【医師監修】しっかり食べて瘦せるダイエット ~生活・運動・食事別のポイント~
「食事を我慢せずに痩せたい」
「好きなものを食べてスタイルもキープしたい」
「食べる」と「痩せる」は相反するイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実はシンプルな法則に従うことによって、食べながら痩せることは可能です。むしろ、健康的に痩せるためには食べることは非常に大切です。
今回は、食べて痩せる方法についてお教えします。
この記事の監修者
かわぐちレディースクリニック
東京女子医科大学医学部医学科を卒業後、東京大学医学部附属病院、焼津市立総合病院等の産婦人科を経て、現在かわぐちレディースクリニックに勤務。産婦人科専門医としてだけでなく健康スポーツ医、母体保護指定医の資格も持つ
「食べて痩せる」を可能にする法則はとてもシンプル
これまで苦労してダイエットに励んできた方は、「食べながら痩せる、なんて言葉には騙されない!!」なんて思っていませんか?
「痩せる」と一言で言っても、その意味は大きく3つに分かれます。
- 体重を落とす
- ボディラインを引き締める
- 希望の体重・体型をキープする
この3つを叶えて、ダイエットを成功させる法則を教えます。
「基礎代謝+消費カロリー>摂取カロリー」を守る
シンプルなことですが、ダイエットを成功させるための大原則は下記です。
基礎代謝+消費カロリー>摂取カロリー |
この他にも複雑な代謝回路などが関わっていますが、原則これを守っていれば、「食べながら痩せる」は夢ではありません。
基礎代謝、消費カロリー、摂取カロリーについて、今一度おさらいしましょう。
基礎代謝とは
基礎代謝とは、生きていくために必要なエネルギー量のことです。例えば、動かず横になっていても、心臓などの内臓を動かしたり体温を維持したり呼吸をしたりすることにより、消費する必要最低限のエネルギー量のことを言います。
そして、年齢や性別によって基礎代謝量は変化します。
消費カロリーとは
消費カロリーとは、上記の基礎代謝量とは別に、歩いたり家事をしたり運動したりすることで消費するエネルギーの総量です。
消費カロリーは以下の式で表すことができます。
消費カロリー(kcal) = メッツ ×体重kg × 運動時間 × 1.05 |
メッツ:身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表す単位
日常生活におけるメッツは以下の表をご覧ください。
メッツ |
生活活動の例 |
1.8 |
立位(会話、電話、読書)、皿洗い |
2.0 |
ゆっくりした歩行(平地、非常に遅い=53m/分未満、散歩または家の中)、料理や食材の準備(立位、 座位)、洗濯、子どもを抱えながら立つ |
2.2 |
子どもと遊ぶ(座位、軽度) |
2.8 |
ゆっくりした歩行(平地、遅い=53m/分)、子ども・動物と遊ぶ(立位、軽度) |
3.0 |
普通歩行(平地、67m/分、犬を連れて)、電動アシスト付き自転車に乗る、子ども の世話(立位) |
3.5 |
歩行(平地、75~85m/分、ほどほどの速さ、散歩など)、楽に自転車に乗る(8.9km/時)、階段を下りる、 軽い荷物運び、車の荷物の積み下ろし、荷づくり、モップがけ、床磨き、風呂掃除、庭の草むしり、子ど もと遊ぶ(歩く/走る、中強度)、車椅子を押す |
4.0 |
自転車に乗る(≒16km/時未満、通勤)、階段を上る(ゆっくり)、動物と遊ぶ(歩く/走る、中強度)、高齢 者や障がい者の介護(身支度、風呂、ベッドの乗り降り) |
5.0 |
かなり速歩(平地、速く=107m/分))、動物と遊ぶ(歩く/走る、活発に) |
5.8 |
子どもと遊ぶ(歩く/走る、活発に)、家具・家財道具の移動・運搬 |
7.8 |
農作業(干し草をまとめる、納屋の掃除) |
8.0 |
運搬(重い荷物) |
8.8 |
階段を上る(速く) |
運動におけるメッツは以下の表をご覧ください。
メッツ |
運動の例 |
2.3 |
ストレッチング、全身を使ったテレビゲーム(バランス運動、ヨガ) |
2.5 |
ヨガ、ビリヤード |
2.8 |
座って行うラジオ体操 |
3.0 |
ボウリング、バレーボール、社交ダンス(ワルツ、サンバ、タンゴ)、ピラティス、太極拳 |
4.0 |
卓球、パワーヨガ、ラジオ体操第1 |
4.3 |
やや速歩(平地、やや速めに=93m/分)、ゴルフ(クラブを担いで運ぶ) |
4.5 |
テニス(ダブルス) *、水中歩行(中等度)、ラジオ体操第2 |
5.0 |
かなり速歩(平地、速く=107m/分)、野球、ソフトボール、サーフィン、バレエ(モダン、ジャズ) |
6.0 |
ゆっくりとしたジョギング、ウェイトトレーニング(高強度、パワーリフティング、ボディビル)、バスケット ボール、水泳(のんびり泳ぐ) |
7.0 |
ジョギング、サッカー、スキー、スケート、ハンドボール |
8.0 |
サイクリング(約20km/時) |
8.3 |
ランニング(134m/分)、水泳(クロール、ふつうの速さ、46m/分未満)、ラグビー |
9.0 |
ランニング(139m/分) |
9.8 |
ランニング(161m/分) |
10.3 |
武道・武術(柔道、柔術、空手、キックボクシング、テコンドー) |
11.0 |
ランニング(188m/分)、自転車エルゴメーター(161~200ワット) |
参照:厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」
摂取カロリーとは
食べ物・飲み物などから摂取するエネルギーの総量です。
摂取カロリーの計算には、「PFCバランス」で考えましょう。「PPC」とは、三大栄養素であるタンパク質(Protein)、脂肪(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のことをいいます。「PFCバランス」とは摂取カロリーのうち、それら三大栄養素がどれくらいの割合を占めるかを示した比率のことです。
タンパク質・炭水化物は1g=4kcagl、脂肪は1=9kcalです。
カロリー計算上は、脂肪はタンパク質・炭水化物に比べ同じ量を食べてもカロリーが高いので、太りやすい食品というわけです。
厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」として、生活習慣病の予防・改善となる摂取カロリーの内訳は下記を推奨しています。
たんぱく質:13~20% 脂質:20~30% 炭水化物:50~65% |
基礎代謝アップでしっかり食べて痩せる!!~5つの生活習慣~
まずは、「基礎代謝」を上げることで『食べて痩せる』を実現する方法を5つ紹介します。
水分摂取
1日に必要とされている水分量より多めに、こまめに水を飲むことを意識しましょう。
水分と言っても、カフェインを多く含むコーヒーやアルコールを含むお酒は利尿作用があるため、尿量を増やして水分を失う作用があります。
そのためカフェインを含まない飲み物で水分を摂るようにしてみてください。
腹式呼吸
腹式呼吸は、「胸を使わずお腹(横隔膜)を膨らませる深い」呼吸法です。
普通の胸でする呼吸と違い、インナーマッスルを鍛えることにつながります。深呼吸の意味でも、気分転換に腹式呼吸を取り入れてみてはいかがでしょうか。
身体を温める・冷やさない
身体が暖かいと基礎代謝が上がるので、冷やさないようにする工夫が大切です。
暑いときは冷たい飲み物を多く摂ってしまい身体を冷やしがちです。そのため、夏場でもできるだけ冷たいものは控えましょう。
また、忙しいとシャワーで済ませがちですが、入浴で全身をあたためることも基礎代謝アップにつながります。入浴まではできないときも、手や足だけをお湯に浸す「手浴」「足浴」で末端を温めることで冷えを予防できます。
手浴や足浴は、眠る前だと自律神経を整えリラックスし、安眠につながる効果もあります。
腸内環境
腸内環境を整えてお通じを規則的にすることも、基礎代謝アップにつながります。
発酵食品(味噌、納豆、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、チーズなど)を積極的にとりいれましょう。また、食物繊維を多く含む食品も腸内環境を正常に保つ効果があります。
食物繊維を多く含む食品について、詳しくは「食物繊維と糖質の違いって何?糖質制限ダイエットとの関係は?」をごらんください。
規則的な生活
十分な睡眠も基礎代謝を高めるためとても重要です。不規則な生活は自律神経が乱れ、基礎代謝が下がる原因になります。
「良く休み、良く食べ、良く動く」を無理なく毎日規則的に行えると体内のリズムも正常化し、生活習慣病の予防にもなります。
消費カロリーアップでしっかり食べて痩せる!!~3つの運動・筋トレ~
続いて、「消費カロリー」を上げることで『食べながら痩せる』を実現する方法を3つ紹介します。
有酸素運動
有酸素運動はカロリーを効率よく消費することができます。有酸素運動は日常の中でもとりいれることができます。通勤や通学、送り迎えのなかで早歩きを10分行うことも有酸素運動です。
10分の距離が無ければ、少し遠回りしてみてもよいでしょう。また、エレベーター・エスカレーターを使っていた場面で階段を使うこともおすすめです。
無理なく少しずつ運動量を増やせるようにしてみてください。
ストレッチ
ストレッチは自律神経を整え、副交感神経系を優位にさせる働きがあります。
朝のストレッチは身体を温め、基礎代謝を高めます。また、けが予防にも効果的です。カンタンなものからぜひ取り入れてみてください。
下半身、とくに太ももの大腿筋は「第2の心臓」と呼ばれるほど大きな筋肉なので、ここの血流を良くすると、全身の血行循環が良くなります。ストレッチをする際は、上半身だけでなく下半身までしっかり行うことがポイントです。
無酸素運動
無酸素運動の代表的なものは筋トレです。
準備運動をしたうえでスクワット、腕立て、腹筋などを正しいフォームで行うと効果が十分に期待できます。
運動について詳しく知りたい方は「痩せるには運動は本当に必要??運動嫌いのためのおすすめメソッド」をご覧ください。
摂取カロリーダウンでしっかり食べて痩せる!!~3つの食事ポイント~
最後に、「摂取カロリー」を下げることで『食べながら痩せる』を実現する方法を3つ紹介します。
タンパク質を増やす
「摂取カロリーとは」の項で説明した「PFCバランス」のうちタンパク質の割合を増やすことで、カロリーオーバーを防ぎ、筋肉がつきやすい身体にします。
一日に必要なタンパク質量は下記の通りです。
成人男性・・・60g 成人女性・・・50g |
しかし,
牛肉を100g食べたとしても、部位によるものの含まれているたんぱく質は約20gです。充分な量のタンパク質を摂ることは意外と難しいのです。
肉や魚だけでなく大豆製品、卵やヨーグルトなど、様々な食品からたんぱく質を摂ることを意識しましょう。
糖質を減らす
糖質は、炭水化物の中で身体のエネルギーになる物質です。そのため健康的な身体活動には大切な栄養素ですが、糖質の摂り過ぎには注意が必要です。
というのも、糖質を過剰に摂取すると血糖値が急激に上がり、脂肪を貯めこみやすい身体になってしまうからです。
炭水化物は穀物やイモ類などに多く含まれるため、「主食」と呼ばれるご飯・パン・麺に多いのが特徴です。“しっかり食べる”ことはダイエット中であっても大事なことですが、摂取過多には気を付けましょう。
脂質を減らす
「摂取カロリーとは」項で説明した通り脂質は1g=9kcalとハイカロリーです。
そのため脂質の摂取を控えると摂取カロリーダウンに繋がります。
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