DHA・EPAを効率的に摂取できる食べ物&レシピ〜魚以外で摂る方法も紹介〜

近年、中性脂肪の低下や認知機能の改善効果を期待できるDHA・EPAは、年配の方を中心に注目を集めています。DHAやEPAは体内で作り出すことはできず、また十分な量を摂取するのが難しいことでも知られています。そこで今回はDHAとEPAを効率的に摂取できる食品やレシピをご紹介します。

この記事の監修者

藤堂 紗織
Alohaさおり自由が丘クリニック開業医

経歴

日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。現在は、Alohaさおり自由が丘クリニックを開業。内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜している。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

DHAとEPAとは

まずは、DHAとEPAについて簡単におさらいしましょう。

DHAとは

DHA(ドコサヘキサエン酸)とは、不飽和脂肪酸のひとつであり「n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」に属します。中性脂肪を減らす以外にも、思考力・記憶力の維持、体内の免疫反応の調整といった効果が期待できる成分です。

EPAとは

EPA(エイコサペンタエン酸)もDHAと同様に不飽和脂肪酸のひとつであり、「n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」に属します。善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあるほか、血栓の生成を抑える作用があります。

DHAとEPAの違い

DHAとEPAを混同している方も多いですが、両者の働きは異なります。どちらも血液の循環を良くするという共通の作用がありますが、DHAは血管細胞に、EPAは血液そのものに働きかける点で異なります。

また、DHAは学習能力の改善など脳の機能をサポートするのに対して、EPAは脳に作用することはありません。また、中性脂肪の低下作用はDHAよりもEPAの方が高いといわれています。

DHA・EPAが豊富な食べ物ランキング

「DHAとEPAは魚に多く含まれる」という認識をお持ちの方は多いのではないでしょうか。しかし、魚の種類によってその量は異なります。ここでは、DHAとEPAが豊富な食べ物をランキング形式で紹介します。

DHAが豊富な食べ物ランキングTOP10

※参考:文部科学省「食品成分データベース 」より抜粋

あまり馴染みのない食べ物が多くランクインしていますが、魚のなかでもマグロの脂身にDHAが多く含まれていることがわかります。

EPAが豊富な食べ物ランキングTOP10

※参考:文部科学省「食品成分データベース 」より抜粋

こちらも馴染みのある食べ物は少ないですが、DHAと共通してランクインしている食べ物が多いことがわかります。

上記のランキングは2つとも馴染みのある食べ物が少なかったので、身近な魚におけるDHA・EPAの含有量をみてみましょう。

身近な魚のDHA・EPA含有量

食品名 100gあたりのDHA含有量 (mg) 100gあたりのEPA含有量 (mg)
クロマグロ(脂身) 3200 1400
サンマ 2200 1500
ぶり 1700 940
まさば 970 690
まいわし 870 780
まあじ 570 300
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 」を元に作成

アジ(まあじ)のDHA、EPA含有量はサンマの約4分の1以下と、魚によって大きく差があることがわかります。なお、上記の数値はすべて生で食べる場合であり、煮る、焼くなどの調理をするとDHA・EPA含有量は少なくなります。

DHA・EPAを摂るなら基本は魚一択

魚の中で比較すると、アジのDHA、EPA含有量は少ないですが、食品全体で比べるとアジは「DHAとEPAが豊富な食べ物」です。というのも、DHA・EPAは肉類や乳製品には多少含まれる食品もありますが、基本的には含まれておらず、野菜や炭水化物には一切含まれていないからです。

DHA・EPAを摂るなら魚一択と考えてもよいでしょう。

DHA・EPAが豊富な缶詰

ちなみに、DHA・EPA含有量を魚の缶詰で比較すると以下のような結果になります。

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 」を元に作成

魚以外でDHA・EPAが豊富な食べ物

前章のランキングは軒並み魚類が並ぶ結果となりましたが、魚以外にもDHA・EPAが含まれる食べ物は存在します。

肉類のDHA・EPA含有量

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 」を元に作成

肉類にもDHA・EPAが含まれる食品はあるものの、魚に比べると著しく少なくなります。

卵・乳製品のDHA・EPA含有量

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 」を元に作成

肉類に比べると多少DHA・EPA含有量は増えるものの、それでも魚と比べると低いことがわかります。

DHA・EPAを摂取するのが難しいならα-リノレン酸を摂取しよう

魚以外で十分な量のDHA・EPAを摂取するのは現実的でありません。魚が苦手な方におすすめなのはα-リノレン酸が豊富な食べ物です。

α-リノレン酸はDHA・EPAと同じ「n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」であり、血管を拡張させ、血液の流れをスムーズにする働きがあります。また、α-リノレン酸からDHAがつくられることも知られています。

α-リノレン酸が豊富な食べ物TOP10

α-リノレン酸が豊富な食べ物は以下の通りです。


※参考:文部科学省「食品成分データベース 」より抜粋

α-リノレン酸はえごま油や亜麻仁油に多く含まれています。また、身近な調味料としてはマヨネーズにも多く含まれています。魚が苦手な方は、意識的にこれらの食品を取り入れてみましょう。

DHA・EPAが豊富に摂れるおすすめレシピ

DHA、EPA、α-リノレン酸が豊富な食べ物を使った、おすすめのレシピをご紹介します。

アジとえごま油のカルパッチョ

作り方
➀ アジをお皿に盛り付け、塩を軽く振る
➁ えごま油、しょうゆ、酢、しょうがを混ぜ合わせる
➂ ベビーリーフとカットしたプチトマトをアジの上に盛り付ける
④ ②を全体にかけて完成

α-リノレン酸が豊富なえごま油と、DHAとEPAが豊富なアジを組み合わせた一品。DHAとEPAを損なわないために魚は生で食べるのがベスト。えごま油を使ったカルパッチョは簡単に作れるので、タイやイワシなど様々の魚で試してみましょう。

鮭の味噌マヨ焼き

作り方
➀ 味噌、砂糖をボウルに入れて混ぜ合わせる
➁ 塩鮭、玉ねぎに➀を塗る
➂ フライパンにサラダを敷いて➁を焼く
④ 鮭、玉ねぎにしっかりと火が通ったらお皿に盛る
⑤ 仕上げにマヨネーズをかけて完成

鮭は魚のなかだとDHA・EPAは決して多くはないものの、ビタミンB1、B2、D、E、B6などビタミン群が豊富に含まれています。α-リノレン酸は熱に弱いため、α-リノレン酸が豊富なマヨネーズは最後にかけるのがポイントです。

亜麻仁油の枝豆おにぎり

作り方
➀ 枝豆を解凍する
➁ ご飯に枝豆、かつお節、しょうゆ、亜麻仁油を入れてかき混ぜる
➂ お好みの握り方でおにぎりにして完成

亜麻仁油はおにぎりやサラダ、納豆に入れるなど“ちょい足し”に使うのがおすすめ。また、枝豆は必須脂肪酸のひとつで「n-6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)」に分類されるリノール酸が豊富な食材です。亜麻仁油との相性の良さが魅力です。