睡眠の質を高めるには?睡眠負債セルフチェック & タイプ別対処法
現代社会において、多くの人が抱える問題の一つに「睡眠負債」があります。睡眠不足が続くと、日中のパフォーマンス低下や健康への悪影響など、様々な問題を引き起こす可能性があります。
睡眠負債とは?原因と影響
睡眠負債とは、日々の睡眠不足が蓄積した状態のことを指します。毎日の睡眠時間が足りていない状態が続くと、まるで借金のように睡眠不足が積み重なっていくイメージから「睡眠負債」という言葉が使われるようになりました。
睡眠負債の原因
睡眠負債の原因は人それぞれですが、主な要因としては下記のようなものが挙げられます。
- 仕事や学業など日々の忙しさ
- スマートフォンやパソコンの使い過ぎ
- 不規則な生活習慣
- ストレス
- カフェインの過剰摂取
- アルコールの過剰摂取
- 寝室の環境要因(騒音、光、温度など)
睡眠負債の影響
睡眠負債が蓄積すると、以下のような影響が現れる可能性があります。
- 日中の眠気、集中力・注意力の低下
- 疲労感、倦怠感
- イライラしやすくなる、感情のコントロールが難しくなる
- 判断力、決断力の低下
- 免疫力の低下
- 生活習慣病のリスク増加(高血圧、糖尿病、肥満など)
- うつ病などの精神疾患のリスク増加
世界一寝不足?日本人の睡眠時間は短い
日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、加盟国30カ国のうち最下位*1です。
世界的に見ても、日本人の睡眠時間は短いと言えます。
さらに、「令和5年度 健康実態調査結果の報告*2」によると睡眠に対する悩みを抱える人は全体の8割以上に及びます。「寝付き(布団に入ってから眠るまでに要する時間)に、時間がかかった。 」など睡眠に悩みを抱える人が多い実態を示しています。
※1 経済協力開発機構(OECD)の調査「Gender Data Portal 2021」
※2 厚生労働省健康・生活衛生局総務課「令和5年度 健康実態調査結果の報告」
寝だめは有効?
週末に長く寝る「寝だめ」は、睡眠負債の解消に効果的なのでしょうか?
寝だめ(睡眠補充)はこれまで効果がないとされてきましたが、平日に足りない睡眠時間を休日に補うことは一定の効果があるとわかってきています。
ストックホルム大学の研究によると、平日に1日5時間しか睡眠をとれなくても、週末に1日9時間の睡眠をとって補うことにより、十分に睡眠をとれている人に比べて死亡リスクが上昇しないことがわかっています。
引用:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7003477/
ただし、長期にわたる睡眠不足は寝だめでは解消されません。あくまで足りない睡眠を補充することに意味があります。
寝だめによって睡眠不足をある程度解消することはできますが、体内時計が乱れてしまい、その後の睡眠リズムに悪影響を及ぼす可能性があります。
睡眠負債を解消するには、日々の睡眠時間を見直し、規則正しい睡眠習慣を身につけることが重要です。
睡眠負債セルフチェック
自分が睡眠負債を抱えているかどうか、以下のセルフチェックで確認してみましょう。
チェックリスト
以下の項目に当てはまるものが多いほど、睡眠負債を抱えている可能性が高いです。
✅朝起きるのが辛い
✅日中、強い眠気に襲われることがある
✅集中力が続かない
✅イライラしやすくなった
✅些細なことでミスが増えた
✅休日は昼過ぎまで寝ていることが多い
✅寝る前にスマホを長時間見てしまう
睡眠日記の活用
自分の睡眠の状態を客観的に把握するために、睡眠日記をつけることは有効な手段です。睡眠日記には、以下の項目を記録しましょう。
- 就寝時間・起床時間
- 睡眠時間
- 睡眠の質(よく眠れたか、途中で目が覚めたかなど)
- 日中の眠気
- カフェインやアルコールの摂取量
- 運動時間
- その日の気分や体調
睡眠アプリの利用
近年では、睡眠の状態を記録・分析してくれるスマホアプリも数多く登場しています。睡眠アプリを利用することで、より簡単に自分の睡眠の状態を把握することができます。
【睡眠負債原因別】タイプ別対処法
睡眠負債の原因別に、具体的な対処法を見ていきましょう。
タイプA:不規則な睡眠パターン
睡眠スケジュールの作成
毎日同じ時間に寝起きする習慣を身につけることが、質の高い睡眠をとるための第一歩です。週末であっても、平日との差を1時間以内にするように心がけましょう。
睡眠環境の改善
寝室の環境を整えることも、質の高い睡眠を得るためには重要です。
- 室温は18~20℃、湿度は50~60%を目安に
- 光を遮断する厚手のカーテンを使用する
- 耳栓やアイマスクを活用する
- 寝具は自分に合ったものを選ぶ
ストレス管理
ストレスを溜め込まないことも、質の高い睡眠のためには大切です。
- 趣味の時間を楽しむ
- リラックス効果のある音楽を聴く
- アロマテラピーを試してみる
- ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かる
タイプB:過剰なカフェイン摂取
カフェイン摂取量の把握
まずは、自分が1日にどれくらいの量のカフェインを摂取しているのかを把握しましょう。コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェイン量を計算してみましょう。
カフェインの代替品
カフェインを控える場合は、ノンカフェインの飲み物に切り替えるようにしましょう。
- 麦茶
- ハーブティー
- ルイボスティー
- たんぽぽコーヒー
カフェインフリーの生活への移行
カフェインの摂取量を徐々に減らしていくようにしましょう。いきなりカフェインを断ってしまうと、頭痛や倦怠感などの離脱症状が現れる可能性があります。
タイプC:ストレスによる睡眠障害
リラクゼーションテクニック
ストレスを軽減し、リラックスするためには、以下のようなリラクゼーションテクニックが有効です。
- 深呼吸
- 瞑想
- ヨガ
- ストレッチ
ストレス発散法
自分にとって効果的なストレス発散法を見つけ、実践することが大切です。
- 軽い運動
- 好きなことをする
- 友人と話す
- 旅行に行く
専門家によるサポート
睡眠障害が改善しない場合は、医療機関を受診し、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
睡眠負債を解消するには、睡眠の質を高めることが大切
睡眠負債を解消するには、ただ長時間眠れば良いというわけではありません。
睡眠の質を高めることが何よりも大切です。
睡眠の質について詳しくは、「睡眠の質とは何か? 睡眠チェックシート&改善方法」もご覧ください。
睡眠環境の最適化
- 寝室の温度・湿度・光を調整する
- 快適な寝具を選ぶ
- アロマを焚いたり、リラックス効果のある音楽を流したりする
リラクゼーションテクニックの活用
- 寝る前にストレッチやヨガを行う
- 深呼吸や瞑想で心を落ち着かせる
- アロマテラピーを取り入れる
運動と睡眠の関係
- 適度な運動は睡眠の質を高める効果がある
- ただし、寝る直前の激しい運動は避ける
食事と睡眠の関係
- 寝る3時間前までに食事を済ませる
- tryptophan(トリプトファン)を多く含む食品(牛乳、バナナ、ナッツなど)を摂取する
- GABA(ギャバ)を多く含む食品を摂取する
- アルコールやカフェインは寝る前に摂取しない
トリプトファンやGABAについて詳しくは「トリプトファンが豊富な食べ物と一緒に摂りたい栄養素〜おすすめレシピ4選も紹介〜」「GABA(ギャバ)が豊富な食品&一緒に摂りたい食品〜おすすめレシピ3選〜」もご覧ください。
睡眠負債を解消し、質の高い睡眠を得ることは、心身の健康を保つために非常に重要です。 自分の睡眠習慣を見直し、今日からできることから始めてみましょう。
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