牛乳以外でカルシウムを摂取する方法~牛乳嫌いの子供のために~

成長コラム

牛乳が苦手なお子さまは珍しくありません。なかには乳糖不耐症などで体質的に牛乳をのむことができないお子さまもいらっしゃいます。

牛乳を飲まない、飲めないお子さまを持つ親御さんは、どのようにカルシウムを摂取させたらいいのか悩みますよね。

 

そこでこの記事では、牛乳以外からカルシウムを摂取する方法をまとめました。

レシピ紹介はもちろん、飲み物やお菓子など、忙しいご家庭でもすぐに取り入れやすいものまでご紹介しています。

この記事の監修者

 

 

大橋成孝

赤坂一ツ木通りクリニック医院長

慶応義塾大学医学部卒業後、循環器内科入局。2019年より赤坂一ツ木通りクリニックの院長に就任。循環器内科を専門とし、一般内科に加えて循環器疾患の診療も行っている。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません

カルシウムの吸収率は牛乳がトップクラス

カルシウムといえば牛乳というイメージを持つ方は多いでしょう。実際、牛乳に含まれるカルシウム量は、コップ1杯(200ml)に対し約220mgであり、この数値はほかの食材と比べてもトップクラス。そのうえ吸収率が約40%と非常に高いのが特徴です。

食品名 カルシウム吸収率
牛乳 約40%
小魚(イワシ) 約33%
野菜(コマツナ) 約19%

※参考:上西一弘・江澤郁子ほか「日本栄養・食糧学会誌」1998年51巻5号

 

お子さまの健康や成長について考えるのであれば、できることなら牛乳は飲んでほしいところです。牛乳に含まれる栄養素の多くは加熱調理による影響を受けづらいため、牛乳そのままの味が苦手というだけであれば、スープやシチュー、グラタンなどといった料理に使うのもよいでしょう。

しかし牛乳を使ったメニューとなるとどうしても味が似てしまうため、お子さまはもちろん、大人も飽きてしまいかねません。乳糖不耐症をはじめ、牛乳が体質的に合わないケースもあるでしょう。

 

また、いくら牛乳のカルシウム量や吸収率が優秀であっても、牛乳だけで必要摂取量を満たすことは難しいものがあります。1~2歳のお子さまでも1日のカルシウム摂取推奨量は女の子で400mg、男の子で450mg、育ち盛りの12~14歳では女の子で800mg、男の子で1,000mgにもなるためです。

※カルシウムの年齢別摂取推奨量は、厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参照

 

そのため、以下で紹介する牛乳以外のカルシウム摂取方法は、牛乳の好き嫌いに関係なく取り入れることをおすすめします。

【飲み物編】牛乳以外のカルシウム摂取方法

 

牛乳以外の飲み物でカルシウムを効率よく摂取させたいのであれば、下表の飲み物がおすすめです。

食品名 カルシウム含有量
ヨーグルトドリンク 200mlあたり、約220mg
調整豆乳 200mlあたり、約60mg
ピュアココア 1杯分5gあたり、約7mg

参考:文部科学省「食品成分データベース

 

まず「ヨーグルトドリンク」は、乳製品であるため、牛乳とカルシウムの含有量が変わりません。気になるカロリーも加糖タイプであれ、牛乳とほぼ変わらないため、ヨーグルトドリンクの味をお子さまが好むようであれば代替品としておすすめです。

また乳糖不耐症のお子さまであっても、ヨーグルトドリンクであれば分解しやすいといった特徴もあります。

 

次に豆乳ですが、「乳」とありますが、大豆から作られた飲み物であるため、カルシウム含有量は牛乳よりは低いです。なお調整豆乳と無調整豆乳では、調整豆乳のほうがカルシウムを多く含みます。

お子さまが飲みやすいものとしては、ピュアココアもおすすめです。ピュアココア自体も少ないながらカルシウムを含んでいます。

牛乳や豆乳などと割ることで、これらの味が苦手なお子さまでも飲みやすくなるでしょう。ちなみにカルシウム含有量としてはピュアココアよりも調整ココアが高いですが、調整ココアは脱脂粉乳が加えられているため、脱脂粉乳を受け付けない場合には、注意が必要です。

【お菓子編】牛乳以外のカルシウム摂取方法

 

スーパーやドラッグストアでは、カルシウム含有をうたったウエハースやチップスなどもあるため、それらを活用してもよいでしょう。ただし、お菓子らしく味付けされているものほど糖分や塩分が多く、健康のために食べさせているはずがかえって健康を阻害する健康にもなりかねないため、量には注意が必要です。

 

下表では、カルシウム量の多い一般的なお菓子をまとめました。商品によっては乳糖を含むため、乳糖不耐症の場合には成分を要チェックしたうえで購入しましょう。

食品名 カルシウム含有量
ヨーグルト 100gあたり、約120mg
ハードビスケット 50g(約5枚)あたり、約170mg
ホワイトチョコ 20g(板チョコ約1/3枚)あたり、約50

mg

ミルクチョコ 20g(板チョコ約1/3枚)あたり、約48

mg

キャラメル 15g(約3粒)あたり、約29mg
ボーロ 50g(約20粒)あたり、約15mg
ごませんべい 40g(約3枚)あたり、約15mg
煮干し 3g(小さめサイズ約10尾)あたり、約66mg

参考:文部科学省「食品成分データベース

意外なお菓子にもカルシウムが含まれていますが、やはり数値的に優秀なのは、「ヨーグルト」と「煮干し」といった定番品です。ヨーグルトや煮干しはカルシウム含有量が多いだけでなく、ほかの成分的にも優秀であるため、ぜひ積極的に取り入れてみてください。

【食品・料理編】牛乳以外のカルシウム摂取方法~おすすめレシピ3選~

普段の料理でカルシウムの摂取を気に掛けるのであれば、下表の食品を積極的に取り入れてみてください。

食品名 カルシウム含有量
プロセスチーズ 20gあたり、約130mg
小松菜 50gあたり、約85mg
いりごま 大さじ1あたり、約120mg
ちんげん菜 50gあたり、約50mg
切り干し大根(乾燥) 15gあたり、約75mg
わかさぎ 35g(約2尾)あたり、約160mg
干しえび 大さじ1/2あたり、約210mg
ひじき(乾燥) 大さじ1あたり、約60mg
焼き豆腐 100gあたり、約150mg
木綿豆腐 100gあたり、約93mg
おから(生) 50gあたり、約41mg

参考:文部科学省「食品成分データベース

以下では、これらの食品を取り入れたおすすめのレシピを3品ご紹介します。

おすすめレシピ➀ 干しえび入り玉子焼き

材料(2人前)

・干しえび…約3g(サイズが大きいようであれば先に少し細かく刻んでおく)

・生卵…3個

・パセリ・・・適量

・砂糖、しょうゆ、塩・・・適量

 

作り方

1.生卵を溶き、調味料で味付けをしてよく混ぜ、卵液をつくる

2.弱めの中火で熱したフライパンに薄く油をひき、卵液を1/3ずつ広げ、巻いていく(3回くり返す)

3.焼き上がったらフライパンから取り出し、切り分けてできあがり

普段の玉子焼きに干しエビを加えることで、カルシウムの摂取を助けます。干しえび約3gのカルシウム含有量は約210mgです。

料理に牛乳を加えても平気なようであれば、卵の量を減らし、牛乳を加えて作ってもよいでしょう。彩りや食感をプラスするため、お好みで小ねぎを加えるのもおすすめです。

おすすめレシピ➁ ポテトサラダ風おからサラダ

材料(2人前)

・生おから…100g

・にんじん…1/2本

・きゅうり…1/2本

・ツナ缶(水煮)…40g

・マヨネーズ、塩、コショウ・・・適量

 

作り方

1.にんじんを食べやすいサイズに切り、火を通しておく(レンジ加熱OK)

2.きゅうりを食べやすいサイズに切り、塩を振って少し時間を置いてから、塩もみをして水を切っておく

3.生おからをボウルに移し、1と2のほかツナ缶と調味料を混ぜ、できあがり

じゃがいもではなく、おからを使うことで、カルシウムたっぷりのサラダになります。生おから100gのカルシウム含有量は約82gです。

お好みでコーンを追加したり、ツナの代わりにハムを入れたりしてもOK。小さなお子さま用であれば、にんじんをかわいい形に型抜きして食欲をそそるのもよいでしょう。

おすすめレシピ③ 小松菜たっぷりハンバーグ

 

材料(小さめサイズ8個分)

・合いびき肉…200g

・生卵…1個

・パン粉…20g

・小松菜…100g

・玉ねぎ…1/2玉

・ミニトマト・・・適量

・レタス・・・適量

・塩、コショウ・・・適量

・(ソース用に)ケチャップ、中濃ソース・・・適量

 

作り方

1.玉ねぎをみじん切りにし、加熱する(レンジ加熱OK)

2.沸騰させたお湯で小松菜をさっと1分ほど茹で、冷水で冷まして水気を絞った後に、なるべく細かく刻んでおく

3.ボウルに合いびき肉を入れ、粘り気が出るまでよくこねる

4.3に1と2のほか生卵、パン粉、塩、コショウを加え、さらにこねる

5.4を8等分に分け、ハンバーグを成型する

6.中火で熱したフライパンに油をひき、5を焼き上げたら、フライパンから取り出す

7.フライパンに残った油に混ぜるようにしてケチャップと中濃ソースを加え、軽く炒める

8.お皿にハンバーグを並べ、7のソースをかけて、ミニトマト、レタスを添えたら、できあがり

味が苦手なお子さまも多い小松菜ですが、そのカルシウム量はかなりのもの。細かく刻んでハンバーグに混ぜてしまうことで、美味しく食べてもらいましょう。小松菜100gあたりのカルシウム含有量は約170mgです。

合いびき肉の量を少し減らし、その分おからを混ぜて、カルシウム量をさらにアップさせてもよいでしょう。

カルシウムの吸収を助ける&阻害する食べ物

カルシウムを効率的に摂取するためには、吸収を助ける食べ物を一緒に摂ることが大事です。

カルシウムの吸収を助ける食べ物

カルシウムの吸収を促進する栄養素として知られているのが次の3つです。

栄養素 含有量が多い食べ物
ビタミンC パプリカ、ブロッコリー、レモンなど
ビタミンD しらす、まいたけ、うなぎなど
マグネシウム あおさ、昆布、アーモンドなど

もともとカルシウムは体内に吸収されにくい栄養素なので、上記の食材と合わせて食べるのがおすすめです。カルシウムが豊富な食材と合わせるのもよし、付け合わせの副菜に使うのもいいでしょう。

カルシウムの吸収を阻害する食べ物

カルシウムの吸収を助ける食材がある一方、吸収を妨げる食材もあります。

栄養素 含有量が多い食べ物
リン インスタント食品、スナック菓子など
カフェイン コーヒー、紅茶など
シュウ酸 ほうれん草、キャベツなど
フィチン酸 米ぬか、小麦など

上記の食べ物も少量であれば、大きな問題はありませんが、摂り過ぎには注意しましょう。

 

カルシウムの吸収を助ける、妨げる食べ物については「【医師監修】カルシウムの吸収率を上げる&阻害する食べ物を一挙紹介」で詳しく解説しています。