身長を伸ばす食べ物って本当にあるの? 注意すべきは食べ方だった?
「身長を伸ばす」と言われている食べ物のウソホントを解説。
食べ物だけでなく、身長を伸ばすために必要な栄養素や食べ方も紹介しています。
また、栄養価の高い食材を使ったおすすめレシピも掲載しているので、お子さまの身長に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
身長を伸ばすためには、日々の食べ物から摂る栄養が重要であることは言うまでもありません。
とはいえ、特効薬のように身長を急激に伸ばす食べ物があるわけではありません。
今回はお子さまの身長が伸びないとお悩みの方のために、身長を伸ばすために有効な食べ物、メニューから注意すべき食習慣について解説します。
この記事の監修者
杉山 伸子
由良産婦人科・小児科医
京都大学医学部卒業。卒後20年間、産婦人科医として臨床経験を積む。
2017年、女性の健康リテラシー向上を目指す団体「Mimosa」を立ち上げる。講演やコラム執筆実績多数。
YouTubeでリプロダクティブ・ヘルスに関する情報提供動画を配信中。
身長を伸ばす食べ物のウソホント
まずは、「身長が伸びる食べ物(飲み物)」として紹介されることが多い食材について、それぞれ考察します。
「牛乳=身長が伸びる」ではない
「牛乳を飲めば身長が伸びる!!」とは昔からよく言われますが、実際はそんな単純なものではありません。
というのも、牛乳に多く含まれるカルシウムには骨を丈夫にする効果がありますが、骨を伸ばす働きがあるわけではないからです。骨を伸ばすために必要とされる代表的な栄養素はタンパク質です。
牛乳はあくまでも「身長を伸ばすために必要な栄養素を摂取できる食品のひとつ」として考えましょう。また、牛乳だけをたくさん飲むような偏った食事を続けていると貧血を起こすなど健康を害する可能性もあるので、注意しましょう。
小魚は身体の成長に欠かせない栄養素がバランスよく含まれている
しらす、ししゃもなどの小魚は牛乳と並んで、背を伸ばすと言われる代表的な食べ物です。小魚にはカルシウム、タンパク質、ビタミンのほか、DHAが豊富に含まれており、これらは全て身体の成長に欠かせない栄養素です。
小魚に多く含まれるビタミンはビタミンD、ビタミンKであり、それぞれ次のような働きがあります。
ビタミンD・・・カルシウムの吸収を助けてくれる
ビタミンK・・・骨にカルシウムを沈着させて、強くする
つまり、どちらもカルシウムの吸収を助ける栄養です。先ほど、カルシウムは背を伸ばす効果はないと先述しましたが、背を伸ばす過程において骨を強くすることは必須です。
小魚はタンパク質も十分に含まれているので、食事だけでなく、おやつとして食べるのもいいでしょう。
大豆製品に含まれる「アルギニン」は成長には欠かせない
大豆製品もタンパク質、ビタミンB1、マグネシウム、カルシウム、亜鉛など栄養素が豊富に含まれています。また、成長ホルモンの分泌や筋肉組織を補強する「アルギニン」が豊富に含まれていることでも知られています。
アルギニンは疲労回復や免疫力向上、活力アップにも効果があると言われています。
大豆製品は豆腐、きな粉、納豆などバリエーション豊かなので、お子さまの好みに合わせたレシピを作れるのも魅力です。アルギニンは他にも、鶏肉、エビ、マグロに多く含まれています。
マシュマロで背を伸ばすには500個必要?
ネットなどでたまに「マシュマロで背が伸びる」と言われることがあります。これはマシュマロの成分であるゼラチンの元になるコラーゲンが骨の成長に必要な栄養素であることから言われるようになりました。
しかし、マシュマロの主成分は炭水化物(糖質)であり、タンパク質やビタミンが含まれているものの、ごくわずかです。
マシュマロ100gにはおおよそ2gのタンパク質が含まれており、成長期における一日のタンパク質推奨量は約50g~60gであることを考えると、マシュマロを約2.5kg、1個5gとしても500個食べないといけない計算になります。
もちろん、マシュマロだけでタンパク質を補うのは無理がありますし、極端な例ではありますが、マシュマロでタンパク質を摂るのは現実的ではないのです。何より、それだけマシュマロを食べた場合、糖質量が心配です。
マシュマロで背が伸びるというのは、あくまで都市伝説であり、鵜吞みにしないようにしましょう。
身長を伸ばすためにとくに必要な栄養素4つ
先のパートでも少し解説しましたが、ここでは身長を伸ばすために必要とされる代表的な栄養素を紹介します。
・タンパク質
・カルシウム
・ビタミンD
・亜鉛
身体を作る材料となる「タンパク質」
タンパク質は、筋肉、骨、臓器、爪、そしてホルモンを構成する材料であり、炭水化物、脂質とならんで3大栄養素のひとつです。「身体を作る材料」なので、身長を伸ばす上では欠かせません。
タンパク質の摂取量に比例して、身長が高くなるというデータもあり、男性の平均身長が約184cmのオランダでは、1日に平均100g以上のタンパク質を摂取していると言われています。対して、男性の平均身長が約172cmの日本では、平均75~80gとなっています。
※参考:厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査報告」
とくに成長期のお子さまはタンパク質が不足しがちになる傾向があるので、意識的に摂取するようにしましょう。
骨の約65%を占める「リン酸カルシウム」
骨の約65%はリン酸カルシウムが占めていると言われており、タンパク質同様に、骨の成長には欠かせない栄養素です。
牛乳、小魚、海藻に多く含まれているカルシウムですが、日本人のほとんどが推奨摂取量(成長期の12歳~14歳で1,000mg/日)を満たしていません。タンパク質よりも意識しないと摂取が難しい栄養素といえます。
また、カップ麺などの加工食品などリンを含む食品を摂り過ぎると、カルシウムの吸収が阻害されることもあるので、注意しましょう。
カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」
ビタミンCやビタミンBと比べると馴染みが薄いかもしれないビタミンDですが、カルシウムの吸収を促進する働きがある重要な栄養素です。鮭やさんま、ブリ、しらすなどの魚に多く含まれています。
ビタミンDは食べ物から摂取できるだけでなく、日光に当たることで身体から作り出すこともできます。ですので、紫外線量が少ない冬場はとくにビタミンDが不足しがちになるので、意識的に摂取するようにしましょう。
ホルモンの合成、分泌を調整する「亜鉛」
亜鉛は成長を促進するために必要な栄養素です。ホルモンやタンパク質の合成、ホルモン分泌の調整をしてくれます。体内では作り出すことができないので、食べ物から摂取しなければならず、牡蠣や豚のレバーに多く含まれています。
また、亜鉛はビタミンC、クエン酸を一緒に摂ることで吸収効率が上がると言われています。それぞれの栄養素が豊富に含まれている食べ物は下記の通りです。
ビタミンC・・・アセロラ、レモン、赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリーなど
クエン酸・・・酢、梅干し、みかんなど
亜鉛には風邪や感染症に対する免疫力を高める効果があるので、お子さまの健やかな成長には欠かせない栄養素なのです。
バランスの良い食事が身長アップにつながる
ここで紹介した栄養素は身長を伸ばすことに大きく貢献するものですが、それさえ摂取すればいいというものではありません。偏った栄養摂取は不健康になるため、注意しましょう。
タンパク質やカルシウムなどを意識しながらも、炭水化物や脂質などもバランスよく食べることで、健康的に身長アップを期待できます。
食べ物より大事? 身長を伸ばすための食べ方
身長を伸ばすためには、食べ物の内容だけでなく、その食べ方にも注意が必要です。
朝ごはんを抜かない
身長を伸ばすためには、1日3食のバランスの良い食事を摂ることが大切です。なぜなら、タンパク質をはじめとした栄養は、一度に沢山摂るよりも分けて摂った方が効率的に吸収されるからです。
そして、朝ごはんには栄養面だけでなく、身体を起こすという役割もあります。身長は食事だけでなく、睡眠、運動といった正しい生活習慣によって成長するので、朝をしっかり食べるということは、規則正しい生活を送るために重要なのです。
また、朝ごはんはパンだけという方は主食だけでなく、野菜やタンパク質も摂るように心掛けましょう。
魚を積極的に食べる
とくにお子さまの場合、魚よりお肉を好む傾向があります。
どちらもタンパク質が豊富な食材ではありますが、魚にはDHAやDEPAといった健康維持に欠かせない成分も含んでいます。お肉同様、むしろそれ以上に食べるべき食材なのです。
どうしても魚が苦手な場合は、いわしハンバーグなど調理法を工夫したり、魚肉ソーセージなど加工食品でもいいので、美味しく食べられるようなものにしましょう。
間食はほどほどにする
間食を食べ過ぎて、食事を充分に食べられないというのは身長を伸ばす以前に、健康の観点からも避けるべきです。また、スナック菓子やジュースなどは糖質、脂質が多いので食べ過ぎは肥満を招く可能性があります。
間食をとる場合は、ナッツや小魚などタンパク質、カルシウムが豊富なものがおすすめです。
インスタント食品も極端避ける
インスタント食品には脂質が多いだけでなく、カルシウムの吸収を阻害するリンが沢山含まれています。
とくに休日の昼ご飯はインスタント食品に頼ってしまう方も多いかもしれませんが、その場合も野菜を添えるなどして、インスタント食品オンリーにならないように心掛けましょう。
身長を伸ばすためにおすすめ食事メニュー3選
身長を伸ばすためにおすすめのメニューとは、タンパク質やカルシウムが豊富に含まれてた食材を使った料理です。ここでは、簡単にできるメニューを3つ紹介します。
小魚の卵焼き
■材料(1人分)
卵・・・2個
砂糖・・・小さじ1杯(お好みで)
薄口醬油・・・小さじ1杯
塩・・・少々
小魚・・・適量
いつもの卵焼きに小魚を入れただけの簡単料理です。小魚は小魚ふりかけでもいいでしょう。卵は「完全栄養食」と言われるほど、栄養価の高い食材です。
食事のなかで小魚を摂るのは意外と難しいですが、このようにいつもの料理にチョイ足しするような使い方がおすすめです。
さば缶のトマトソースパスタ
■材料(1人分)
パスタ・・・120g
さば水煮缶・・・2分の1缶
ホールトマト・・・2分の1缶
オリーブオイル・・・大さじ2杯
にんにく・・・適量
塩コショウ・・・適量
鯖缶は魚のタンパク質、ビタミンD、DHA、EPAが豊富なのはもちろん、骨が丸ごと入っているのでカルシウムも摂れる優秀な食材です。また、パスタは炭水化物のなかでもタンパク質が多い食材です。
これらにビタミン豊富なトマトソースを合わせることで栄養バランスが良い料理になります。
豆乳仕立ての湯豆腐
■材料(1人分)
絹ごし豆腐・・・2分の1丁
豆乳・・・100ml
牛乳・・・100ml
ダシ汁※・・・100ml
白ゴマ・・・適量
ほうれん草・・・適量
※ダシ汁は水にだしの素を溶かしたものでOK
牛乳を飲むのが苦手な方は、食べ物に積極的に活用しましょう。今回は豆乳仕立てなので、必ずしも牛乳が必要なわけではありませんが、牛乳を加えることで豆乳に含まれれる鉄分の吸収率を高めてくれる働きがあります。
また、アクセントとしてビタミンDが豊富なほうれん草をプラスしましょう。
身長を伸ばす食べ物Q&A
Q. 身長を伸ばす食べ物は高校生、大人にも有効?
A. 今回紹介した食べ物(メニュー)は健康維持のために有効です。
今回は身長を伸ばす食べ物として紹介しましたが、これらは全て健康な身体を維持するために不可欠です。成長期が終わった大人(親世代)にとっても、ぜひ参考にしてください。
Q. コンビニ商品のなかで身長を伸ばす食べ物は??
A. ゆで卵、チーズ、ヨーグルト、ミックスナッツがおすすめです。
コンビニでは、つい菓子パンやインスタント食品を購入しがちですが、タンパク質やカルシウムを効率的に摂取できる商品も沢山あります。代表的なのは、ゆで卵、チーズ、ヨーグルト、ミックスナッツです。
料理をする時間がない日などは、コンビニを上手に活用しましょう。
成長期の強い味方「レベルアップ」
お子さまの成長をサポートするためには普段の食事が基本ですが、毎日完璧な栄養素を摂ることは非常に難しいです。
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