最終身長があと何センチ伸びるのかを予測する3つの方法
周りに比べて身長の伸びが早くても遅くても、「最終身長まであと何センチ伸びるのだろう」と気にする方は多いでしょう。
そこでこの記事では、最終身長の予測方法を3パターンご紹介します。
また「生理が来ると身長が止まるって本当?」「身長を伸ばすにはやっぱりカルシウムが必要なの?」などの質問についても、Q&A形式で分かりやすくまとめました。お子さまや自分の身長の伸びについて、興味や不安がある方は、ぜひご一読ください。
この記事の監修者
由良産婦人科・小児科医
京都大学医学部卒業。卒後20年間、産婦人科医として臨床経験を積む。2017年、女性の健康リテラシー向上を目指す団体「Mimosa」を立ち上げる。講演やコラム執筆実績多数。YouTubeでリプロダクティブ・ヘルスに関する情報提供動画を配信中
本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません
最終身長の予測方法①両親の身長から計算
今回ご紹介する最終身長の予測方法の中で最も簡単なのは、こちらの両親の身長から計算する方法です。以下の計算式に当てはめるだけで、誰でも簡単に最終身長を予測できます。
・男子:(父親の身長+母親の身長+13)÷2
・女子:(父親の身長+母親の身長-13)÷2
男子の場合は両親の身長に13を足し、女子は引くことになりますが、これは男女の平均的な身長差を考慮したものです。
たとえば父親の身長が170cm、母親の身長が158cmであった場合の最終身長は、男子で172.5cm、女子で159.5cmと予測されます。
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・身長は遺伝的要素が大きいため、両親の身長から予測できる ・ただし、身長は遺伝だけでなく環境がもたらす影響もある ・生活リズムを整えて、適切な栄養を摂ることが重要 |
最終身長の予測方法②標準成長曲線を参照
※参照:厚生労働省「成長曲線」
標準成長曲線とは、その名前のとおり、子どもの標準的な成長率をグラフ化したものです。
子どもは、それぞれ成長スパートが来る時期が違います。時期が違うだけで、成長率はほぼ変わらないため、標準成長曲線とこれまでの成長記録を照らし合わせることで、最終身長が予測できます。
具体的な方法としては、まず標準成長曲線を用意しましょう。インターネットを探せばダウンロードできるものがいくつもあります。ただし正確性や分かりやすさを求めるのであれば、国が提供している標準成長曲線を選ぶのがおすすめです。
標準成長曲線が用意できたら、現在の年齢と身長が結ばれる箇所に点を打ち、その位置から標準身長曲線と平行になるように線を描きます。線は身長の伸びが止まる平均的な年齢とされる男子17歳、女子15歳まで伸ばしましょう。
たとえば12歳時点で身長が145cmの男子であれば、17歳時点でおおよそ165~170cmになると予測できます。
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・成長スパートがくる時期は個人差がある |
最終身長の予測方法③病院で骨年齢を計測
骨年齢が若ければ若いほどこれから身長が伸びる余力があり、逆に成熟しているとほぼ身長の伸びが終わった状態だということが分かります。このような骨年齢と成長の関係性からも、最終身長を予測できます。
ただし、骨年齢での最終身長予測は病院でレントゲン写真を撮影して行う方法であり、自宅ではできません。病気による低身長が疑われる場合に、専門医の診察を受けた時に用いられます。
医学的に低身長とされるのは、先にお話しした標準成長曲線のうえで-2SDという数値を下回る場合です。SDとは「standard deviation」の略で、標準偏差を意味します。
-2SDがどの程度なのかは、標準成長曲線上に記載されているため、そちらと照らし合わせて-2SDを下回る場合には、医師への相談を検討しましょう。成長障害を専門としている病院や診療科のほか、小児内分泌科が対応しています。
ただし-2SDを下回ったとしても、必ず成長障害の原因となる病気であるとは限りません。むしろ多くのケースは体質によるものであるため、周りに比べて身長が少し低いぐらいであれば、そこまで深刻に考える必要はありません。
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・骨年齢を調べる検査は病気による低身長が疑われる場合、診察の一環として受けられる ・骨の成長にはカルシウムはもちろん、ビタミン群、タンパク質を摂ることが重要 |
最終身長にまつわるQ&A
最終身長にまつわる質問についてお答えします。身長の伸ばし方から「最終身長予測は当たるの?」といった、誰もが気になる疑問をここで解き明かしましょう。
Q.最終身長予測は当たる?当たらない?
A.大まかな目安としては、当たるといえます。
残念ながら、どの予測方法に関しても目安の域を出ず、たとえ医師であっても現代医学では最終身長をぴたりと当てることはできません。
まず両親の身長から最終身長を予測する方法は、遺伝要素を重視し、かつ平均的な伸び方であることを前提として計算式が作られています。遺伝による最終身長への影響はとても大きいといわれていますが、環境がもたらす影響もあるため、予測結果と100%合致することはまずないでしょう。男子で±9cm、女子で±8cmの幅があると言われています。
つづいて標準成長曲線による予測は、病院でも使われる方法です。しかし早熟型の子どもは平均よりも早く身長の伸びが止まり、逆に晩熟型の子どもは平均よりも身長の伸びが止まるのが遅いものです。このようなタイミングの変化により最終身長にはバラつきが出るため、標準成長曲線でも正確に予測することは難しいでしょう。
最後に骨年齢から予測する方法ですが、こちらはさまざまな方法があります。その中でも「グロースポテンシャル法」と呼ばれるものは、あと何cm伸びる余力があるかを骨年齢から導き出すことができ、誤差が少ないといわれています。とはいえ、やはり誤差をゼロにすることはできません。
Q.女子は生理がきたら身長が止まるって本当?
A.厳密には違いますが、身長が止まるタイミングを予測する目安として生理(初潮)を用いるのは、妥当だといわれています。
初潮は、身長が一気に伸びる成長スパート期の後期に始まることが一般的です。つまり生理が来たから身長が止まるのではなく、成長がほぼ完了したから初潮が始まるため、初潮以降は身長があまり伸びなくなるというわけです。
ただし初潮後の身長の伸びも個人差が大きく、まったく伸びない子もいれば、しばらく伸び続ける子もいます。
Q.男子にも身長が止まるサインはある?
A.男子の場合は、声変わりがひとつのサインといえます。
女子の生理が成長スパート期の後期にくるように、男子の場合は声変わりが起こるタイミングが成長スパート期の後期です。声変わり以降は、少しずつ身長の伸び幅が小さくなることがほとんどでしょう。
成長スパート期のはじまりや終わりのサインについて詳しくは「まだ伸びる?成長期の終わりのサインを男子・女子別に解説」で解説しています。
Q.高校を卒業しても身長が伸びることはある?
A.晩熟型の場合には、高校卒業後や20歳を過ぎても伸びるケースがあります。
最終身長に到達するのは、一般的に男子で17歳、女子で15歳ですが、これはあくまで標準値です。何歳まで身長が伸び続けるかは、個人差が大きいです。ちなみに、日本人よりも平均身長が高い欧米人は成長期が遅い傾向にあります。
晩熟型について詳しくは「【医師監修】成長期は遅いほうがいいって本当?晩熟型の特徴とメリット」で解説しています。
Q.成長スパート期にしておくべきことって?
A.質のよい睡眠を取ること、適度な運動で骨に刺激を与えること、栄養バランスのよい食事を摂ること、体重制限をしないことが大切です。
そのほかストレスも発育に大きく関わるといわれています。上記のとおり、最終身長を伸ばすためには健康的な生活が大切ですが、神経質になりすぎることは避けましょう。
成長スパート期にすべきことについて詳しくは、「【医師監修】身長が伸びる時期=成長スパートとは?親が子どものためにできること」で解説しています。
Q.身長を伸ばしたかったらやっぱりカルシウム?
A.カルシウムも重要ですが、カルシウムだけでは不十分です。
カルシウムの摂取は骨の成長に欠かせないため、重要です。しかし健康的な発育のためには、何よりも栄養バランスの整った食生活を意識する必要があります。
しかし現代の子どものカルシウム不足は、比較的深刻だといわれていることから、カルシウムを積極的に摂取するに越したことはありません。
カルシウム不足の解消法については「カルシウム不足になるとどうなる?症状や食事の改善対策」で詳しく解説しています。