【図解】中性脂肪が高いと言われたらチェックすべき8つのコト
「健康診断で中性脂肪の数値が高いと言われた」
年々体重が増えている自覚があったとしても、健康診断で指摘されるとショックですよね。
また、決して体重が増えているわけではないのに中性脂肪の数値が高いと指摘された方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、中性脂肪が高いと言われても実際にどのような影響があるのか、そもそも中性脂肪自体がどういったものなのかを理解していない方もいるでしょう。
この記事では、なんとなく理解しているようでよく分からない「中性脂肪」について解説します。
この記事の監修者
2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック副院長に就任。医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。
本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。
中性脂肪ってそもそも何?
中性脂肪とは、血液中の脂肪のことで別名「トリグリセライド」とも呼ばれます。血液検査によって、その数値を判定します。
「脂肪」と一言でいっても、「中性脂肪」の他に、「体脂肪」「内蔵脂肪」「皮下脂肪」など様々な用語があるので混同している方も多いかもしれません。
それぞれの違いを整理しておきましょう。
体脂肪・・・脂肪の総称 内蔵脂肪・・・内蔵のまわりに蓄積する脂肪 皮下脂肪・・・皮膚の下に蓄積する脂肪 |
つまり、体脂肪のなかに内蔵脂肪と皮下脂肪、そして中性脂肪が含まれることになります。中性脂肪もそのほとんどは最終的に皮下脂肪になります。
中性脂肪とコレストロールの違い
また、中性脂肪と混同しやすいものとして「コレストロール」があります。
どちらも血中の脂質なのですが、中性脂肪は活動のエネルギー源となり、コレストロールは細胞膜やホルモンの材料となります。
そして、コレストロールは「善玉」「悪玉」に分かれます。
善玉コレステロール(HDLコレステロール)・・・余分なコレステロールを肝臓に戻す 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)・・・全身にコレステロールを供給する |
この悪玉コレステロールは増え過ぎると、血管内にコレステロールが蓄積してしまいます。また逆に少なすぎるのもよくはありません。
ただ、多くの場合、悪玉コレステロールが増え過ぎることで様々な症状が起こるので、善玉コレステロールが多く、悪玉コレステロールは少ないのが健康な状態といえます。
コレステロールにおける善玉、悪玉のバランスは「LH比」と呼ばれ、下記の計算式で導き出せます。
LH比=LDL(悪玉)÷HDL(善玉)
例えば、悪玉コレステロールが125mg/d、善玉コレステロールが50mg/dだと、LDHは2.5となります。LH比は1.5以下が好ましいとされています。
中性脂肪の基準値
では、中性脂肪の数値はいくつから「高い」と言われるのでしょうか。
中性脂肪の基準値は30~149㎎/dl(空腹時)とされています。つまり、150mg/dl以上だと高いことになります。300mg/dlを超えると大変危険です。気になる方は医師に相談ください。
中性脂肪が高いと起こりうる症状
血液中の中性脂肪及びコレストロールが一定の基準より高い状態を「脂質異常症」といいます。
脂質異常症には3つのタイプある
脂質異常症は次の3タイプがあります。
➀ 中性脂肪が多いタイプ(150mg/dl以上)
② 悪玉コレステロールが多いタイプ(140mg/dl以上)
➂ 善玉コレステロールが低いタイプ(40mg/dl未満)
そして、①の中性脂肪が多いタイプは中高年男性に多くみられます。
また、中性脂肪が多いと悪玉コレステロールも多くなりやすい傾向があるため、どれか一つのタイプに当てはまるというよりは、複数もしくは全て当てはまる方も少なくありません。
脂質異常症は様々な病気を招く
脂質異常症、それ自体には症状が現れることはありませんが、脂質異常症の状態が続くことで、動脈硬化を進行させてしまいます。
動脈硬化が進行することで、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症など様々な病気になるリスクが高くなります。
中性脂肪が低すぎるのも危険
これまでの説明の通り、中性脂肪が高いと様々な病気を招くリスクを高めます。
しかし、中性脂肪は身体のエネルギー源となるものなので、人間が活動する上で欠かすことができません。つまり、中性脂肪が少な過ぎるのも良くないのです。中性脂肪の数値が29ml/dl未満の方は注意しましょう。
中性脂肪の数値が低いと、体温調節がうまくできずに低体温になり、疲れやすくなります。
過度なダイエットはやめよう
中性脂肪が低くなる主な原因は、栄養不足です。栄養が不足すると、身体の免疫力が弱くなるだけでなく、抜け毛や肌荒れの原因にもなります。
過度なダイエットをしている方は注意しましょう。
中性脂肪だけが高い人も注意
見た目は瘦せているのに、中性脂肪の数値だけが高い方もいます。このタイプは血液中に脂肪がとどまりやすい体質といえます。
体型的に太っていないと自覚意識が低くなりやすいですが、危険であることに変わりないので改善する必要があります。
中性脂肪が高い人のためのチェックポイント
・油っこい食べ物が好き ・甘いものが好き ・野菜はあまり食べない ・運動習慣がない ・睡眠時間が不規則である ・お酒をよく飲む ・喫煙をする ・ストレスを抱えやすい |
上記に該当する方は中性脂肪が溜まりやすい傾向があります。
チェックすべきポイントをみれば分かるように、大きくは「食事」と「生活習慣」に分けることができます。
該当する数が多いほど危険であることはもちろん、どれか一つでも該当するのであれば改善する必要があります。
次章では、中性脂肪を減らすためのポイントを解説します。
中性脂肪が高くなる原因と下げるためにできること
では、中性脂肪が高くなる原因と対策をみていきましょう。
脂質・糖質の多い食事は控えめにする
先ほどのチェックポイントに「油っこい食べ物が好き」「甘いものが好き」がありましたが、中性脂肪の数値に最も大きな影響を与えるのが日々の食事です。とくに脂質や糖質が多い食べ物は中性脂肪が増えやすいです。
脂質が多い食べ物 ・揚げ物 ・バター ・マーガリン ・アイスクリーム |
油や乳脂肪分を使った食べ物は脂質量が多くなります。
ただ、油でも不飽和脂肪酸を多く含んだ植物油(ごま油、オリーブオイル)や青魚の油には中性脂肪、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
糖質が多い食べ物 ・ご飯 ・麵類(うどん、中華麵など) ・パン ・果物 |
脂肪=脂質のイメージがあるかもしれませんが、糖質の摂り過ぎも中性脂肪を増やす原因となります。
とくに「炭水化物」に分類される食べ物には糖質が多く含む傾向があります。
栄養バランスの良い食事をする
脂質や糖質が多く含まれる食べ物は摂り過ぎに注意ですが、全く摂らないのもよくありません。
炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン・・・などの各栄養素をバランスよく食べるのが理想です。
食物繊維を優先して食べる
また、ブロッコリーやごぼうなどの野菜、わかめなどの海藻に多く含まれる食物繊維は最初に食べることで脂質や糖質の消化・吸収を緩やかにしてくれます。
食物繊維が多い食べ物については「食物繊維が多い食べ物ランキング!手軽&効率的に摂取する方法とは」で詳しく解説しています。
また、中性脂肪を減らすための食生活について詳しくは「【医師監修】中性脂肪を減らす食事方法(食べ物や飲み物)~中性脂肪対策vol.2~」で解説しています。
運動不足の方は運動習慣をつくろう
食事で摂ったエネルギーが消費されないと、中性脂肪は増えます。また、運動不足の方は筋力低下によって基礎代謝が少なくなるので、結果として中性脂肪が溜まりやすくなります。
運動習慣をつくることは、中性脂肪を減らすために非常に有効です。
有酸素運動と無酸素運動をバランス良く
脂肪の燃焼には有酸素運動、基礎代謝を上げるための筋力アップには無酸素運動が有効です。つまり、中性脂肪を効率よく減らすためには、有酸素運動と無酸素運動をバランスよく行うことが大事です。
中性脂肪を減らす運動についての詳しいメニューについては「中性脂肪を減らす方法は「運動」が効果的~中性脂肪対策vol.1~」で紹介しています。
睡眠不足は中性脂肪を増やす
食事、運動含め「生活習慣」を整えることが中性脂肪を減らす上ではとても大切です。そこで鍵となるのが睡眠です。睡眠時間が不規則だとホルモンバランスが乱れ、生活習慣病につながるとも言われています。
また、睡眠が不足すると食欲を抑えるホルモンが減少して、食欲が増大すると言われており、脂質の代謝にも影響するという研究結果もあります。
普段から睡眠不足がちな方は、決まった時間に十分な睡眠を取れるように、就寝1時間前は電子機器を使わない、寝具や照明を新調して就寝環境を整えるなど工夫しましょう。
アルコールや喫煙も中性脂肪を増やす原因に
アルコールは適量を心掛けよう
アルコールを過剰に摂取すると、肝臓がアルコールを優先して分解するので、食べ物が消費されないまま中性脂肪に変わってしまいます。
適量のアルコールなら問題ないので、1日の純アルコール20gを超えないように気を付けましょう。
純アルコール20gの目安量 ビール:500ml 日本酒:180ml ワイン:200ml チューハイ:350ml |
中性脂肪を減らすために禁煙は有効
タバコは、中性脂肪を分解する酵素の働きを弱めると言われています。つまり、中性脂肪の合成を促すことになります。
タバコは本数を抑えればいいというものではないので、禁煙をおすすめします。
ストレスが溜まりやすい人は注意
ストレスが直接的に中性脂肪の増加につながることはありませんが、ストレスによって暴飲暴食、不眠症などを招く可能性があります。
ストレスが溜まらないよう、運動や読書、映画鑑賞など自分なりのストレス解消法をみつけましょう。
中性脂肪を抑えたい方へ
中性脂肪の増加を抑えるためには、糖質や脂質の多い食べ物を制限するのが最も効果的です。しかし、普段の食生活でこれらを制限するのは難しいです。
※糖質も脂質も生きていく上で必要な栄養素ではあるので、過剰な制限はNG
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