くすみ肌のスキンケアそのままで大丈夫?原因に合った対策でトーンアップを
「くすみ肌は老化だから仕方ない」
「スキンケアをしているけれど変化がないからやめた」
そんなふうにあきらめていませんか?
くすみ肌は原因が多岐にわたるため、対策方法もその原因に合ったものでなければ効果が表れにくいのです。
また、実際は「肌のくすみ」ではなく別の症状が隠れている可能性もあります。
今回は医師監修のもと、くすみ肌のスキンケア方法についてまとめました。
この記事の監修者
医療法人容紘会高梨医院院長
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。
院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設
くすみ肌の原因をチェックしよう
肌がくすんでしまうと、顔色が悪くなるだけでなく、シミやシワなどに発展するケースがあります。
これまで色々なスキンケアをしてきたけれど、どれも効いているのかわからない……。
そういった方も少ないでしょう。
もしかしたら原因に合った対策ができていないのかもしれません。
ここでは、くすみ肌を引き起こす原因と対策について解説します。
➀ 保湿不足
➁ 洗顔不足
③ 過剰な摩擦
④ 紫外線ケア不足
⑤ 酸化・糖化に無防備
くすみ肌のNGスキンケア➀ 保湿不足
肌が乾燥してしまうと、ツヤがなくなるだけでなく、古い角質が溜まりやすくなるので“肌の透明感”がダウンしてしまいます。
保湿不足にはスキンケアの見直し・食事改善・睡眠の確保
肌の保湿はスキンケアはもちろん、食事や睡眠など普段の生活習慣に気をつかうことも大切です。
“脱乾燥”のスキンケア
今一度、日々のスキンケアが正しい方法で行えているのかを確認しましょう。
洗顔は40度以上の熱いお湯は避けて、できれば体温と同じかそれ以下のぬるめのお湯を使ってください。熱いお湯を使うと必要以上に皮脂が落とされてしまい、乾燥の原因になるからです。
また、化粧水はハンドプレスでぎゅっと押し込むのも有効です。時間のある時はシートパックやコットンパックもよいでしょう。大切なのは、パックをしたままうたた寝などをせず、きちんと肌が潤ったまま乳液やクリームなどでふたをして保湿しましょう。
食事は健康的な肌を作るために重要
スキンケアだけでなく、日々の食事から摂る栄養はお肌に大きな影響を与えます。とくに、タンパク質とビタミンは健康的な肌を作るうえで欠かせません。
タンパク質は肌を作る原材料となります。肉や魚はもちろん、豆腐、納豆、たまご、ヨーグルト、チーズなど、簡単に取り入れられるものから摂取量を増やしていきましょう。
タンパク質の適切な摂取量は18歳から49歳の男性で60g、女性で50gと言われていますこの量は決して多いわけではなく、普通に食事をしていれば十分摂取できます。
ただし、過度なダイエットなどをしている方はタンパク質も不足してしまうので注意しましょう。
タンパク質の種類や摂り方ついて詳しくは「そのたんぱく質の摂取は必要?たんぱく質の基礎から紹介!」をご覧ください。 |
また、ビタミンCは肌の乾燥を防ぎ、酸化(※酸化については後述します)を抑える働きがあるため、積極的に摂取したい栄養素です。
1日当たりのビタミンC摂取推奨量は以下の通りです。
mg/日 | |
12歳以上男性 | 100 |
12歳以上女性 | 100 |
妊婦 | 110 |
授乳婦 | 145 |
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
しかし、この推奨量を食べ物だけで摂取するのは意識しないと難しいです。例えば、ビタミンCが多く含まれている食べ物は次の通りです。
1位 | 生のアセロラ(酸味種) | 1700mg/100g |
2位 | ケール・青汁 | 1100mg/100g |
3位 | 乾いたパセリ | 820mg/100g |
4位 | 生のアセロラ(甘味種) | 800mg/100g |
5位 | 煎茶 | 260mg/100g |
普段あまり食べない(飲まない)ものが多いのではないでしょうか。ビタミンCは食べ物だけで摂るのは難しいので、サプリメントを活用するのもいいでしょう。
ビタミンCの効率的な摂取について詳しく知りたい方は「ビタミンCが多い食べ物・飲み物ランキング20選~効率的な取り方~」をご覧ください。 |
ビタミンC以外のビタミンも肌にとって重要な働きを果たします。
働き | 多く含まれる食べ物 | |
ビタミンA | 肌や粘膜の健康を維持する | レバー・卵・人参・海藻 |
ビタミンB6 | 肌の健康を維持する | レバー・魚介類・鶏肉・にんにく |
ビタミンE | 肌の酸化を押さえ、乾燥を防ぐ | 大豆製品・ナッツ類・かぼちゃ、すじこ、ツナ缶 |
睡眠時間をしっかり確保しよう
「美肌を夜に作られる」と言われるように、肌にとって睡眠は非常に大切です。
寝る前のスマートフォン・PCは、画面からのブルーライトが眠りの質を下げると言われています。
また、寝具にもこだわって眠りやすいものを選んでください。寝返りを打ちにくいベッドや枕、首や肩が痛くて目が覚めてしまうような原因はできるだけ排除して、安眠環境をつくりましょう。
人間は睡眠後3時間経つと成長ホルモンが分泌される
成長ホルモンは肌の新陳代謝を活性化させます。また、明け方にかけて炎症を抑える抗ストレスホルモンのコルチゾールが出るようになります。コルチゾールは乾燥で荒れている部分を修理してくれる成分だと考えてください。
エアコンのつけっぱなしも乾燥の原因
エアコンを常時つけるのはできるだけ避けましょう。寝るときと起きる前だけONにしたり、加湿器も使うなどして乾燥しにくい環境作りを意識しましょう。
できれば浴槽に入浴
忙しいとシャワーだけで済ますことも多いと思います。
時間のある時は浴槽に浸かって全身の新陳代謝を促してください。顔のお肌にももちろん効果的です。
40度以上の熱いお湯に短時間入るより、39度以下のぬるめのお湯に長時間入るほうが効果的です。なお、入浴・洗顔後はすぐに保湿してください。
くすみ肌のNGスキンケア➁ 洗顔不足
自分ではちゃんと洗っているつもりでも、正しく洗えていないことは珍しくありません。洗顔不足は、古い角質が剥がれ落ちずにいることで肌の透明感が下がってしまいます。
正しく”丁寧に“洗顔しよう
適当に洗顔フォームを手のなかで泡立て、顔に付けて流して終わり。
それだと、きちんと汚れを落とすことはできません。
正しい洗顔方法
洗顔フォームは適量を手のひらにとって、ぬるま湯と空気を加えながらしっかりと泡立てましょう。そして、泡は小鼻やTゾーンなど皮脂が多いところから顔全体を包み込むようにつけましょう。
泡が顔全体に行き渡ったら、やさしく円を描くイメージで泡を転がしていきましょう。後は、ぬるま湯で丁寧にすすいで終わりです。
定期的にピーリング洗顔をするのもアリ
また、ピーリング成分や酵素によるピーリング効果が書かれている洗顔料を、週に1度程度やってみるのもいいでしょう。
あまり頻繫に使ってしまうとお肌が乾燥してしまうかもしれません。過剰な皮脂分泌にも繋がってしまうかもしれません。ご自身の肌に合う頻度を調整してみてください。
くすみ肌のNGスキンケア③ 過剰な摩擦
洗顔不足はよくありませんが、洗いすぎもよくありません。とくにゴシゴシ擦るような洗い方をしている方は、過剰な摩擦により角質が肥厚し、肌が固く・厚くなってしまうことで肌がくすんでしまいます。
肌に負担がかからないクレンジング&洗顔を心掛けよう
拭き取りクレンジングは楽にメイクを落とせますが、肌を擦るように使うので避けるのが無難です。クレンジングはオイル、クリーム、ジェルタイプなど使用しましょう。
そして、クレンジングは節約せずに適量を使って摩擦を防ぎましょう。少しずつお湯で乳化しながら何度も洗い流すこともポイントです。
また、洗顔は先述したように、手指でこするように洗うのではなく泡でやさしく洗うのが大切です。
洗顔後に顔を拭くときも、タオルでこするのではなく、水滴をおさえるように拭き取りましょう。
自己流マッサージはNG
「むくみとり」「小顔リンパケア」「血行アップ」「たるみ改善」などと称して、多くの自己流マッサージ、ツボ押しが推奨されています。
しかし、見よう見まねで行うマッサージは効果が不確かなうえに、摩擦が過度になる恐れがあります。マッサージやリラクゼーションは、思い切ってプロにお任せすることをおすすめします。
産毛の剃りすぎもNG
顔の産毛のせいでくすんでみえることがあります。
しかし、逆剃りしたりあまり頻繁に剃っていると、摩擦で黒ずんでしまう可能性があります(剃り続けたワキの黒ずみを想像してください)。
剃ったばかりで毛は生えていないのにうっすらと鼻の下が黒い場合、剃りすぎた色素沈着かもしれません。
顔の脱毛は、もみあげ~あごの下にかけて硬毛化する(一時的に毛が太くなる)デメリットがあること、回数=時間とコストがかかること、などリスクも天秤にかけたうえで、あまりに気になるようであれば医療脱毛を検討してもいいかもしれません。
枕カバーの摩擦も注意
枕カバーを頻繁に変えるのはもちろん、カバーが古くなっていてけば立っていたり、触ると硬いと感じるようなら新しいものに変えましょう。
枕カバーを替えるのが面倒な場合は、やわらかいタオルを何枚か買って毎日交換して洗うのもおすすめです。
くすみ肌のNGスキンケア③ 紫外線ケア不足
紫外線を浴びると、肌のなかにあるメラニンという黒い色素の合成が促進され、くすみに繋がります。
紫外線ケアは内側と外側から
日焼け止めは1年中使用する
夏はとくに日光が気になるので日焼け止めを使用する方が多く、ドラッグストアの店頭も春夏になってくるとUVケア製品をプッシュしはじめます。
しかし、紫外線は季節に関係なく、曇りの日でもいつでも降り注いでいます。つまり、紫外線は1年中ケアするのがベストです。
日焼け止めのほか、UVカットカーディガンや帽子、サングラス、日傘も紫外線対策に効果的です。
ビタミンCは紫外線対策に効果あり
ビタミンCには「抗酸化作用」という、メラニンが黒い色素に変わるのを防ぐ働きがあります。
しかし、ビタミンCは前述したように食事だけで十分な量を摂るのは難しいです。サプリメントやビタミンC美容液(化粧品)を上手に活用するのがいいでしょう。
ビタミンCの美容効果については「【図解】ビタミンCの美容効果~シミ改善、美容液の使い方、食べ物」で詳しく解説しています。
くすみ肌のNGスキンケア⑤ 糖化・酸化に無防備
肌の酸化・糖化でも肌がくすむことは最近の研究で知られてきました。
肌の酸化&糖化をチェックしよう
あなたの肌が酸化・糖化していないか、次のチェックポイントで確認してみてください。
酸化チェック
☑日焼け対策をきちんとしていない ☐タバコを吸う ☐ストレスを感じやすい ☐習慣的にお酒を飲む ☐好き嫌いが多い ☐激しい運動を習慣にしている ☐睡眠不足だ |
糖化チェック
☑日焼け対策が万全ではない ☐甘いものが大好き ☐運動不足だと思う ☐移動は車が多い ☐寝る前に食べてしまう ☐肌の乾燥・シミ・ハリ不足が気になる ☐よく眠れない日がある |
酸化と糖化は、どちらか一方しか起きないということはありません。 糖化反応が起こると、活性酸素が発生し酸化を進行させます。そして、酸化は糖化を進行させてしまいます。
酸化を防ぐために過剰な皮脂を抑えるには保湿が必要です。「➀保湿不足」で対策をご覧ください。
食品に含まれる糖質の量、適正量、糖質の摂りすぎが気になる方は「【医師監修】糖質の摂取量って1日何グラムが正しい?1日の食事例を紹介」をご覧ください。 |
くすみだと思っていたのに…他の可能性も
「くすみだと思ってスキンケアを続けてきたけれど、どんどん悪化している気がする。」
「肌だけでなく白目の色も変わってきた気がする」
それはくすみではないかもしれません。
考えられる症状について紹介します。
肝斑(かんぱん)
肝斑とは、左右対称に両ほほに出来る薄茶色のシミです。
原因は女性ホルモンの乱れで、30代後半から50代の女性に多いと言われています。治療は主に内服で、トラネキサム酸とビタミンC、ビタミンEが処方されることが多いです。
レーザー治療もありますが、経験豊富な医師でないと他のシミと鑑別がつかずに危険です。
レーザー治療を考える場合はカウンセリングに行った際に、「肝斑の症例写真はありますか」と聞いてみるのもいいでしょう。
ADM
肝斑と間違えられやすいのがADMです。
ADMは両ほほに灰褐色~青褐色のシミが浮かぶ症状であり、女性では男性の10倍多く発症すると言われています。
肝斑と比べると20代が発症のピークで、肝斑より小さく境界が明瞭なことが多いです。
レーザー治療を行っている皮膚科を受診し、ADMかどうか鑑別してもらいましょう。
肝斑の時と同じようにカウンセリングに行った際に、「ADMの症例写真はありますか」と聞いてみてください。
肝障害
肝機能が低下するとビリルビンと言われる黄色い色素が血中に増えて、全身の肌や白目が黄色くなります。
心配な方は受診して根本的な疾患がないか検査を受けることをおすすめします。
毎日の生活でほんの少しでも"美容って楽しい"と思ってほしい。そんな気持ちで、美に関する情報を発信していきますので、見ていただけると嬉しいです。