ケトジェニックダイエットのやり方とは?糖質制限との違いからおすすめメニューまで解説

糖質制限ダイエットを実践している方であれば、「ケトジェニックダイエット」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットの一種に分類されることもありますが、別物です。また、その方法を間違えると健康被害が起きる可能性があるため、危険なダイエット法ともいえます。

今回は、ケトジェニックダイエットの概要からその方法について詳しく解説します。ケトジェニックダイエット中に食べていいものとダメなもの、おすすめのメニュー例も紹介しています。

この記事の監修者

 

藤堂 紗織

Alohaさおり自由が丘クリニック開業医

日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。現在は、Alohaさおり自由が丘クリニックを開業。内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜している。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

ケトジェニックダイエットとは

ケトジェニックダイエットとは、身体を「ケトジェニック(ケトーシス)な状態」にして脂肪を燃焼しやすくするダイエット法です。

ケトジェニックな状態とは、糖質(ブドウ糖)ではなく、ケトン体をエネルギー源として働かせる状態です。

通常、人間は糖質をエネルギー源として活動しているのでケトン体をエネルギー源として使うことは基本的にありません。

しかし、糖質を極端に制限されると、人間は中性脂肪を遊離脂肪酸に分解し、遊離脂肪酸が肝臓で「ケトン体」となり、エネルギー源として利用されます。つまり、ケトジェニックダイエットは脂肪をエネルギー源にするため、効率的な脂肪燃焼が可能となるのです。

また、ケトジェニックダイエットはアスリートがパフォーマンス向上のための食事法として取り入れられるケースもあります。

ケトジェニックダイエットと糖質制限は異なる

人間の体をケトジェニックな状態にするためには、極端に糖質を制限する必要があります。ケトジェニックダイエットが糖質制限と混同される理由もここにありますが、両者は似て非なるものです。

糖質制限ダイエットは単に糖質量を減らすのに対して、ケトジェニックダイエットは「タンパク質・脂質・炭水化物」のPFCバランスを意識するダイエット法です。

ケトジェニックダイエットは一般的な糖質制限ダイエットよりも極端に糖質を制限するため、健康被害が起きやすいことも特筆すべき点といえるでしょう。

正しい糖質制限ダイエットの方法については「糖質制限ダイエットの効果はいつから?痩せるスピードから食べていいものリストまで総集編」で詳しく解説しています。

また、ケトジェニックダイエットは基本的にカロリーを気にせず、脂質はしっかり摂る必要があるため、脂質制限ダイエットとも大きく異なります。

脂質制限ダイエットについては「脂質制限ダイエットとは?コツを押さえたやり方【成功の秘訣7選】」で詳しく解説しています。

ケトジェニックダイエットのメリット・デメリット

ケトジェニックダイエットの主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

デメリット

・早く瘦せる

・カロリーを気にしなくてもよい

 

・健康被害が出る可能性がある

・体臭がきつくなることがある

・食べられるものが制限される

ここまで説明してきたように、ケトジェニックダイエットは効率的に脂肪を燃焼できるため、短期間での体重減少を期待できます。しかし、やり方を間違えてしまうと健康被害が起きる可能性があるので、自己判断で行う場合は注意が必要です。

ケトジェニックダイエットを実践して吐き気やふらつきを感じるようであれば、すぐに中断しましょう。

ケトジェニックダイエットのやり方

ケトジェニックダイエットの方法は非常にシンプルです。以下の2つを意識した食事を心掛けましょう。

・糖質を制限する

・PFCバランスを3:6:1にする

それぞれについて解説します。

糖質を制限する

ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットとは異なりますが、現代人の食事は糖質過多の傾向があるため、糖質の制限は必須となります。

ケトン体代謝に切り替えるためには体内の糖質を枯渇させる必要があるため、糖質制限ダイエットよりも摂取できる糖質量は基本的に少なく、1日の糖質量を50g以下に抑えるのが理想です。

通常の食事における糖質量については「【医師監修】糖質の摂取量って1日何グラムが正しい?1日の食事例を紹介」で詳しく解説しています。

ちなみに、ブドウ糖代謝からケトン体代謝に切り替わる(ケトーシス状態になる)ことを「メタボリックスイッチ」といいます。食後12時間経てば「メタボリックスイッチ」が入ると言われていますが、ケトジェニックダイエットは断食(ファスティング)とは異なります

断食について詳しくは「16時間断食ダイエットと他のプチ断食との違いとは?女性は12時間の方がいい?」で詳しく解説しています。

PFCバランスを3:6:1にする

ケトジェニックダイエットでは、タンパク質:脂質:糖質の「PFCバランス」を3:6:1にしましょう。※タンパク質20%:脂質75%:糖質5%が理想と言われることもあります。

1日の摂取カロリーが2000kcalであれば、タンパク質が600kcal、脂質が1,200 kcal、糖質が200 kcalとなります。

脂質もしっかり摂るのがポイント

ダイエット=脂質(油)を避けるイメージがありますが、ケトジェニックダイエットでは脂質の摂取量はそれほど気にする必要はありません。なぜなら、脂質はケトン体の材料になるので、脂質が足りないと十分なダイエット効果を得られないからです。

また、糖質を制限した状態で脂質まで制限してしまうと、体は飢餓状態に陥り、エネルギーをあまり消費しない「省エネモード」になってしまう可能性もあります。

もちろん、脂質の取り過ぎには注意ですがPFCバランスが崩れない範囲で脂質はしっかり摂るようにしましょう。

ケトジェニックダイエット中に食べてよいものとダメなもの

ケトジェニックダイエットは食べられるものが制限されます。食べてよいものとよくないものは以下の通りです。

ケトジェニックダイエット中は、タンパク質が摂れる肉や魚、卵、大豆製品のほか、食物繊維が豊富なキノコや海藻、タンパク質と脂質が摂れる乳製品、ナッツなどは食べても問題ありません。

逆に、ご飯やパンなどの炭水化物全般や糖質が多い根菜系の野菜は控えるようにしましょう。※全く摂取してはいけないわけではありません。

また、飲み物も糖質が含まれていない水やお茶、コーヒーは問題ありませんが、清涼飲料水や糖質が多いアルコールは控えるようにしましょう。

ケトジェニックダイエットの効果を実感するまでの期間と注意点

ケトジェニックダイエットは他のダイエット法に比べると効果を実感するのが早く、早い人だと3日ほどでケトーシス状態に入り、1~2週間で体質の変化を実感できます。ただし、人によっては効果を実感するまでに2~4週間ほどの期間が必要となります。

ケトジェニックダイエット中の注意点

ケトジェニックダイエットを行う際の注意点について解説します。

注意点① 長期間は実施しない

ケトーシス状態は体にとって正常な状態ではありません。ケトジェニックダイエットはあくまでも一時的に行うダイエットであり、長期間続けると体への負担となります

また、ケトジェニックダイエットを長期間続けると、筋肉量や代謝の低下やリバウンドを招く可能性があります。

ケトジェニックダイエットを行う期間は2~3ヶ月を目安とし、その後は糖質制限ダイエットや脂質ダイエットに切り替えるのがおすすめです。

良質な脂質を摂取する

ケトジェニックダイエットでは、脂質をしっかり摂ることがポイントですが、なるべく「良質な油」を摂取することが重要です。

良質な油とは、植物や魚の脂に含まれる「不飽和脂肪酸」に分類される油です。不飽和脂肪酸は肉やバターなどの「飽和脂肪酸」とは異なり、コレステロール値を下げ、血液の循環をよくする働きを期待できます。

不飽和脂肪酸の中でもアマニ油やえごま油、魚の脂(DHA・EPA)といったオメガ3脂肪酸に分類される油は、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす作用があります

DHA・EPAおよびオメガ3脂肪酸については「DHA・EPAを効率的に摂取できる食べ物&レシピ〜魚以外で摂る方法も紹介〜」で詳しく解説しています。

また、オリーブオイルやココナッツオイルといったオメガ9脂肪酸に分類される油は悪玉コレステロールを減らす作用があり、熱にも強いためサラダ油の代わりに使用するのがおすすめです。

ケトジェニックダイエット中のメニュー例

ケトジェニックダイエットは、PFCバランスを守ることが大事なので、献立は一汁三菜を基本にして、栄養バランスの整った食事を心掛けましょう。ただ、一汁三菜ではあるものの、糖質量=主食は少なめにすることがポイントとなります。

バランスの良い食事については「バランスの良い食事とは?栄養・生活スタイル・家計の観点で解説」で詳しく解説しています。

ここでは、ケトジェニックダイエット中におすすめのメニューを主菜、副菜、汁物に分けて、それぞれ3つずつ紹介します。

おすすめの主菜(メイン料理)

サーロインステーキ

サーロインステーキは、脂っこいためダイエットでは敬遠されがちですが、高タンパクで糖質が少ないのでケトジェニックダイエット中はおすすめです。

八宝菜

八宝菜は片栗粉を使うので糖質量には注意が必要ですが、様々な食材を使うためタンパク質、脂質、ビタミンなどをバランス良く摂取できます。

鶏のからあげ

鶏のからあげは油物なのでカロリーは高いですが、タンパク質が豊富です。鶏肉はムネ肉、油はオリーブオイルを使って揚げるのがおすすめです。

おすすめの副菜

◎冷奴

豆腐はタンパク質が豊富で使い勝手がよい食材です。冷奴は簡単に作れる副菜として重宝するでしょう。

◎おからサラダ

おからはタンパク質のほか、食物繊維が豊富な食材です。野菜に合わせることで、より効率的に食物繊維を摂取できます。

エビとブロッコリーとゆで卵のサラダ

ブロッコリーは野菜の中でもタンパク質が豊富です。エビとゆで卵を合わせることで、さらにタンパク質がプラスされ、食べ応えのあるサラダとなります。

おすすめの汁物

中華スープ

中華スープは1杯(約150g)あたりの糖質量が1g前後と糖質が少ないので、ケトジェニックダイエット中にはおすすめです。

◎舞茸スープ

舞茸に含まれている「n-ヘキサン抽出物」は、炭水化物を分解する消化酵素の働きを阻害し、糖の吸収を抑える効果が期待できます。

◎けんちん汁

けんちん汁は味噌や根菜などの糖質量には注意する必要がありますが、具沢山なので栄養価の高さが魅力です。

ダイエット初心者は糖質制限ダイエットがおすすめ

今回解説したケトジェニックダイエットは、短期間で瘦せやすいダイエット法ではあるものの、摂取する糖質量が極端に少ないため、間違った方法で行うと健康を害するリスクがあります。

また、PFCバランスを管理するためには、カロリーや栄養素を綿密に計算する必要があるのも難点の一つです。

本来、ケトジェニックダイエットは医療として行われる食事療法であるため、一人で行うのは難しく、医師から栄養指導を受けながら行うのが理想です

その点、糖質制限ダイエットは極端に糖質を減らす必要はないため、健康被害が出る可能性が低く、個人で行う場合にはおすすめです。

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