【タイプ別診断チャート付き】爪が剥がれる原因と対処法・受診の目安を解説

「爪が剥がれてきた」
「先のほうがボロボロ欠けてしまう」
「白く浮いた感じになっている」

一口に「爪が剥がれた」といっても、原因や症状はいくつかのタイプに分かれます。それぞれのタイプによって、適切な対処法も変わってきます。

そこで今回は爪が剥がれる原因と対処法について解説します。症状別の対処法がわかる診断チャートを掲載しているほか、病院に行く目安もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

吉岡 容子
医療法人容紘会高梨医院院長

東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

爪が剝がれる症状とその原因

まずは、爪が剥がれる代表的な症状を5つ紹介します。

爪の先端がペラペラめくれる「二枚爪・爪甲層状分裂症」

爪の先端が紙のようにペリペリとはがれてくる状態は、いわゆる「二枚爪」です。医学的には「爪甲層状分裂症(そうこうそうじょうぶんれつしょう)」と呼ばれます。爪先を触ると、表面と内側が二層、三層に分かれていることが多く、見た目的には爪の先がギザギザになっていることが多いです。

また、痛みはほとんどないものの、伸びるとすぐ割れたり、爪がボロボロと欠けたりといった状態が続きやすいのが特徴です。

主な原因

二枚爪の主な原因は、第一に乾燥が挙げられます。水仕事やシャンプー、アルコール消毒などで指先が濡れたり乾いたりを繰り返すと、爪の水分と油分のバランスが崩れ、もろくなります。

また、爪切りで一気にパチンと切るといった物理的な負荷も二枚爪を引き起こす原因となります。

放置した場合のリスク

二枚爪をそのままにしておくと、割れや欠けを何度も繰り返し、爪先の形がいびつになっていきます。爪の表面全体に縦線や凹凸が目立ってくることもあるため、早めにケアすることを心掛けましょう。

爪の縦線に関しては、「爪に縦線が入る原因とは?病気の可能性もある?【セルフチェックリスト付き】」で詳しく解説しています。

爪が爪床から浮いて白く見える「爪甲剥離」

爪が爪床(爪甲とくっついている皮下組織)から浮き上がり、白っぽく見えている状態が「爪甲剥離」です。爪と皮膚の間に空間ができているように見え、そこに汚れや水分が入り込んで色が濃く見えることもあります。

初期のうちは痛みや違和感が少ないですが、進行すると爪全体が浮いてしまい、最終的には爪が取れてしまうこともあります。

主な原因

爪甲剥離は、いくつかの要因が重なって生じることがほとんどであり、以下のようなものが挙げられます。

  • きつい靴やスポーツなどで同じ箇所に繰り返しかかる外的刺激
  • 手湿疹や乾癬などの皮膚疾患
  • 薬剤や化学物質への接触によるアレルギー反応

 

また、上記のほかに後述する爪白癬などの感染症が重なって生じるケースも少なくありません。

放置した場合のリスク

前述したように、爪甲剥離は放置すると最終的に爪全体が剥がれ落ちることがあります。爪と爪床の間に細菌やカビが入り込み、二次感染による化膿や悪臭の原因にもなります。再発を繰り返しやすいため、早めに専門家に相談するのが賢明です。

爪そのものが根元から部分的・全体的に剥がれる「爪甲脱落・脱爪」

指をドアに挟んでしまった、重い物を足の上に落としてしまった、などによって爪の大部分が一気に剥がれてしまったり、数日から数週間かけて少しずつ浮き上がってきたりする状態が「爪甲脱落・脱爪」です。

爪が一部でも根元近くから浮いてくると、爪の下にある爪床がむき出しになり、触れるだけで鋭い痛みを感じます。靴や手袋で少しこすれるだけでも強い痛みが続くこともあり、日常生活に大きな支障が出るトラブルです。

主な原因

爪甲脱落・脱爪の原因は基本的に外傷です。大きな衝撃・ケガだけでなく、サイズの合わない靴で長距離を走り続けて、同じ箇所に衝撃が加わり続けることで徐々に爪が剥がれていくこともあります。

また稀に、薬剤や重度の皮膚疾患が原因で爪が脱落してしまうケースもあります。

放置した場合のリスク

爪甲脱落・脱爪を放置すると、痛みや腫れに加えて、傷口からの感染リスクも高まります。爪を作る部分である爪母が傷ついたままだと、新しく生えてくる爪が厚く盛り上がったり、波打ったように変形したりと、長期的なトラブルにつながります。

自己判断で爪を短く切りすぎたり、剥がれかけた爪を引き抜いてしまったりすると、かえって傷を広げてしまうことがあるため、無理をせず医療機関に相談しましょう。

爪が変色してボロボロ剥がれてくる「爪白癬」

爪が白っぽく濁ったり黄ばんだりし、厚みが増して先端からボロボロと崩れてくるような症状は、いわゆる「爪水虫」、医学的には「爪白癬」と呼ばれる状態です。

とくに足の爪に起こりやすく、最初は1、2本だけだった変化が、徐々に他の爪にも広がっていくケースが多いです。かゆみや強い痛みを伴わないことも多いため、「年齢のせいかな」と放置されがちなトラブルでもあります。

主な原因

爪白癬は、白癬菌というカビの一種が爪に入り込んで増えることで起こります。足の裏や指の間の水虫(足白癬)からそのまま爪へ波及することも多く、プールやスポーツジム、共同浴場などをよく利用する人、長時間靴を履きっぱなしで足が蒸れやすい人は注意しましょう。

また、高齢の方や糖尿病、動脈硬化などで足の血行が悪くなっている人や免疫力が低下した人は、感染しやすいだけでなく治りにくい傾向があります。

放置した場合のリスク

爪白癬をそのままにしておくと、見た目が悪くなるだけでなく、他の爪や家族に感染させてしまう可能性があります。爪が変形して長く歩けない、運動がしづらいなど生活の質が低下することもあります。

白癬で弱った皮膚や爪から細菌が入り込み、炎症や化膿を起こしてしまうケースもあるので早めに対処しましょう。

爪のまわりが腫れて、そこから爪が裂けてくる「爪囲炎」

爪のきわの皮膚が赤く腫れて、そこから膿がたまって、そこから爪が裂けてくるような症状は「爪囲炎」と呼ばれます。

押すとズキッとした痛みが走るのが特徴で、日常生活のちょっとした動作でも不快感を覚えやすいトラブルです。

主な原因

爪囲炎の原因として多いのは、ごく小さな傷です。深爪やささくれをむしる、甘皮を取りすぎるといった習慣が微小な傷をつくり、そこから細菌が入り込んで炎症を起こします。

水仕事や洗剤、シャンプーなどによる手荒れも、皮膚のバリア機能を弱め、炎症のきっかけになります。

とくに子どもは、指しゃぶりや爪かみの癖があると指先が常に湿った状態になり、傷つきやすくなることから、爪囲炎を繰り返しやすくなります。大人でも、ネイル施術で強い負担がかかったり、オフの際に強くこすり過ぎたりしたときに、同じようなトラブルが生じることがあります。

放置した場合のリスク

爪囲炎を放置すると炎症が広がり、指全体が赤く腫れて強い痛みを伴うようになります。膿がたまったままになると、皮膚や爪の下にまで炎症が広がります。

また、糖尿病などで血流が悪くなっている人は、足や指先の感染症が重症化しやすく、最悪の場合、潰瘍や壊死につながるリスクもゼロではありません。たかがささくれ、たかがささったトゲと油断せず、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。

爪が剝がれたときの診断チャート

爪が剥がれたとき、それが「二枚爪なのか、爪甲剥離なのか、それともケガなのか」を判断しづらいことは少なくありません。

そこで今回は、自分の状態がどのタイプに近いのかを把握できる診断チャートを用意しました。ぜひ参考にしてください。

あくまでこのチャートは、自分の状態を知るための参考です。強い痛みや腫れ、出血、膿などの症状がある場合は、チャートの結果にかかわらず医療機関の受診してください。

爪が剥がれたときの症状別対処法

ここからは、爪が剥がれたときの対処法と病院に行く目安について解説します。

共通の応急処置

爪が剥がれてしまったときは症状にかかわらず、まずは指先や足先を石けんでやさしく洗い、清潔なタオルで水分をしっかり拭き取りましょう。明らかにめくれてしまっている部分は先端側だけを整えましょう。触ると痛い部分はそのまま残し、無理に切る必要はありません。

整えたあとは、絆創膏や保護テープなどで軽くカバーし、外からの衝撃や摩擦を減らしましょう。

絶対に避けるべき行為

爪が剝がれたときに避けたいのは以下のような行為です。

  • 強い痛みや腫れがあるのに我慢して放置すること
  • 原因がはっきりしないまま市販薬を塗ること
  • 状態が悪いのをネイルやジェルで隠してしまうこと

 

これらは症状をわかりにくくしてしまうだけでなく、悪化や長期化の原因にもなります。応急処置はあくまで受診までの一時的な対応であり、基本的には早めに医療機関を受診しましょう。

二枚爪が気になる場合の対処法

二枚爪の場合は、まず爪への負担を減らし、乾燥を防ぐことが基本です。

爪を切る際はパチンと切ると衝撃で先端に小さなヒビが入りやすいため、衝撃を最小限にして、最後は爪やすりを使って調整してください。爪先を角ばったまま残しておくと引っかかりやすいので、軽く丸みをつけるイメージで整えるとよいでしょう。

また、日常的な保湿はハンドクリームだけでなく、爪や甘皮まわりに使えるオイルや専用美容液を手洗いや入浴のあとに塗り込んでください。水仕事やシャンプーが多い方は、ゴム手袋の下に綿の手袋を重ねるなどして、直接水や洗剤が触れる時間をできるだけ減らしましょう。

爪の切り方や保湿の方法をはじめ、正しい爪のケア方法は「【医師監修】正しい爪のケア方法〜健康的で美しい爪の条件とは?〜」で詳しく解説しています。

病院に相談したほうがよいケース

セルフケアを1、2ヶ月続けても改善が見られない場合や、複数の爪が極端に薄く、少しの衝撃でもすぐに割れてしまう場合は皮膚科に相談しましょう。

健康な爪の成長のために必要な栄養素については「爪が割れるのは栄養不足が原因!?必要な栄養素とおすすめレシピを紹介」で詳しく解説しています。

爪甲剥離が疑われる場合の対処法

爪甲剥離は、浮いている部分をなるべく広げないことが大事です。爪と爪床の間に水や汚れが入り込むと、そこから感染が起こるリスクが高まるため、爪全体を短めに整えて、指先を清潔に保つようにしましょう。

入浴や手洗いのあとにはしっかりと乾かし、必要であれば通気性の良いテープで軽く保護しておくと、日常生活で引っかかる不快感を減らすことができます。ぐるぐるときつく巻きつけてしまうと血行が悪くなるため、軽く添える程度にしましょう。

また、きつい靴や爪先に負担のかかるスポーツ・楽器などを日常的に行っている場合は、靴のサイズや形を見直したり、インソールを活用したりすることで、爪にかかる圧迫を減らしましょう。

病院に相談したほうがよいケース

爪甲剥離は原因の幅が広く、自己判断だけで原因を特定するのは難しいことが多いです。浮いている部分が急に広がっている、複数の爪に同じような変化が出てきた、痛みや腫れ、膿を伴っているといった場合は早めに皮膚科で相談しましょう。

爪甲脱落・脱爪が原因の場合の対処法

爪の大部分が剥がれてしまった、あるいはほとんど剥がれかけているような状態では、自己流のケアには限界があります。まずは出血の有無を確認し、血が出ている場合はガーゼやハンカチで傷口を圧迫しながら、心臓より少し高い位置に手や足を上げましょう。

血が止まってきたら、汚れを軽く洗い流す程度にとどめ、それ以上は無理に触らないようにしてください。

病院に相談したほうがよいケース

爪甲脱落・脱爪は症状の重度にかかわらず、基本的に早急に医療機関に相談するのが賢明です。

激しい痛みや強い腫れがあるときはもちろん、指が曲がりにくい、しびれが出ている、出血が続いて止まらないといった場合は、骨折や神経の損傷が隠れている可能性があります。放置すると治りが遅くなったり、爪の形が戻りにくくなったりするため、自己判断に頼らず整形外科や皮膚科を早めに受診しましょう。

爪白癬が疑われる場合の対処法

爪白癬が疑われるときにやってしまいがちなのは、見た目だけで水虫だと決めつけて市販薬を塗ることです。原因が爪白癬ではないのに誤った市販薬を使い続けると、かえって症状をわかりにくくしてしまい、診断を遅らせる一因になります。

変色した爪をごまかすためにネイルやジェルで隠し続けるのも、悪化と他人への感染リスクを高めるので絶対にやめましょう。

病院に相談したほうがよいケース

爪の変色、肥厚が1本でも続いている場合は早めに皮膚科へ相談しましょう。特に糖尿病や循環器の持病がある方は、足のトラブルが重症化しやすいため、早めに受診することをおすすめします。

爪囲炎が疑われる場合の対処法

爪囲炎の初期であれば、指先を清潔に保つことを心掛けることが第一です。水仕事をするときは手袋を使い、仕事や家事の合間にもこまめに指先を濡れたままにせずに乾かすことを意識すると、炎症が悪化しにくくなります。

注意したいのは、ささくれや爪の横をむしったり、爪を噛んだりすることです。新たな傷を作るだけで、炎症の火種を増やすだけなのでやめましょう。

病院に相談したほうがよいケース

赤みや腫れ、痛みが数日以上続く場合や、指先が熱を持ってズキズキと痛む、黄色や白っぽい膿がたまっている場合は早めに皮膚科を受診しましょう。特に糖尿病などの持病がある人では、指先の感染が大きなトラブルに発展するリスクもあるため、軽くみないようにしてください。

よくある質問Q&A

最後に、爪が剥がれたときに関してよくある質問にお答えします。

全部剥がれてしまった爪は、ちゃんと元に戻りますか?

A. 爪母や爪床のダメージが軽ければ、元に近い状態に戻ることがほとんどです。

手の爪であれば数か月、足の爪であれば半年から1年ほどかけて生え変わります。ただし、爪母が大きく傷ついてしまった場合には、新しく生えてくる爪が厚くなったり、反り返ったり、表面がデコボコしたりと、なんらかの変形が残ることもあります。

ネイルはどれくらいの期間休んだほうがいいですか?

A. 二枚爪・薄い爪・爪甲剥離の場合は、少なくとも1〜2ヶ月は休むのが基本です。

ネイルを再開するときには、以前と同じペースにすぐ戻すのではなく、施術間隔をあけたり、薄づきのデザインにしたりと、爪の負担を考えたスタイルにシフトしましょう。

何科に行けばいいですか?

A. 皮膚科が基本です。

基本的に爪が剥がれる症状は皮膚科で診てもらうことができます。一方、強い衝撃を受けたあとに爪が剥がれた、指が大きく腫れている、変形しているといった場合は、骨折や深い損傷の可能性もあるため、整形外科を受診しましょう。

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