【医師監修】身長が伸びる時期＝成長スパートとは？親が子どものためにできること
身長がとくに伸びる時期は、子ども時代に2度訪れると言われています。
なかでも伸びが著しいのは「成長スパート」と呼ばれる時期です。
そして、この時期とその前後の生活習慣は、最終身長に大きな影響を与えると言われます。
だからこそ、もしあなたが「子どもには親よりも大きく成長してほしい」と考えているのなら、まずはお子さまの成長スパート期を知る必要があるでしょう。
この記事では、成長スパートについて解説するとともに、成長スパート期に合わせて、お子さまの身長を伸ばすために親ができることをご紹介します。
この記事の監修者
由良産婦人科・小児科医
京都大学医学部卒業。卒後20年間、産婦人科医として臨床経験を積む。2017年、女性の健康リテラシー向上を目指す団体「Mimosa」を立ち上げる。講演やコラム執筆実績多数。YouTubeでリプロダクティブ・ヘルスに関する情報提供動画を配信中
「子どもの身長が伸びる時期＝成長スパート」とは
子どもの身長が大きく伸びる時期は、まず赤ちゃん、乳幼児期のころに1回。それから小児期を経て、思春期にもう1回、成長期が訪れます。
とくに思春期に訪れる成長期は「成長スパート」と呼ばれ、身長を大きく伸ばすための大切な時期かつ、最後のタイミングだといわれています。
今回紹介するのは、男女別の成長スパートに関する目安時期です。ただし、子どもの成長は千差万別。早熟な子もいれば、晩熟な子もいます。
成長スパートを判断する方法は、のちほど解説するため、ここではあくまで平均的な成長ケースとしてご参照ください。
・男の子の身長が著しく伸びる時期は、大体13歳ごろ。
・女の子の身長が著しく伸びる時期は、大体11歳ごろ。
男子の成長スパートは13歳ごろ
男の子の身長が著しく伸びる時期は、大体13歳ごろ。中学生に上がってから訪れます。伸び率に関しては個人差が大きいものの、成長スパート期の間は年に10～12cmほど伸びる子どもも少なくありません。
思春期は身長を含めて、大人へと身体が大きく変わり始める時期です。男子では男性ホルモンの分泌が増え、これが身長の伸びに大きく関わるほか、声変わりや体毛が濃くなるなどの変化も徐々に見えてきます。
女子の成長スパートは11歳ごろ
女の子の身長が著しく伸びる時期は、大体11歳ごろ。男の子よりも少し早く、小学生のうちに成長スパートを迎える子が多く見られます。女の子の成長スパートにおける身長伸び率は、年8～9cmが平均的です。
女の子の場合は、女性ホルモンの影響が身長の伸びに大きく関わるため、成長スパートとともに胸がふくらみ始めるなど、女性らしい身体へと変わり始めます。
なお、初潮を思春期の代表的な変化と考える方も少なくありませんが、実は初潮を迎えるタイミングは思春期の終わりごろです。初潮は身長が止まるサインといわれることもあるように、初潮を迎えたときには思春期も成長スパートも終わりに差しかっていると考えられます。
身長が伸びる時期は限られている、大人になってからはほぼ伸びない
成長スパートはほとんどの場合、高校生ごろまでに終わります。成長スパートが終わった後は、伸びたとしても数ミリ程度が一般的です。つまり、大人になってから大きく身長が伸びることはありません。
お子さまの身長を伸ばしたいと考えているのであれば、成長スパートを見逃す訳にはいかないのです。
次の項目で紹介する成長スパートの見極め方、身長を伸ばすための生活習慣をしっかりと押さえ、成長をサポートしましょう！
子どもの身長を伸ばすために親ができる5つのこと
子どもの身長を伸ばすために親ができるのは、生活習慣のサポートです。当たり前のことですが、毎日していることだからこそ、疎かになっている部分があるかもしれません。
身長を伸ばすのに必要な要素を改めて押さえ、お子さまが成長しやすい環境を整えましょう。
1.予測身長を計算しよう
身長は遺伝的な要素が大きく出るため、親の身長から子どもの最終身長を予測できる計算式が発表されています。それが以下の計算式です。
・男の子の最終身長目安＝（父親の身長＋母親の身長＋13）÷2
・女の子の最終身長目安＝（父親の身長＋母親の身長－13）÷2
たとえば、172cmのお父さんと158cmのお母さんを持つ男の子の場合は、172＋158＋13で343。これを2で割った、171.5cmが最終身長の目安です。
ただし、計算式はあくまで目安なので、気になる方は専門の医師に相談するのもいいでしょう。
適度な食事や運動、睡眠が取れているようであれば、予測身長の前後までは一般的に伸びるといわれています。
そのうえで生活習慣に不安がある場合や、予測身長よりも伸ばしてあげたいと考えているのであれば、親のサポートがとても大切です。
2.成長スパート期を予測しよう
子どもの身長をより伸ばすためには、成長スパート期とその準備期間の過ごし方が大切だといわれています。それらの期間に正しくサポートができるように、まずはお子さまの成長スパート期を予測しましょう。
成長スパート期を予測するには、0歳からの身長の伸びを1年ごとに記録します。その情報を折れ線グラフにしてまとめ、成長曲線をつけると特に分かりやすいでしょう。
子どもは4歳ごろまでに出生身長の倍ほどまで成長し、あとは年に約6cm程度、ほぼ平均的に伸びる時期がしばらく続きます。そのなかで、いきなり成長曲線が著しく上昇したとしたら、それが成長スパートに入ったというタイミングです。
成長スパートに入る前に明確な前兆はありません。多くの場合は、成長スパートに入ってから気づくことになるでしょう。
しかし、何度も言うようですが成長スパート期に効率よく身長を伸ばすには、その前の期間も大切です。成長期の目安は女の子で11歳、男の子で13歳とされるため、小学校中学年からを準備期間と考えましょう。小学校中学年以降は、以下で紹介する生活習慣を特に意識して取り入れるようにしてみてください。
3.楽しく遊びながら骨や筋肉を刺激しよう
身長を伸ばすには、骨や筋肉、結合組織といった、成長に関わる器官に適度な刺激を与えることが大切です。1日トータル60分を目安とした運動習慣をおすすめします。
運動といっても、きちんとしたスポーツでなくても構いません。公園で遊んだり、休み時間に学校でかけっこをしたりなどでも十分です。
ちなみに運動習慣は成長スパート期ももちろん大切ですが、準備期間は特に大切だといわれています。身長が伸びやすい状態へと、日ごろから体を整えていきましょう。
4.規則正しい睡眠習慣を心掛ける
身長の伸びに大きく関わる「成長ホルモン」が最も多く分泌されるのは、睡眠中です。それも質の高い睡眠を取るほど活発に分泌されるため、ただ多く寝るのではなく、質まで意識した睡眠習慣を徹底できるとベストでしょう。
睡眠の質を改善するうえでまず試してもらいたいのが、寝る時間よりも起きる時間を一定に保つことです。もちろん就寝時間も一定かつ、遅くても22時～0時までに寝られるに越したことはありません。
しかし、どうしても寝る時間が遅くなってしまうときはあるでしょう。そのようなときでも、起床時間をいつもどおりにすれば、体内リズムは大きく狂いません。
睡眠の質には体内リズムが大きく関わるため、このように起床時間の一定化を徹底するだけでも、睡眠の質は改善されやすいでしょう。
お子さまの睡眠時間が短く、眠気をうったえるようであれば、一度いつもの時間に起きたあとに昼寝の時間を設けてあげてください。13時までの昼寝であれば、夜間の睡眠にも大きな影響を与えません。
13時以降の昼寝に関しては、30分以内かつ遅くても15時までに済ませるのがおすすめです。
5.食事はバランスよく、かつ成長に関わる成分を意識して
身長を伸ばすために必要な成分といわれるカルシウムは、もちろんおすすめの成分です。成長期の骨を作るのには、欠かせません。
しかし、カルシウム単体では吸収率が落ちてしまいます。吸収率を上げられるたんぱく質やマグネシウム、ビタミンも一緒に摂取しましょう。これらの成分が摂取できるおすすめの食材は、以下をご確認ください。
・牛乳…カルシウム、たんぱく質ともに豊富
・豆腐、納豆などの大豆製品…カルシウム、たんぱく質ともに豊富
・小魚やしらす、缶詰の魚など骨まで食べられるもの…カルシウムが豊富
・ひじきやあおさなど海藻類…マグネシウムが豊富
・しいたけやまいたけなどのきのこ類…ビタミンＤ（カルシウムの吸収を促進）が豊富
・ブロッコリーや小松菜、ほうれん草など…ビタミンＫ（カルシウムを骨に取り込む）が豊富
このほかでは、卵がおすすめです。卵は完全栄養食とも呼ばれるように、カルシウムやたんぱく質、鉄分、ビタミンなどの成分がとてもバランスよく含まれています。ぜひ食卓に取り入れてみてください。
身長をサポートする食べ物について詳しくは「身長を伸ばす食べ物って本当にあるの？ 注意すべきは食べ方だった？」で解説しています。