、農林水産省と厚生労働省が共同で作成した、健康的な食生活を実現するための目安をイラストで示したものです。「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つのグループに分かれ、グループごとに1日の摂取量の目安が記されています。

ピラミッド型ではなく、コマ型の形状になっているのは、運動によってコマを回さないといけないという意味が込められています。

五大栄養素が基本

食事バランスガイドでは、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」のようにグループは栄養素の名称では区分されていません。つまり、食事バランスガイドの「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」を目安通りに摂取したとしても、栄養素の観点でみたバランスには多少のバラつきがでます。

グループごとに多く含まれる栄養素は次の通りです。

「主食」・・・炭水化物

「副菜」・・・ビタミン、ミネラル

「主菜」・・・タンパク質

「牛乳・乳製品」・・・カルシウム

「果物」・・・ビタミンC

炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つを「五大栄養素」と呼ばれます。栄養バランスを考える上ではこの五大栄養素が基本となりますので、日々の食事では、食事バランスガイドを参考にするだけでなく、食材ごとに含まれる栄養素も意識しましょう。

自身の傾向を知り、対応しよう

自分の性別と年齢、日常生活における活動量によって、食事バランスガイドのグループごとの摂取量は変えるようにしましょう。例えば、活動量が多い方は「主食(炭水化物)」を多めにとることが好ましいとされています。

また平日は仕事で忙しく、ラーメンや牛丼など手軽で偏った栄養のメニューが多い場合は、土日は野菜や果物などを多く摂るなど意識しましょう。

日本人が摂り過ぎている栄養と足りていない栄養

 

普段あまり意識せずに食事を摂っていると、摂り過ぎている栄養素と不足している栄養素が顕著にあらわれます。

ここでは、日本人が摂り過ぎている栄養素と足りていない栄養素を紹介します。

日本人が摂り過ぎている栄養

日本人が摂り過ぎている栄養素は次の3つです。

・炭水化物

・脂質

・塩分

それぞれについてみていきましょう。

炭水化物を摂り過ぎは肥満のもと

日本人はお米が主食であり、うどん、お餅、ラーメンもいわば国民食といえる存在となっており、炭水化物は食生活に欠かすことはできません。「食の欧米化」とともに、日本人の炭水化物の摂取量は減少傾向にありますが、それでも諸外国と比べると高いです。

炭水化物は、活動するためのエネルギー源として使われる重要な栄養素ですが、糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)の摂り過ぎは、肥満の原因になります。

というのも、糖質は摂取すると血糖値を上昇させる作用があり、その血糖値を下げるために体内ではインスリンを分泌します。そのインスリンは体内のブドウ糖を脂肪に変える働きがあるからです。

炭水化物の1日の摂取量基準は、食事で摂取するエネルギーの50~65%であり、250g~325gとされています。ご飯1杯(150g)で炭水化物は約60g含まれているので、ご飯4~5杯が適量といえます。ただし、炭水化物はご飯以外のおかずにも含まれているので、ご飯自体の量はもう少し少なくなります。

活動量が多い方は炭水化物を多めにとっても問題ありませんが、日本人は無意識的に炭水化物を多めに摂っているので、多くの方は炭水化物の摂取量を減らした方が栄養バランスは整う可能性が高いです。

食の欧米化とともに、脂質の摂取量は増えている

和食は比較的脂質が低いメニューが多いですが、現代は食生活が欧米化しているため、昔よりも脂質を取りすぎる傾向にあります。脂質は1gあたりのカロリーが高く、摂り過ぎると中性脂肪や悪玉コレステロールを増加させ、肥満を引き起こします。

脂質量は1日の摂取エネルギーの20%以下に抑えることが好ましいとされています。18歳~49歳の成人男性であれば、約60g以下の計算になります。フライドポテトは100gで脂質量は約50gに相当するので、脂質量を60g以下に抑えるのは簡単ではありません。

脂っこい食事を避ける、油を摂取するにしてもオリーブオイルなど良質な油を摂取するように意識しましょう。

脂質量を抑える方法については「脂質制限ダイエットとは?コツを押さえたやり方【成功の秘訣7選】」で詳しく解説しています。

和食は塩分量が多い

和食はヘルシーなイメージが強いですが、実は塩分量は多めです。醬油や味噌などの調味料が食塩を多く使っているからです。食事摂取基準では1日の食塩の摂取量は、18歳以上の女性で7.0g未満、男性で8.0g 未満と定められていますが、それ以上に摂っている方がほとんどです。

塩分の摂り過ぎは、高血圧など病気のリスクを高めます。

調味料の使用量を減らす、漬物やハム、ソーセージなどの加工食品も極力避けるようにしましょう。外食も塩分が多くなりがちなので、自炊する日を増やすなど工夫しましょう。

日本人に足りていない栄養

日本人に足りていない栄養素は次の4つです。

・ビタミン

・ミネラル

・食物繊維

・タンパク質

ビタミン、ミネラル、食物繊維は野菜不足が原因

ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちになるのは、単純に野菜の摂取量が少ないからです。野菜の目標摂取量は、1日350g以上であり、そのうち「緑黄色野菜」が120g以上となっています。これだけの量を実際に摂取できている方は成人の20~30%というデータもあります。

※「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」より

食事のうち1品は野菜を使ったメニューにする、外食では野菜を多く使ったメニューを注文するなど、意識的に野菜を多く摂るように心掛けましょう。

ダイエット志向が強い方、年配者はタンパク質不足に陥りやすい

ダイエット志向が強い方は野菜などヘルシーな食べ物を多く摂る一方で、お肉などタンパク質が豊富な食材を敬遠する傾向があります。しかし、タンパク質が不足すると、筋肉量も少なくなるので、結果として太りやすい体になってしまいます。

脂っこいお肉などに抵抗がある方も、食物繊維を多く含んでいる大豆食品や「完全栄養食」と呼ばれる卵などから積極的にタンパク質を摂取しましょう。

また、年配の方は肉や魚などのタンパク質が敬遠する方が多いですが、炭水化物を減らしてもいいので、意識的におかずを増やすようにしましょう。

バランスの良い食事は生活スタイルによって柔軟に対応しよう

一概に「バランスのよい食事」といっても、年齢や性別、活動量はもちろん、生活スタイルによって理想的な摂取量は異なります。

たとえば、独身者で外食が多い方は塩分、脂質を摂り過ぎている可能性が高く、少食の方はそれぞれの栄養の基準値に達していない可能性もあります。

ここでは、バランスの良い食事を実現するためのポイントを生活スタイル別に解説します。

一人暮らしなら自炊がおすすめ

一人暮らしの方は外食が多くなりがちです。必ずしも自炊が外食よりも健康的というわけではありませんが、自炊の方が栄養バランスを考えた食事を作れるのは事実です。

バランスの良い食事を心掛ける上では、できるだけ品数は多いのが理想ですが、面倒なのも事実です。納豆やキムチなど、ある程度保存がきいて、そのままでも食べられる食材をストックしておくのもいいでしょう。

仕事で夜が遅い方は夕方と夜の2食に分ける

仕事が夜遅く終わる方は、夕食の時間も遅くなりがちです。昼ご飯の時間から長時間経過して空腹時間が長くなると、食事を摂った際に血糖値が急激に上がるため、体脂肪が増えやすくなります。また、夕食後はすぐ寝るため、その傾向は顕著です。

食後の血糖値上昇を緩やかにするポイントは、夕方に軽く間食を摂ることです。夕方に軽く食べておくことで、帰宅後の食事においても血糖値の急上昇を予防できます。

栄養面だけでなく、食後の血糖値上昇を一定にすることも「バランスの良い食事」のひとつといえます。

少食の方も欠食はダメ

少食の方はバランスの良い食事以前に、全ての栄養素を充分に摂取できていない可能性が高いです。食欲がないからといって、欠食することは絶対にやめましょう。1日3食を食べることはもちろんですが、どうしても食欲が湧かない方はサプリメントを活用するのもいいでしょう。

バランスの良い食事はお金がかかる??

バランスの良い食事を実現するためには、品数も多く用意しないといけないので、その分お金はかかります。

ここでは、経済的にバランスの良い食事を実現するためのポイントを解説します。

冷凍野菜を上手に活用しよう

バランスの良い食事に必要不可欠なのが野菜。しかし、野菜は決して安くありません。

そこでおすすめなのが冷凍野菜です。冷凍野菜は生の野菜よりも値段が低いからです。「冷凍野菜は栄養価が心配」という方もいるかもしれませんが、冷凍野菜は旬の時期に収穫したものを使っているので、基本的には問題ありません。

安いときに沢山買って冷凍するのもアリ

冷凍野菜として売っている商品ではなく、生の野菜を買って、冷凍保存するのもいいでしょう。安い時期に沢山買っておけば、経済的です。

野菜は鮮度が落ちないように、できるだけ素早く凍らせるようにしましょう。生でそのまま凍らせることができない野菜は下茹でをしてから凍らせましょう。

安価で栄養豊富な食材を使う

卵、納豆、キムチ、魚の缶詰、鳥のむね肉などは比較的安価ですが、栄養は満点です。いつも同じ食材で飽きてしまった方は、ネットなどでアレンジレシピを調べてみましょう。

コンビニも上手に活用する

コンビニは一般的なスーパーよりも価格は高めですが、商品が豊富にあり、24時間営業なので夜遅くに帰宅する方でも気軽に利用できます。ゆで卵、ナッツ、ヨーグルトなどは手軽に買えて、不足しがちな栄養を補える食材です。

栄養バランス満点のレシピ例

ここでは、栄養バランス満点のおすすめレシピを2つ紹介します。

八宝菜定食

 

 

品数自体は少ないですが、八宝菜自体に様々な栄養素を含まれているので、ご飯と味噌汁をつけただけでも栄養バランスのとれた献立となります。

ステーキ&納豆キムチ

 

こちらは、調理に時間をかけずに栄養バランスが整うメニューです。ステーキはお肉を焼くだけであり、付け合わせの納豆キムチもそのまま混ぜるだけで完成です。

基本的に栄養バランスの良い食事は、調理に時間がかかりますが、このように“手抜き”を覚えると継続しやくなるでしょう。

日本人が摂り過ぎている「糖」と「脂質」をカット!! ターミナリアファースト

日本人が摂り過ぎている栄養素として、炭水化物(糖質)と脂質を紹介しましたが、日常の食事において、これら2つを制限し続けることは難しいものです。

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