ファスティングとは? おすすめの方法や期間、準備食について解説
近年は健康や美容に対する意識の高まりからファスティングが注目されています。しかし、ファスティングについてよくわかっていない方はまだまだ多く、ただ単に食べないこと=ファスティングと考えている方もいます。
ファスティングには健康や美容の観点でさまざまメリットがある一方で、やり方を間違えると健康を損なうリスクもあるので注意が必要です。
今回はファスティングの基本知識から実践方法について詳しく解説します。
この記事の監修者
中島 由美
Crystal 医科歯科 Clinic International 内科院長
金沢医科大学医学部卒。金沢医科大学病院にて小児科・内科専攻。日本各地の病院で内科、皮膚科を担当。美容クリニック院長を経て、2018年8月にCrystal 医科歯科 Clinic International 内に内科、美容皮膚科、アレルギー科を開設。現在内科院長として、テレビやラジオ出演、Webメディアの記事編集を行っている。
ファスティングとは?
ファスティングとは、英語のfast(断食する)の名詞形であり、「断食」「絶食」を意味します。
断食と聞くと、修行のようなイメージを持つ方がいるかもしれません。しかし、ファスティングは一定期間食事をせずに過ごすことではあるものの、その期間は半日から数日間の比較的短い期間を指す場合が多いです。
ファスティングの主な効果
ファスティングは健康および美容の面で様々な効果を期待できます。
効果① 腸内環境が改善される
ファスティングの主な目的は胃腸や内臓を休ませることです。食事をせずに胃腸や内臓を休めることで、老廃物や毒素が体外に排泄されやすくなり、その結果、腸内環境が改善されます。
効果② 免疫力が向上する
免疫に関わる細胞の約7割は腸内に存在しているといわれており、腸内環境が改善されることで体内の免疫機能の向上を期待できます。
効果③ 肌荒れが改善する
ファスティングをすることによって肌荒れの原因となる老廃物や毒素が排出されるため、肌荒れが起こりにくくなります。
効果④ 細胞の老化が抑えられる
人間は何も食べない時間が長くなると「オートファジー」が機能します。オートファジーとは細胞自らが古くなった悪玉タンパク質が分解して、新しく作り替える仕組みのことです。
オートファジーが機能することで、細胞の老化が抑えられ、若々しい状態を保つことができます。
オートファジーについては「オートファジーダイエットの正しいやり方とは? 食べていいもの&飲んでいいものを紹介」で詳しく解説しています。
効果⑤ ダイエットになる
ファスティング中は通常よりも摂取カロリーが大幅に減るため体重が落ちます。また、体内の老廃物や毒素が排出されたことによる代謝アップも期待できます。
ただし、ファスティング後はドカ食いしやすいので、リバウンドには要注意です。
ファスティングのリスク
ファスティングは様々な効果がある反面、リスクもあります。たとえば、摂取カロリーが大幅に減少することにより、栄養不足や頭痛、立ちくらみが起こるケースは珍しくありません。
とくに、以下に該当する方は健康被害を引き起こす可能性が高いので、ファスティングはおすすめできません。
・成長期の子供や高齢者
・妊娠・授乳中の方
・持病や疾患がある方
・過去に脳卒中や心筋梗塞になったことがある方
たとえ上記に該当しなくとも、初めてファスティングを行う場合は、半日から1日までの比較的短期間から始めるようにしましょう。
ファスティングの種類
ファスティングは実施する期間によって、効果や難易度が変わります。
方法 |
内容 |
半日ファスティング |
24時間のうち12時間は何も食べず、残りの12時間で食事をする |
16時間ファスティング |
24時間のうち16時間は何も食べず、残りの8時間で食事をする |
1日ファスティング |
1日に1食も食事をしない |
2日間ファスティング |
連続した2日間食事をしない |
3日間ファスティング |
連続した3日間食事をしない |
1週間ファスティング |
1週間連続で食事をしない |
精神的負担が少ないのは半日、16時間ファスティング
半日ファスティングおよび16時間ファスティングは「プチ断食」とも呼ばれ、ミニマムな期間で行うため、精神的負担が少ないのが特長です。また、長期間のファスティングに比べて健康を損なうリスクが少ないのもメリットといえます
ただし、ファスティングは実施期間が短いと効果を十分に得られない可能性があることは心得ておきましょう。
16時間断食ダイエットおよびプチ断食については「16時間断食ダイエットと他のプチ断食との違いとは?女性は12時間の方がいい?」でも詳しく解説しています。
ダイエット目的ならば3日ファスティングがおすすめ
ダイエット効果を期待する場合は3日以上のファスティングがおすすめです。なぜなら、脂肪分解はファスティングを行ってから3日目以降に活発になるからです。
半日や16時間ファスティングでも摂取カロリーが減ることによるダイエット効果は期待できますが、脂肪分解はあまり進みません。
ただし、初心者がいきなり3日間ファスティングを実施するのは危険です。1日ファスティングや2日間ファスティングを何度か試してから実施するようにしましょう。
1週間ファスティングは上級者かつ専門家のサポートのもと行うのが吉
1週間ファスティングは実施期間が長いので様々な効果を十分に受けられるものの、身体への負担やリスクは大きくなります。これまでにファスティングを何度か実践したことがあり、かつ専門家のサポートがある方でないとおすすめはできません。
また、1週間ファスティングを実施するにあたっては準備期間と回復期間を十分に設けることはもちろん、断食中はエネルギーを摂取できないので活動量は最小限にとどめるようにしましょう。
ファスティングを実践する際のスケジュール例
前述のとおり、ファスティングはその前後に準備期間と回復期間を設けます。準備期間とは体をファスティングに慣らすための期間であり、回復期間とはファスティングによって休ませていた体を元の状態に戻すための期間です。
そのため、ファスティングを実施する際は準備期間と回復期間を踏まえてスケジュールを考える必要があります。ここでは、ファスティングの期間別にスケジュール例を紹介します。
なお、準備期間と回復期間ではそれぞれ準備食、回復食を食べます。おすすめの準備食、回復食については後述します。
半日&16時間ファスティングは準備期間と回復期間が不要
半日および16時間ファスティングは、断食期間が短いため準備期間と回復期間を設ける必要はありません。
半日ファスティングは夕食と翌日の朝食が12時間以上空くようにすればOK。16時間ファスティングは夕食を20時までに済ませて、翌朝の朝食を食べずに12時以降に昼食をとるというスケジュールが一般的です。
16時間ファスティングに関しては、18時までに夕食を済ませ、それ以降は何も食べないで寝れば、翌朝10時以降に食事をすれば16時間断食が成立します。遅めの朝食にはなりますが3食食べることも可能なので、どうしても1日3食食べたい場合におすすめです。
16時間ファスティング(断食)のスケジュールについては、「16時間断食のタイムスケジュール3パターン&継続するためのポイントを解説」で詳しく解説しています。
1日ファスティングは前日の午後以降から準備しよう
1日ファスティングから準備期間と回復期間を設けます。とはいえ、1日ファスティングであれば、準備期間は前日の午後からで問題ありません。前日の昼食や夕食は胃にやさしい準備食を食べるようにしましょう。また、回復期間も翌日のみで十分です。
2日間&3日間ファスティングは断食期間と同じだけ回復期間を設けよう
ファスティングにおける準備期間は断食期間よりも少し短めでも問題ありませんが、回復期間は断食期間と同じだけ設けるのが基本です。
つまり、2日間ファスティングであれば準備期間を1日、回復期間を2日、3日間ファスティングであれば準備期間を2日、回復期間を3日設けるようにしましょう。
なお、ファスティングの回復期間に関しては諸説あり、断食期間の半分でも問題ないという方もいます。ただし、ファスティング後はできるだけ徐々に体を元の状態に戻すことが好ましいので、十分な日数を確保することをおすすめします。
1週間ファスティングは準備期間&回復期間も1週間設けよう
1週間ファスティングは断食期間が長期であるため、十分な配慮が必要です。ファスティングにおける準備期間は断食期間より短くても問題ないと説明しましたが、1週間ファスティングに関しては例外であり、しっかりと1週間設けるのが理想です。回復期間も同様に1週間は設けるようにしましょう。
なお、女性は生理中にファスティングを行うと体調不良を引き起こす可能性があります。1週間ファスティングは準備期間と回復期間を含めると合計3週間実施することになるので、実施するタイミングには十分気を付けましょう。
準備食&回復食におすすめのメニュー
準備食はファスティングに備えて身体を準備するために必要な食事であり、回復食とは通常の食事に戻すために必要な食事です。準備食および回復食には、胃にやさしい、消化に良い食べ物が適しています。逆に、以下のような食べ物は避けるようにしましょう。
・肉、魚などの動物性タンパク質
・油っこいもの
・スイーツをはじめとした甘いもの
・乳製品
・小麦(パンや麺類など)
・アルコール
・カフェイン
ここでは、準備食および回復食におすすめのメニュー例を3つ紹介します。
お粥
材料(1人前) ご飯・・・150g 水・・・300ml |
作り方 ① ご飯と水を鍋に入れ、中火で10分ほど加熱する ② 沸騰したら20分ほど弱火で加熱する ③ 15分ほど蒸らして完成 |
お粥は準備食および回復食の定番メニューです。普通に炊いたご飯よりも消化がよいため、胃腸に負担がかかりません。雑炊やリゾットなどさまざまなアレンジを試してみましょう。
舞茸とわかめの中華スープ
材料(1人前) まいたけ・・・4分の1パック(30g) カットわかめ・・・適量 鶏がらスープの素(顆粒)・・・小さじ2杯 水・・・250ml 醬油・・・小さじ1杯 |
作り方 ① 舞茸は石づきを落とし、適度に裂く ② 鍋にまいたけ、わかめ、鶏がらスープの素、水、醬油を入れて加熱する ③ ひと煮立ちさせたら完成 |
準備食・回復食には野菜や海藻といった食物繊維が豊富な食材を使ったメニューがおすすめです。今回紹介したのは中華スープですが、味噌汁やコンソメスープにしてみるのもいいでしょう。
納豆キムチ
材料(1人前) 納豆・・・1パック キムチ・・・30g |
作り方 ① 納豆を付け合わせの調味料と一緒に混ぜる ② 混ぜ合わせた納豆とキムチをお皿に盛り付けて完成 |
発酵食品は腸内環境を整える作用があるため、準備食・回復食にも適しています。なかでも、納豆とキムチはストック食材として重宝し、一緒に食べても相性抜群なのでおすすめです。
初心者におすすめなのは半日or 16時間ファスティング
ここまでファスティングに関する様々なことを解説してきましたが、これから初めてファスティングを実施する方には、半日もしくは16時間ファスティングをおすすめします。なぜなら、短期なので健康を損なうリスクと精神的苦痛が少ないからです。
いきなり長期間のファスティングに挑戦して、体調を崩してしまうケースは珍しくありません。将来的に長期間のファスティングをしたいという方も、はじめは半日や16時間のファスティングから始めてみて、徐々に1日、2日・・・と期間を伸ばすのがいいでしょう。
ファスティング中に食べていいもの、飲んでいいもの
はじめてファスティングを実施する方にとっては、半日や16時間といった短期間であったとしても何も食べてはいけないというのはつらく感じることでしょう。
ファスティング中は固形の食べ物は基本的にNGですが、どうしても空腹に耐えられない場合は軽い食事をしても構いません。整腸作用のあるヨーグルトや低糖質のチーズなどがおすすめです。
また、ファスティング中の飲み物は水以外にもノンカロリーのお茶やコーヒーはOKです。ただし、カフェインは胃に負担をかけるため飲み過ぎには注意しましょう。そのほか、生の野菜や果物を使って作られたスムージーや酵素ドリンクは胃腸を休める効果を期待できるためファスティング中におすすめです。
ファスティング中に飲んでもいいものについては「16時間断食中に飲んでいいもの&自作できるおすすめドリンク〜プロテインやコーヒーはOK?〜」で詳しく解説しています。
ファスティング後は血糖値の急上昇に注意
ファスティングを実施するにあたって注意したいのがファスティング後の食事です。人間の体は食べない時間が長くなるほど、食後の血糖値が急上昇しやすく、それによって太ってしまう可能性があるからです。
ファスティング後の食事では、急激な血糖値上昇を防ぐために野菜や海藻などの食物繊維が豊富な食べ物を意識的に摂取しましょう。
また、糖質制限サプリメント「ターミナリアファースト」は食後の血糖値の上昇を抑える作用があるので、これからファスティングを実践する方におすすめです。
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