食物繊維の一日摂取量の目安は何グラム?効果的なメニューの考え方
「食物繊維の一日の摂取量って何グラムなの?」「食物繊維の効果的な取り方は?」この記事をご覧の皆さんは、このようにお考えかと思います。食物繊維の摂取量にはいくつか目安があり、理想の摂取量は一日あたり24g以上です。ただ、現代の日本人は食物繊維の摂取量が不足しているため、厚生労働省は「実際の摂取平均」と「理想の摂取量」の中間をとり、食物繊維の一日の目標摂取量を「成人男性21g」「成人女性18g」としています。この記事では、食物繊維が豊富に含まれる食品や、食物繊維の一日の摂取量を満たす献立メニューの考え方について解説します。
この記事の監修者
Alohaさおり自由が丘クリニック開業医
日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。現在は、Alohaさおり自由が丘クリニックを開業。内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜している
食物繊維とは?水溶性と不溶性の違いと働き
食物繊維とは大腸まで達する食品成分で、厚生労働省e-ヘルスネットによると「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。食物繊維は糖質や脂質のようにエネルギー源にはならないため、昔は「食べ物のカス」などと捉えられていました。
しかし長年の研究によって、食物繊維には「便秘予防」や「血糖値上昇の抑制」や「コレステロール濃度の低下」など、様々な生理機能が認められました。近年では、糖質・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルといった5大栄養素に加え、第6の栄養素として食物繊維の働きが注目されています。「食物繊維」と聞くと「根菜の筋のような物」をイメージされる多いですが、食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、それぞれ働きが異なります。
水溶性食物繊維とは
水溶性食物繊維とは、水に溶ける性質を持った食物繊維のことです。
野菜や果物に含まれるペクチンや、海藻などのぬるぬる成分であるアルギン酸などが水溶性食物繊維に分類されます。水溶性食物繊維は排泄を促すだけではなく、糖質などの吸収を穏やかにして、食後の血糖値の急上昇を穏やかにしてくれる働きがあります。
さらにコレステロールから作られる胆汁酸を体外に排出する働きもあるため、血中のコレステロール値の低下にも繋がります。水溶性食物繊維はビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やして腸内環境を整える作用もあります。
不溶性食物繊維とは
不溶性食物繊維とは、水に溶けない性質を持った食物繊維のことです。
大豆やゴボウなどの植物の細胞壁を構成するセルロースやヘミセルロース、エビやカニなどの殻に含まれるキチンなどが不溶性食物繊維に分類されます。不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して膨らむ性質があり、便の体積を増やして大腸を刺激し、排便をスムーズにしてくれる働きがあります。
食物繊維の一日あたりの摂取量目安
生活習慣病の発症予防を目的とした場合、理想的な食物繊維の摂取量目安は一日あたり24g以上です。これは欧州でも推奨されている食物繊維の理想的な摂取量なのですが、現代の日本人の食物繊維の摂取量は少ないのが現状です(次章で解説します)。
そこで厚生労働省は「実際の摂取量平均」と「理想の摂取量」の中間をとって、日本人が目標とすべき食物繊維の一日あたりの摂取量は、成人男性21g以上、成人女性18g以上としています。
|
男性 |
女性 |
15~17歳 |
19g以上 |
18g以上 |
18~29歳 |
21g以上 |
18g以上 |
30~49歳 |
21g以上 |
18g以上 |
50~64歳 |
21g以上 |
18g以上 |
65~74歳 |
20g以上 |
17g以上 |
【厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」】
現代人は食物繊維の一日の摂取量が不足している
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」を見ていると、日本人の一日あたりの食物繊維の摂取量は不足しています。これは食生活の欧米化によって肉類や乳製品が増え、雑穀を食べることが減ったのが原因として挙げられます。
【年代別食物繊維摂取量】
|
男性(目安21g) |
女性(目安は18g) |
15-19歳 |
20.0 |
17.0 |
20-29歳 |
17.5 |
14.6 |
30-39歳 |
18.3 |
15.9 |
40-49歳 |
18.3 |
16.0 |
50-59歳 |
19.4 |
16.8 |
60-69歳 |
20.6 |
19.8 |
70歳以上 |
21.9 |
20.5 |
【出典:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」】
前章でもご紹介しましたが、食物繊維の一日あたりの目標とすべき摂取量は「成人男性21g以上」「成人女性18g以上」です。一日あたりの「目標値」と「摂取平均値」で比較すると、男性も女性も食物繊維の摂取量が3~4g不足している計算になります。仮に理想の食物繊維の摂取量24g以上と比較すると、年代によっては食物繊維の摂取量がおおよそ10g不足していることとなります。
食物繊維が不足したらどうなるのか
食物繊維の摂取量が不足すると、腸内環境の悪化を引き起こして便秘になりやすくなり、生活習慣病のリスクも高くなります。例えば、心筋梗塞・脳卒中・循環器疾患・糖尿病・乳がん・胃がん・大腸がん・メタボリックシンドロームなどですね。食物繊維の摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率や死亡率との関連も検討されています。
数多くの研究結果で総合的に認められているのは、「食物繊維の摂取量が多いほどこれらの発症率や死亡率が低い」ということです。現代の日本人は食物繊維が不足しているため、食物繊維のとりすぎを心配するよりも、意識をして積極的に摂取する必要があります。
ただしサプリメントなどで食物繊維を摂取する場合は、一日あたりの摂取量を守らないと、お腹が緩くなることも考えられるのでご注意ください。
食物繊維を多く含むおすすめ食品
食物繊維の一日あたりの摂取量をクリアするためには、食物繊維を多く含む食品を、毎日の食事に積極的に取り入れることが大切です。食物繊維が含まれるのは主に植物性の食品ですが、具体的にどんな食べ物にどのくらいの食物繊維が含まれているのかを、この章で確認しておきましょう。
【数値参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」】
穀類の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
白米 |
0.3 |
0 |
0.3 |
一食150g |
玄米 |
1.4 |
0.2 |
1.2 |
一食150g |
発芽玄米 |
1.8 |
0.2 |
1.6 |
一食150g |
胚芽米 |
0.8 |
0.2 |
0.6 |
一食150g |
そば |
2.0 |
0.5 |
1.5 |
一食200g |
コーンフレーク |
2.4 |
0.3 |
2.1 |
一食40g |
角形食パン |
2.2 |
0.4 |
1.9 |
1枚60g |
全粒粉食パン |
4.5 |
0.9 |
3.6 |
1枚60g |
※食パンは6枚切りの目安量を記載
※米や麺類は炊飯後・ゆでの状態の食物繊維量や目安量を記載
野菜の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
ゴボウ |
5.7 |
2.3 |
3.4 |
1本150g |
ブロッコリー |
5.1 |
0.9 |
4.3 |
1個200g |
えだまめ |
5.0 |
0.4 |
0.6 |
1パック200g |
オクラ |
5.0 |
1.4 |
3.6 |
1パック100g |
西洋カボチャ |
3.5 |
0.9 |
2.6 |
半玉500g |
にんじん |
2.8 |
0.7 |
2.1 |
1本200g |
ほうれんそう |
2.8 |
0.7 |
2.1 |
1束200g |
なす |
2.2 |
0.3 |
1.9 |
1個80g |
れんこん |
2.0 |
0.2 |
1.8 |
1節180g |
キャベツ |
1.8 |
0.4 |
1.4 |
半玉600g |
キュウリ |
1.1 |
0.2 |
0.9 |
1本100g |
大根 |
1.3 |
0.5 |
0.8 |
1本1000g |
レタス |
1.1 |
0.1 |
1.0 |
1玉300g |
※生の状態の食物繊維量を記載
※食品の目安量はMサイズの可食部の重量を記載
きのこ類の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
しいたけ |
4.6 |
0.4 |
4.1 |
1パック100g |
えのきだけ |
3.9 |
0.4 |
3.5 |
1パック100g |
ぶなしめじ |
3.5 |
0.3 |
3.2 |
1パック100g |
エリンギ |
3.4 |
0.2 |
3.2 |
1パック100g |
まいたけ |
3.5 |
0.3 |
3.2 |
1パック100g |
豆類の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
あずき(乾) |
15.3 |
1.0 |
14.2 |
― |
いんげん豆(乾) |
19.6 |
3.3 |
16.3 |
― |
えんどう豆(乾) |
17.4 |
1.2 |
16.2 |
― |
木綿豆腐 |
0.4 |
0.1 |
0.3 |
1丁300g |
納豆 |
6.7 |
2.3 |
4.4 |
1パック50g |
芋類の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
しらたき |
2.9 |
0 |
2.9 |
1パック200g |
さといも |
2.3 |
0.8 |
1.5 |
1個35g |
板こんにゃく |
2.2 |
0.1 |
2.1 |
1パック250g |
さつまいも |
2.2 |
0.6 |
1.6 |
1本180g |
じゃがいも |
1.2 |
0.4 |
0.8 |
1個130g |
※食品の目安量はMサイズの可食部の重量を記載
果物の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
アボカド |
5.6 |
1.7 |
3.9 |
1個150g |
ブルーベリー |
3.3 |
0.5 |
2.8 |
1パック100g |
キウイフルーツ |
2.6 |
0.6 |
2.0 |
1個100g |
かき |
1.6 |
0.2 |
1.4 |
1個180g |
りんご |
1.4 |
0.4 |
1.0 |
1個238g |
いちご |
1.4 |
0.5 |
0.9 |
1個25g |
もも |
1.3 |
0.6 |
0.7 |
1個170g |
バナナ |
1.1 |
0.1 |
1.0 |
1個120g |
みかん |
1.0 |
0.5 |
0.5 |
1個75g |
※食品の目安量はMサイズの可食部の重量を記載
海藻の食物繊維量
|
食物繊維 (可食部100gあたり/g) |
食品の目安量 |
||
総量 |
水溶性 |
不溶性 |
||
焼きのり |
36.0 |
― |
― |
1枚3g |
ひじき(乾) |
51.8 |
― |
― |
1カップ50g |
わかめ(乾) |
35.4 |
― |
― |
1食1g |
もずく |
1.4 |
― |
― |
1パック80g |
食物繊維の一日の摂取量を満たす献立メニューの考え方
厚生労働省が発表している、目標とすべき食物繊維の一日あたりの摂取量をクリアするためには、毎日の献立の中で食物繊維量を一日3~4g増やす必要があります。毎日アボカド半分(食物繊維4.2g)を食べれば食物繊維の目標量はクリアできますが、毎日欠かさずアボカドを食べ続けるのは大変ですよね。
また、理想とする食物繊維の一日あたりの摂取量をクリアしようと思うと、アボカド半分だけでは足りません。効率的に食物繊維の摂取量をアップさせるためには、この章でご紹介する方法を実践されることをおすすめします。
主食の種類を見直す
主食である白ご飯を玄米・大麦・胚芽米に変えたり、パンを全粒小麦パンなどに置き換えたりするだけで、一日あたりの食物繊維の摂取量を上げられます。
例えば… ・白米…食物繊維0.45g(水溶性0g、不溶性0.45g) ・玄米…食物繊維量2.1g(水溶性0.3g、不溶性1.8g) ・発芽玄米…食物繊維量2.7g(水溶性0.3g、不溶性2.4g) |
※すべてお茶碗一杯150gで計算
昼食と夕食の主食を白米から玄米に変えるだけで、食物繊維の一日あたりの摂取量が4.2gアップします。
ただし、白米と玄米に含まれる糖質量には大きな違いはありませんので、食物繊維を摂取したいからと食べ過ぎてしまうと、糖質を摂取しすぎる可能性もあるので注意をしてください。糖質と主食の考え方について、詳しくは「糖質制限ダイエットはご飯・パン・麵類が9割?【食べ物シリーズvol.3】」をご覧ください。
食物繊維が豊富な食品を使った副菜を追加する
食物繊維が豊富に含まれる食品を使った副菜を一品追加すると、食物繊維の一日の摂取量を上げられます。野菜などは生の状態よりも調理した方が食物繊維を摂取しやすく、乾燥された食品の方が食物繊維量は豊富です。
以下のような副菜を、昼食と夕食に一品ずつ追加されると良いでしょう。
例えば… ・アボカドとトマトのサラダ ・きんぴらごぼう ・切干大根の煮物 ・ほうれん草と大根おろしのポン酢あえ |
ただし、追加する副菜については、調味料や調理方法に気をつけてください。煮物は砂糖を使うため糖質の摂取量が増え、炒め物は油を使うため脂質の摂取量が増えてしまいます。
調味料に含まれる糖質について、詳しくは「糖質制限中は控えたい調味料と上手な代用方法【食べ物シリーズvol.1】」をご覧ください。
食物繊維を含む食品の糖質にご注意を
食物繊維の一日あたりの摂取量をクリアするには、毎日の食事で食物繊維を積極的に摂取する必要があります。ただ、食物繊維が豊富な穀類・根菜・果物・豆類などは、種類によっては糖質量が高くなるというデメリットもあります。
水溶性食物繊維には糖質の吸収を抑える効果がありますが、食物繊維量を意識しすぎるあまり、糖質を摂り過ぎていた…ことも考えられるということです。
食物繊維の摂取量を増やしつつ、糖質の過剰摂取に気をつけることが、何より大切と言えるでしょう。
サプリメントで糖質をケアするという選択肢
毎日食事で食物繊維量や糖質などの栄養バランスを考えることは大切ですが、継続できずに三日坊主で終わってしまう方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。このようにお悩みの方は、「サプリメントで糖質ケアをする」という選択肢があります。
糖質脂質ケアサプリメントとしておすすめなのが、ターミナリアファースト!
ターミナリアファーストは、血糖値の上昇を抑える働きがある「ターミナリアアベリリカ」が主配合された「機能性表示食品」です。さらにターミナリアファーストには、トウモロコシなどのデンプンから生まれた「難消化性デキストリン」という食物繊維も配合されています。食事の前にターミナリアファーストを飲むだけで、簡単に糖質コントロールができ、さらに食物繊維も摂取できて一石二鳥!
毎日の食事で食物繊維量をアップさせつつ、糖質や脂質を気にしてメニューを考えるのが大変…という方は、ぜひターミナリアファーストをお試しください。